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マスター:牛男爵
シナリオ形態:ショート
難易度:易しい
参加人数:8人
サポート:0人
リプレイ完成日時:2016/12/17


みんなの思い出

1
1

オープニング


 ここは久遠ヶ原学園・美術室。
 膨大な数の彫刻や絵画、現代美術……それ以上の酒瓶に囲まれて、小筆ノヴェラ(jz0377)は今日も昼から酔っぱらっていた。
「……噂どおりの女だな。本当に教員なのか、貴様」
 訪ねてきたのは、真っ白なスーツにサングラス、派手なピアスにネックレスという時代錯誤なビジュアル系の男。名前をウェンディス・ロテリスという。かつては魔界で幅を利かせていた武闘派の悪魔だが、人間界に下ってからは戦いを放棄して料理の食べ歩きに全てを捧げている残念系だ。
「チャオ♪ キミのことは知ってるよ。魔界で一番の美食家なんだって?」
「俺は美食家でも何でもないが、人間の作る『料理』に惹かれて下界したのは確かだ。小筆ノヴェラ、今日は貴様に話があって来た。ほかでもない、『久遠ヶ原クッキングバトル』の件だ」
「ん? ロテ君も選手として参加したいの?」
「ちがう。俺は貴様に文句を言いに来たのだ。これまでのKCBで作られた料理……その全てを、俺は可能なかぎりレシピに忠実に再現して、試食してきた。が……正直に言おう! どれもこれも実にうまかったぞ! 俺は人間界に下って良かったと、あらためて心の底から実感した! 真夏の季節料理も……海の家の屋台料理も……子供向けのジャンクな料理も……殺人系の激辛料理も……どれもがうまかった! しかも、ひとつとして同じ料理は無く! 人間界の『料理』は無限だということを思い知らされたぞ!」
 拳を握りしめながら、ウェンディスは熱弁した。
 もしやクレームをつけられて乱闘にでも持ち込まれるのかと身構えていたノヴェラからすると、予想外の展開である。
 だがウェンディスは料理の感想を述べに来たわけではない。
「ここでひとつ言いたいことがある。小筆ノヴェラよ、貴様は腑抜けなのかと」
「……うん? 急に不穏な言葉が出てきたね?」
「当然だろう。なぜ貴様は、くだらんテーマばかり設けて逃げ続ける? KCBは世界で一番の料理人を決めるバトルなのだろう? ならば『この世で一番おいしい料理』を作った者こそが優勝ではないのか? 売り上げだの、子供を喜ばせるだの……『真の料理』とは無関係だろう? 俺の言っていることは間違ってるか?」
「いや、そのとおりだよ。キミの発言は正しい。……そうだね、僕はアートと称して変化球を求めすぎたかもしれない。KCBは文字どおり料理バトルなんだから、本当においしい料理こそが評価されるべきだよね。……けれど、ただの『おいしい料理』じゃ久遠ヶ原クッキンバトルとは言えない! だろう!? だって、そんなのは一般人のシェフにも出来ることだからだ!」
「それは確かに、そのとおりだが。……つまり貴様は、こう言いたいのだな? 『撃退士にしか作れない最高の料理』を求めようと」
「イエス! 振り返ってみれば、いままでのKCBでは一般人にも調理可能な料理がほとんどだった。まぁさすがに前回の殺人料理みたいなのは別として……かりそめにも『久遠ヶ原クッキングバトル』を名乗る以上、久遠ヶ原の生徒にしかできない調理パフォーマンスが不可欠だよね。……よし、次のKCBのテーマは決まったよ。審査員は僕とロテ君だ!」




プレイング

御料理姫・水無月沙羅(ja0670)
大学部3年3組 女 
時期的にクリスマス料理!
生きた鶏を迅速で捌く。丸鶏を蓮の葉で包んで特殊な粘土でコーティング。アウルの力?でオーブンの限界解除。プラズマ発生?爆発の危険を感じるが焼く。
鍋を用意してブイヤベースを作る。魚介類と野菜にスキル鬼神一閃と時雨を発動。細胞レベルに粉砕して生ゴミを出さずに全てを食べる。全部粉砕するとポタージュになるので、ある程度具材の形を残すようにカットする。
ブイヤベースを作る間、オーブンが炎上そして爆発!危険だが放置。
撃退士はピンチになってから本領発揮。火がボヤ騒ぎになるまで我慢してから消火。
ガチガチの鋼鉄のような黒い塊の完成!命がけで料理するのが撃退士。
ブイヤベースはアクを取りながら調理して黄金のスープの完成!

