よいニュースを見ました。
動物愛護法にとくにペットの販売に興味のある人にはぜひ読んでいただきたいニュースです。
多分3分くらいで読めます。
ニュースの概要は以下の通りです。
子犬や子猫の成長には母親の存在は不可欠です。特に生後8週間は、人間との生活に無理なく馴染める社会性を身につけ、健康な体を作るためにも親兄弟と一緒に過ごすことが望ましいとされています。2013年9月1日には動物愛護法の改定により、子犬、子猫を56日間親元で過ごさせる「8週齢規制」が定められました。しかしながら、この措置には緩和条件が付帯しており、実際には8週より短い45日程度でも売り買いができると解釈されてきました。そんな中、札幌市が全国で初めて「8週齢規制」を条例に盛り込み話題を呼んでいます。今回は、「8週齢規制」と札幌市の取り組みについてご紹介しましょう。
幼齢販売の規制と法律に関して
幼齢の犬猫の販売日齢については、2012年の動物愛護法改正によって新たに設けられた規定ですが、具体的規制を導入すべきであるとの議論が以前からありました。
具体的な数値(日齢)については、
①ペット業界団体の自主規制の目標値である45日
②ジェームズ・サーぺル教授による科学的根拠に基づいた49日
③欧州各国で導入されている56日(8週齢)
という3つの意見が挙げられました。
そして、2012年の動物愛護法改正により、販売制限日齢の数値は、2016年8月31日までは生後45日、同年9月1日から「別に法律で定める日」までは49日、その後は56日と徐々に引き上げていくという経過措置が取られました。
この別に法律で定める日については、犬猫販売業者の業務実態、マイクロチップを活用した調査研究の実施などによる科学的見地のさらなる充実をふまえた犬や猫と人間が密接な社会的関係を構築する観点から、犬や猫を親・兄弟から引き離す理想的な時期についての調査研究の結果、その社会一般・事業者への浸透状況などを踏まえ、2012年動物愛護法改正の執行日である5年以内(2018年8月31日までの間)に検討するとされています。その結果に従って、49日という販売制限がいつまで実施されるか(すなわち、いつから56日となるか)が法律に記載される予定です。
(東京弁護士会公害・環境特別委員会偏:動物愛護法入門より引用)
すなわち、今回の札幌市の条例改正は国が定めた動物愛護法よりも厳格な規制になっています。
他の自治体ではどうか
再びニュースから引用します。
「8週齢規制」を現実的に意味のあるものにしようとする動きは過去に他の自治体にもありました。例えば東京都では一部の都議や動物愛護団体が2013年~2014年にかけて都条例による「8週齢規制」の実施を試みましたが、「地方自治体の条例を国の法律を上回る内容にすることはできない」という理由で実現しませんでした。
大阪府でも同様に「8週齢規制」を条例化することを模索していますが、国の法律が49日ルールを認めていることが壁となって条例化が進んでいない現状があります。国の法律に一歩先んじた札幌市の動きはこうした状況に影響を及ぼす可能性がある事例として、今後注目を集めるでしょう。
8週齢の是非はともかくとして(私は8週齢規制には賛成ですが)、いくつかの自治体では法律が枷となって条例の改正に踏み切れない事実もあるようです。
なので私個人としては、今回の札幌市の動きに影響されて、他の自治体でも8週齢での販売規制に踏み切っていただき、ボトムアップの形での法律改正に向けてもらえればと思います。
もし、皆様のお住まいの自治体でこのような動きがあれば応援してくださいとまでは言いませんが、興味を持って見守っていただければと思います。
全国ペット協会(ZPK)による反論
もちろん反論もあるのでZPKの反論を掲載します。
週齢規制に関しては、外国の例をそのまま採用というのではなく、日本なりの治験をしたうえで決めてもらいたいと主張している。
(アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、オーストラリアの一部の州や自治体では8週齢規制が実施されています。)
「日本での治験を」ということを主張し続けてきた理由は2点あります。まずは、日本と欧米において、人と動物の向かい合い方が違うということです。欧米では中型件以上を買うのに対し、日本では9割以上が小型犬を飼い、しかも「家族」同様に扱っています。また、日本人は、飼う方も「小さいころから育てたい」という気持ちが強いようです。次に、根拠とされている資料には50年前のものもあり、現在とはおかれている状況が異なることです。
(東京弁護士会公害・環境特別委員会偏:動物愛護法入門より引用)
ZPKはペットの販売をしている企業が中心となっている組織です。ペットはより幼い方が売れるということを考慮すれば8週齢規制に反論したくなる気持ちもわかります。
また、私個人としても彼らの意見に一部賛同できる部分もあります。やっぱり、飼い主側から見ても幼齢の動物というのはどうしてもかわいいものですから。
しかし、それらは飼い主の意識レベルも上がり、捨てられたり殺処分される不幸な動物たちがもっと減ってから検証されるべきだと思います。
年間10万頭もの犬猫を殺処分してしまっている日本においては、まずは動物福祉の進んでいるイギリスやドイツを参考にして、8週齢規制を受け入れるべきだと私は考えます。
まとめ
幼齢の動物の販売規制について、札幌市の取り組みから思うところを述べさせていただきました。
まだまだ日本における治験は足りず、検討される余地は残っているのかもしれませんが、捨て犬・捨て猫のことを考えると国及び他の自治体でも早急に取り組んでいただきたい規制です。
動物福祉に関する取り組みは今後様々な自治体で広がっていくことと思います。
是非、関心をもって頂ければと思います。
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