メキシコを訪れるのは、俳優・松尾諭さん(32歳)。ドラマ「SP」で大食いSP役を好演して注目を集めた個性派俳優です。 |
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恵み豊かな海 *
北米大陸の西に位置するバハ・カリフォルニア半島。大陸と半島にはさまれたコルテス海(カリフォルニア湾)は、2005年に湾内244の島々と保護地区が“世界自然遺産”に登録されました。コルテス海に生息する魚種は、90の固有種を含め約890種、海獣の種類は全世界の海洋哺乳類の39%に上ります。この地域は、シロナガスクジラやハンマーヘッドシャーク、マンタやアシカなど、海洋動物の宝庫です。サボテンが乱立する荒涼とした陸地と、恵み豊かな海は実に対照的。半島に暮らす人々の多くは、海の恵みに頼って生活しています。中でも、人口1万5千人のほとんどが漁業関係者というサンタロザリアの町で漁師たちが狙うのは、「赤い悪魔」と呼ばれているイカです。胴体と足を合わせると1mから最大3mに達するという、世界最大級の巨大イカです。 |
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* 巨大イカ * この巨大イカの和名は「アメリカオオアカイカ」。「赤い悪魔」と呼ばれているのには理由があります。このイカの足の吸盤には鋭い歯がついていて、絡まれると肉を抉り取られるほどの攻撃力があります。イカ同士が互いに襲いあい、共食いすることもあります。また、釣り上げた時は、身体を真っ赤に染めて、船上で叫び声をあげて漁師を威嚇するほど凶暴なのです。 巨大イカ漁は夕方から行われます。イカを狙う漁船の数は80艘ほど。漁師たちは特大の疑似餌を使ってこのイカを一本釣りで釣り上げます。サンタロザリアの沖合には、この巨大イカが群れをなして生息しており、一晩で多いときには1トンもの量が釣れます。このイカは、地元で食用としても消費されていますが、実はその多くを日本や韓国に輸出しています。1980年代、日本近海のスルメイカの漁獲量が激減したことから、代替魚として需要が高まったのです。そして冷凍ロールイカや裂きイカなどに加工され、私たち日本人の胃袋にも収まっています。 |
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*裏話* 旅人の松尾さん、実は泳ぎがちょっと苦手。足のつかないような深い所で泳いだ経験はもちろんないそうです。そんな松尾さんですが、今回の滞在中、お父さんのネッツァさんと一緒に素もぐり漁に初挑戦!しかし、慣れない深い海での素潜り漁では、泳ぐことに必死で、せっかく獲った魚も逃がしてしまう始末…。けれど、松尾さんにとっては魚を獲る獲らないよりも、ネッツァさんと一緒に海に潜れたことが何よりも嬉しかった様子。海から上がると「お父さんが何も出来ない子供の手を引いてくれているみたいで、ほっと温かい気持ちに包まれました!」と、笑顔で語っていたのでした。 |