食材の全てを使いきり、旨味を濃縮させた「丸ごとブイヤベース」を取り分ける。
肝心の黒い塊…はかなり硬いので本気の撃退士の一撃で斬る。スキル絆の発動。「命を削って料理をするのが私の流儀!」斬られ所から密閉された香と旨味が放出!「富貴鶏ローストチキン」鶏の中に香味野菜とご飯が詰められている。

最後に、かなり教室を大破したので弁償?

歴戦の戦姫・雫(ja1894)
中等部2年1組 女 
【心情】
「撃退士しか作れない料理・・・天使か悪魔を材料にかな?」


【行動】
養純水Vで巨大化したタラバガニをダークハンドで拘束
闘気解放を使用して風遁・韋駄天斬りで解体して行き脚が無くなったらヒールを使用して再生
必要量が揃うまで回復と解体を繰り返す
「本当なら生きた牛を拘束して、死なない様にヒールで回復しながら必要部位を切り分ける。牛の活け造りをしたかったのですが・・・」
「牛肉を生で食べるのは色々と制約があって五月蠅いので変更しました・・・」

獲った脚は生食用に甲羅を剥いたり、蒸しや焼き用に分けておく
残った胴体部は素手で解体して撃退酒を1〜2升を入れて蟹味噌と混ぜて温める
焼いたり撃退酒を温める際は、アートは爆発だを使用
食材が吹き飛ばないようにダークハンドで固定
「まあ、料理の内容は通常的な物ですが調理法を撃退士らしく派手にしてみました」

※アドリブOK

超絶回避・エイルズレトラ マステリオ(ja2224)
中等部3年1組 男 
海産物シリーズのダツ型天魔を調理する
派手なパフォーマンスは苦手なので、調理の間パソコンとモニターを使って漁の様子を上映

・上映内容
海原を疾る一隻の小さな漁船
その船首に立つシルクハットにタキシードのエイルズは鋭い目で海を見据える
おもむろに召喚獣のダイヤを召喚して水中に潜らせる
しばらくするとダイヤが水中から飛び出し、その直後水中から飛び出した何かがダイヤとエイルズに襲いかかる
すんでのところでかわしつつ、その姿を確認するとそれはダツ
エイルズは漁船から飛び出し水上歩行で海上をかけると、サメのごとく尾ビレで海面を切り裂きながら数匹のダツが追って来る
途中何度も飛びかかるダツをかわしながら疾るエイルズ
しかしやがては疲れその足が鈍り、ついにはよろけてバランスを崩す
その隙をついて一匹のダツがエイルズに飛びかかり、まさに絶体絶命と思われた瞬間、ダイヤが自らの主人に横からタックルし命を救う
空を切ったダツはその鋭い鼻先から砂浜に落ち、地面に刺さって抜けなくなる
そう、エイルズは逃げながらダツを砂浜まで誘導し、魚が身動き取れ陸地に打ち上げたのだ
エイルズならではの漁法である

上映中に準備
料理自体は、ダツに串を通してまっすぐにし、ダツの鼻先を地面にぶっ刺して火に炙るだけ
着火の際はアルコールを口に含んでライターで火吹き
焼きあがったら粗塩を刷り込んで召し上がれ
味見はしてないので、まずくてもご愛嬌

