埼玉県川越市で2012年、当時市立中学2年だった男性(19)が暴行を受けて意識不明となった事件を巡り、男性と母親が加害少年3人とその両親、市を相手に損害賠償を求めた訴訟の判決で、さいたま地裁川越支部は22日、少年3人と市に計約1億5000万円を支払うよう命じた。野口忠彦裁判長は「いじめ」を認め、「事件前に暴力事件などがあったのに、教員らが加害少年への指導、監督などを怠った」と指摘した。
事件は12年1月に発生。少年3人は傷害容疑で逮捕され、少年院送致された。男性は意識障害の後遺症が残り、現在も人工呼吸器を付け、寝たきりの状態にある。
判決は、事件前に男性はけんかで負傷させられるなどしていたことから、「教員らはいじめが暴力を伴うものに発展していたことを認識できた。生命や身体に危険が生じる事態の発生も予見できた」と指摘し、市側の責任を認めた。
加害少年3人についても「順番に暴行し、時には共に一方的な暴行を加えた」と不法行為責任を認定した。だが、3人の両親については「教員らから息子の問題行動を指摘された都度、指導していた」として賠償責任を認めなかった。
原告側弁護士によると、男性の母親は「市の責任が認められ、一安心した」と話したという。川越市の川合善明市長は「本事件の重大さを重く受け止める」とコメントした。【内田幸一、仲村隆】