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家族でいこう!
左腕が痛い
身体中が重い、身体中が熱い
アカシャは目をあけた、身体を起こす
身体の節々が痛い
部屋にはカマラ、ルダ、エリオがいた
「「「アカシャっ!」」」
3人揃えて俺の名を呼び、抱きついて来た
「おばさんを呼んでくる、アカシャはまだ寝ていろ、いいな?」
カマラは急いで部屋から飛び出した
「アカシャぁぁ、死んだかと思ったー」ブワッと泣きながら俺に抱きつくルダ、暑苦しい、左腕が痛い
「ぼ、ぼくは…ぼくはぁぁぁあ!?」
そしてエリオも泣く
「うるさいなぁ(苦笑)」
苦笑するしかない暑苦しいし腕が痛いけど
でも心が熱くなる
前世ではこんな感覚気薄だった
人と絡むのが嫌だったからだ、それなのに人に嫌われるのが怖かった
矛盾してるね?自身の世界が狭くなるにつれ生きるのが面倒になる
人は結局、自身を観測してくれる存在が必要なのだ
哲学的なことを考えているとドアが開いた、母のクラと父のクータスタだった
「母さん、父さん、おはよう」
パンっと左頬をビンタされた
「?!」
そして抱きしめられた
「バカ!心配したのよ?本当にバカなんだから…」
母は泣いていた、父は涙をこらてる為に天井をみていた、なんだかなぁ…と胸に何かがこみ上げてくる
だって人に泣くほど心配されるなんて久しくなかった気がした、だが唐突に小田鉄男の記憶がよみがえる…幼少期の頃に母親が俺を怒ってくれた記憶があった、父親が怒ってくれた記憶があった、家族で囲む食事、家族で旅行に行った記憶、家族で笑った記憶が確かにあったんだ
俺は申し訳なかった、親不孝だった、無為に自分を産んだ両親達を恨んだこともあった、それでも将来を心配してくれた両親のこと、両親に恩返しも出来ず死んでしまったこと、後悔しかない、謝りたかった、産んだくれてありがとうと言いたかった
なんだ?俺は泣くのか…恥ずかしいなぁ…俺は泣いた、この世界に来て初めて泣いた…
そして今はもういない母親と父親を小田鉄男はただ想った、神に祈るように両親が少しでも幸福な人生を歩むことを祈った…
泣き疲れたアカシャを両親は慈しむように眺めていた
「コイツの泣き声なんて初めて聞いたよ」
「そうね、産まれた時も泣いていなかったから…心配したけど、本当によかった」二人の声には安息の色が伺えた
不安はあったアカシャは産まれた時から泣かなかったからだ、そこに小田鉄男の意識があったわけではない、ただ意思はあった
泣くのは負けだと小田鉄男の小さなプライドが邪魔をした
それがたとえ赤ん坊であっても泣いたら負けだと思ったから
クータスタとクラが目覚めたアカシャに初めにしたことは抱きしめること
アカシャを間に挟んで3人で互いの温もりを感じた
この日、クータスタとクラとアカシャは初めて本当の家族なった
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