もうすぐ競馬の有馬記念があります。サインや世相馬券も、注目されています。この記事では、有馬記念の予想方法や当て方について、少し違った角度から書いてみました。
有馬記念と世相馬券、サイン
有馬記念と言えば世相馬券(サイン馬券)です。例えば、アメリカ同時多発テロが発生した2001年、マンハッタンカフェとアメリカンボスで決まったことが、よく挙げられます。
しかし冷静に考えてみれば、JRAがその年の世相を分析し、サイン(ヒント)を出しつつ、各陣営に着順を指示するという仕組みは、存在が難しい。万一、バレた場合、完全に違法ですので、世論の動向よっては、年2.5兆円規模の巨大な利権を捨てることとなります。JRAは、世界的に見ても経営は順調で、「仕組む」動機には乏しいです。
ではなぜ、有馬記念が「世相」と言われ、サインが注目されるのか? これは、年の瀬は誰もが、その年にあったことを振り返っている。そして、有馬記念が行われる、中山2500mは特殊なコースで、的中が難しい。多くの人が、予期しない結果に悔しがる。世相と結びつけ、結果は操作されている、だから当たりっこないと、自分を納得させる……このような心理課程がありそうです。
世相馬券(サイン馬券)は、事前に予想され外れるケースも当然多数。2011年は、東日本大震災があり馬連3-11が売れましたが、かすりもしていません。実は、サイン馬券の最盛期はバブル経済期です。競馬ファンにも余裕があり、多くのサイン本が出版された記録があります。しかし、現在は、収支結果を出せないためほとんど廃れています。サイン馬券は、好景気に咲いた徒花(あだばな)だったと言えます。
有馬記念と神社
オカルト的な馬券を否定しておきながら、神社の話というのは恐縮ですが、先日、目黒不動尊に行ってきました。NHKのブラタモリ目黒編の記事を書こうと思ったからです。
【目黒】ブラタモリ紹介の歴史・地形観光スポットまとめ…2016.12.18
目黒は、江戸時代は郊外の田舎でしたが、目黒不動尊は40ものお堂を持ち、江戸市中からの、泊まりがてらの参拝客で賑わいました。かなり霊力がある神社のようです。江戸幕府の将軍や大名も、度々訪れています。
個人事業者のため、競馬や宝くじなどを買っている場合ではないのですが、実は競馬予想のメルマガを発行しており、その関係で少し買っています。ちょうど、目黒不動尊の境内で買っていた競馬のレースが始まり、ラジオで聞きました。すると、想定していた幾通りもの結果のなかで、そんな風に決まるなんてラッキーなことがあれば大変、と思っていたまさにその目が来たのです! これは驚きました。
信心深い方ではないのですが、財界人や芸能人の多くが、こういった方面を重視している理由が、分かった気がしました。もちろん、数多くの参拝客がいれば、そのなかで毎日1人くらいは幸運が重なり、その人がスピーカーとなり……のような仕組みも考えられます。しかし、世相馬券や競馬のサイン周辺の「所業」に比べれば、寺社関係では、日々修行し、熱心に「開運」に取り組んでいるのも確か。下手なサイン論を見るならば、神社に参詣でもして、心をすっきりさせたほうが、馬券は当たるかも知れません。まず邪念を取り払い、本質を観るようにしたいものです。
分かってますよね?有馬記念は、「山ボーイ」を買うんですよ!
