2016年の秋と冬、国政壟断に怒った市民は心を一つにしてろうそくを手にした。2万人からはじまったろうそく集会は毎週参加者が増えて200万人を越え、世界が注目する驚異的な政治行為になった。広場の中心に立った市民は歴史の主人公だった。(写真=中央フォト) |
その声は1本の熱い抵抗詩であり鋭い漫評だった。「鶏の皮はいらない/犬と豚のわめき声だけ残り/鶏の皮はいらない」。青瓦台を向こうに見ながら、ろうそく市民は詩人シン・ドンヨプ(1930-1969)の詩『うわべはいらない』をこのように替え歌して歌った。いつだか自分たちのことを犬・豚と呼んだ高位公務員の発言を努めて笑い流そうとした市民は、変化への一歩を躊躇(ちゅうちょ)しなかった。
ろうそく市民には男女の別はなく、老若は論じるまでもなかった。手に手を取って集会に出てきた家族から、一人で広場を行進した「一人デモ」までさまざまな人々が同じ考えの下で集まった。先月5日のろうそく集会の時、ソウル松坡区(ソンパグ)から来たハンおばあさんはむしろ子孫たちに謝った。「おじいさんおばあさんが間違って投票して国をこのようにしたのに、なぜ若い人たちが広場に出てきて苦労するのか」と。先月19日、光化門(クァンファムン)広場に来た中学校2年生のチョン・ジョンホ君(14)は「友人と私は、堂々と自分の国を誇れるようにしたくて集会にやってきた」と話した。ゲームばかりしていた10代の少年はニュース見て集会に向かった。
10月29日から2カ月近くろうそくの明かりは消えないでいる。権力の醜態を見守っていた市民の怒りと裏切られた気持ちは大きかった。だが、彼らが集まり離れた場所は祭りが終わった後よりも美しかった。集会は開始から今まで平和基調を維持している。8回の集会で警察に連行された市民は警察と対立してもみあいになった23人がすべてだった。市民は過激行動をしようとする人には「やめろ」と叫んだ。警察車壁には花のステッカーが飾られた。ほぼ毎週集会に参加したというヤン・ホンソク弁護士(法務法人イゴン)は「数百万の人々は乱れなく平和だったが、むしろそちらのほうが恐ろしい怒りが感じられた」と話した。市民はこのようにして歴史の主人になった。