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「働く人全ての意識変わって」母が手記

中国・万里の長城で母幸美さんと写真を撮った高橋まつりさん(左)=2013年5月(遺族提供)

 高橋まつりさんの過労自殺から25日で1年がたつのに合わせ、母幸美(ゆきみ)さん(53)が代理人弁護士を通じて報道各社に手記を寄せ、「日本の働く人全ての人の意識が変わってほしい」と訴えた。

 高橋さんは昨年4月に入社し、同12月25日朝、東京都内の社宅マンションから飛び降りた。幸美さんは手記で「あの日から私の時は止まり、未来も希望も失われてしまいました」と吐露。「会社を辞めるようにもっと強く言えば良かった。母親なのにどうして娘を助けられなかったのか」と自責の念も記した。

 三田労働基準監督署は今年9月、高橋さんの自殺について「仕事量の著しい増加で、残業時間が(前月の2.5倍以上に)増大して11月上旬にうつ病を発症し、自殺に至った」と労災認定した。電通への捜査が始まったことで、他の企業でも長時間労働を見直す動きが広がっている。

 手記は「働き方を変えることに影響を与えているとしたら、まつり自身の力かもしれないと思います。でも、まつりは、生きて社会に貢献できることを目指していたのです。悲しくて悔しくてなりません」などと記し、「会社の役員や管理職の方々は、心から反省をして、二度と犠牲者が出ないよう、決意していただきたいと思います」と願った。

 代理人弁護士が電通本社ビルの入退館記録を基に試算したところ、高橋さんの1カ月間の時間外労働は最長130時間だった。

 だが高橋さんは上司の指導で労使協定の上限である70時間未満に過少申告させられていたとみられる。【早川健人】

「制度つくっても、人間の心が変わらなければ」

 まつりの命日を迎えました。

 去年の12月25日、クリスマス・イルミネーションできらきらしている東京の街を走って、警察署へ向かいました。嘘(うそ)であってほしいと思いながら……。前日までは大好きな娘が暮らしている、大好きな東京でした。

 あの日から私の時は止まり、未来も希望も失われてしまいました。息をするのも苦しい毎日でした。朝目覚めたら全て夢であってほしいと、いまも思い続けています。

 まつりは、あの日どんなに辛(つら)かったか。人生の最後の数カ月がどんなに苦しかったか。

 まつりはずっと頑張ってきました。就職活動のエントリーシートの自己PRの欄に、「逆境に対するストレスに強い」と書いていました。自分が困難な境遇にあっても絶望せず、あきらめないで生きてきたからです。10歳の時に中学受験をすることを自分で決めた時から、夢に向かって努力し続けてきました。

 凡才の私には娘を手助けできることは少なく、周囲のたくさんの人が娘を応援してくれました。娘は、地域格差・教育格差・所得格差に時にはくじけそうになりながらも努力を続け、大学を卒業し就職しました。

 電通に入ってからも、期待に応えようと手を抜くことなく仕事を続けたのだと思います。その結果、正常な判断ができないほどに追い詰められたのでしょう。あの時私が会社を辞めるようにもっと強く言えば良かった。母親なのにどうして娘を助けられなかったのか。後悔しかありません。

 私の本当の望みは娘が生きていてくれることです。

 まつりの死によって、世の中が大きく動いています。まつりの死が、日本の働き方を変えることに影響を与えているとしたら、まつりの24年間の生涯が日本を揺るがしたとしたら、それは、まつり自身の力かもしれないと思います。でも、まつりは、生きて社会に貢献できることを目指していたのです。そう思うと悲しくて悔しくてなりません。

 人は、自分や家族の幸せのために、働いているのだと思います。仕事のために不幸になったり、命を落とすことはあってはなりません。

 まつりは、毎晩遅くまで皆が働いている職場の異常さを指して、「会社の深夜の仕事が、東京の夜景をつくっている」と話していました。まつりの死は長時間労働が原因であると認定された後になって、会社は、夜10時以降消灯をしているとのことですが、けっして見せかけではなく、本当の改革、労働環境の改革を実行してもらいたいと思います。

 形のうえで制度をつくっても、人間の心が変わらなければ改革は実行できません。会社の役員や管理職の方々は、まつりの死に対して、心から反省をして、二度と犠牲者が出ないよう、決意していただきたいと思います。

 そして社員全ての人が、伝統を重んじることにとらわれることなく、改善に向かってほしいと思います。

 日本の働く人全ての人の意識が変わってほしいと思います。

以上

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