競馬予想をされている方なら、当然分かっているべきことなのですが、日本の競馬場には「草原タイプ」「山タイプ」など、バラエティに富んだコースがあります。草原タイプの代表は、東京競馬場。山タイプの代表は、中山競馬場です。
なぜ競馬場に複数のタイプがあるのかというと、答えは簡単で、配当を上げるためです。競馬は、直線、または陸上のような、距離損や接触のないセパレート式のトラックで実施すれば、毎回強い馬が勝ち、毎回低配当になります。すると、弱小の生産者、馬主が即座に倒産します。そうならないように、競馬場によってタイプを変えています。
草原タイプの競馬場は、カーブがあると言っても割に大回りで、長い直線はまさに草原。器用さや単純なスピードを持ちあわせなくても、決め手、持続力、心肺能力、精神力など、総合力が強い馬が上位に来ます。日本の競馬は、基本的には草原タイプに強い馬を選出する過程ですので、ダービーもジャパンカップも東京競馬場で行われます。
一方有馬記念が行われる中山競馬場は、山タイプ。レース映像を見ると分かりますが、素人にも分かるほどの急な登り下りがあり、1周での高低差は、建物の2階分の高さにもなります! しかも2500mは6つのコーナーを回ります。これは、馬にまたがって、山中のクネクネした林間の道を走るイメージです。坂を登り切る分厚い筋力がある馬が良いですし、カーブが多いので器用さも必要。一方2500mの長距離を走る割には、クネクネしていますので、一呼吸入れるタイミングは多く、スタミナはそれほど必要ありません。
つまり、あなたが江戸の将軍であり、クネクネした道を持つ山林に鷹狩りに行くとして、どの馬を選びますか?というのが、有馬記念で最も重要な要素です。
有馬記念を当てる上で大切なこと
出典:アメリカンボス | 競走馬データ - netkeiba.com
アメリカの同時多発テロが原因で、13番人気で大穴を開けたとされるアメリカンボスは、しっかりと臨戦過程を見れば、典型的な「山ボーイ」であることが分かります。
1月、2月に中山競馬場の重賞を連勝。草原コースの安田記念、JCでは届かず。好走はしませんでしたが、カーブがキツい大井競馬場の大レースに出走と、山ボーイ感はあります。
ただし、JC、有馬を連勝するような、草原でも山でも走るタイプが、5年に1度くらいは登場するもの競馬です。そこは踏まえます。
2016年有馬記念の分析
最後に2016年有馬記念の分析を少々。なお、私は普段は条件戦しか買わないので、重賞はほとんど経験がありません。またG1も全く買わないので、そこはご容赦ください。基本的にG1出走馬は専門外で、あまり知識もないので、JRAの公式サイトに紹介があった順に、数頭に触れます。
キタサンブラック … 北島三郎さんの馬。JCを勝ちましたが、3歳時に中山競馬場の皐月賞で3着、東京競馬場のダービーで14着に負けているように、山ボーイの素質はあります。山、草原両用タイプでしょう。ただし、前走のJCは武豊マジックがありました。今回は8頭もいるノーザンF軍団が再現を許さないはずで、ちょっと厳しい。なお、ノーザンF(ファーム)とは、競馬界のジャニーズ事務所のようなものです。複勝レベル。
ゴールドアクター … 中山2500mの日経賞を勝っているので、山ボーイ的な要素はありそうです。ただ、長距離に強いのは少しマイナス。中山2500mは、カーブが多く、実際に走るとそこまでの距離の実感はありません。複勝レベル。
サトノダイヤモンド … もっとも充実している1頭で、先週の朝日杯(G1)で、同じ馬主が勝ったのは大きいです。競馬はゴール前の数センチを競うスポーツですので、大レースを勝ったことで、調教師、厩務員、騎手が自信を持つことはとても大きい。馬は敏感ですので、人の側の勢いを必ず察知します。ノーザンFが、一貫して主力のルメール騎手を当てている有力馬ですが、注意したいのはノーザンFが今回8頭出しであること。ノーザンFは超大物がいて勝てると見たG1は出走馬を絞りますので、これは御本尊が自信を持っていない証拠です。2着候補。
サウンズオブアース … 善戦ホースです。昨年は有馬記念、日経賞と中山2500mで連続2着した明らかな「山ボーイ」です。決め手がなく、人気もソコソコですので、思い切った作戦を取るかと思います。例えばインを取って、早めにスパートするなど。今年の有馬記念は、見た目の実績の割には、超有力馬がいない印象を受けますので、4番人気程度のポジションは最も動きやすいことは確か。優勝候補。
なお、出馬表から受けるイメージよりは混戦ですので、穴馬の台頭もありえます。強いて言えば、サウンズオブアースとノーザンFの馬の組み合わせでしょうか?
これで上位人気はクリアしたはずです。G1は専門ではないので、あくまで参考程度ですが、予想のお役に立てれば幸甚です。