【アドリブ歓迎】

花々に勝る華やかさ・染井 桜花(ja4386)
大学部3年3組 女 
●使用アウル食材(略称:A〇〇

A蜂蜜

AD(ドラゴン)フルーツ

A水

A白砂糖

A果物各種

●行動(調理

〇ADフルーツババロア・宝石の器仕立て

・ババロア

カットして煮込んだADフルーツに
A水でふやかした粉ゼラチン等のババロアの材料加えて
よく混ぜ合わせ、裏ごし

荒熱を取り、V冷蔵庫で寝かせたら
よく混ぜ合わせて、下記の「飴の器と同じ形と大きさの型」に流して冷やし固める
固めた後、Aフルーツをすり潰して加えた蜂蜜を塗り
スライスした果物(すり潰した果物と同じ果物(苺蜂蜜なら苺に)を
冷やした飴の器に盛り付けて完成

・飴の器

A白砂糖とA水でベース水飴を作成
凍らせたAフルーツをスマッシュで粉々に
砕いて作成したペーストを加えた物も作成

水飴を練る際、ダンスとスピンブレイドを併用
内心でリズムを奏でて踊るかのように動き
強力な回転力で飴に空気を含ませて練る

「・・・さあ、踊ろうか」



ベース飴は大き目のゴブレット型に形成
針等を使用し、模様と年月劣化を再現&加える

フルーツ水飴は、ディアドロップ型の宝石
薔薇等の蔓&花等の装飾ベース飴を作成


・宝石&花飴

同色のフルーツ蜂蜜を塗り、宝石の光沢と花の瑞々しさを再現

・蔓飴

ダンス&スピンブレイド併用で
鞭の様に飴を練り動かしていき
細かい飴の破片で茨も再現



作成した装飾飴は飴ゴブレットに

蔓飴は巻き付いて、飴の花が咲いている
宝石は張り付いているイメージで
設置する



「・・・完成」


順番は、一番最後を希望









乳牛魔王・月乃宮 恋音(jb1221)
大学部1年1組 女 

*準備

・[アウル]と[養純水V]で育てた[生きた状態]の[巨大黒鮪(約10m)/平等院製]を用意


*行動

・料理内容:[鮪づくし]

・[巨大黒鮪]の入った[水槽]を搬入、目の前で[活締め]にし調理/暴れる(飛ぶ?)場合は[鰓]を刺し対処
・この際[魔具]の[エネルギーセイバーΣ(以下[Σ])]を使用/現状[エネルギーの刃]を使用した調理は[対応する魔具を扱える撃退士]にしか行えず、[切口の食感の違い][刃物の金気の無さ]等、通常と違う[食感]が楽しめる
・[調理中]に[炙る]際の[火]に[炎焼]を使用/[高火力]+[位置調整]で一気に炙る
・[ノートLv5]の[技法]の内[再現/応用可能な部分]を使用/これ自体[撃退士]の中でも[相応の技量]が必要不可欠

・[Σ]を使用し丁寧に捌き、部位ごとに下記の内容で調理
・[部位][調理]ごとに[厚さ]等を微調整/[審査員]の希望を聞き[希望のサイズ]に調整(=元々の[料理技術]に加え、[Σ]は[魔法武器]の為[魔法命中]の技量が使用可)

・[脳天]:一部[刺身]/残りを[塩焼き]に
・[頬肉]:[フライ]
・[目玉]:[煮つけ]
・[カマ]:一部[刺身]/残りを[照焼き]に
・[テール]:[ステーキ]
・[赤身][中トロ][大トロ]:一部[刺身]/残りを[づけ]にし[づけ丼]に
・各部位の残りで[味噌汁]を用意


AV男優・袋井 雅人(jb1469)
大学部3年8組 男 
何でもOK!!

私はアウル改良の新鮮な巨大な魚介類を使った刺し身の盛り合わせで行きます!
蔵倫さんとの戦いに勝ったらお出しする料理は勿論のことそれを盛る器にも全力でこだわりたい所存です。
今回はNPCの三条藍子さんと絵夢さんに器として御協力を仰ぎたいと思います。

OKが頂けたなら藍子さんにはいい日本酒を絵夢さんにはいい撃退酒を飲んで頂いて、服の下に極小のビキニを着用して貰ってみんなの前で雰囲気たっぷりに服を脱いで貰います。
服を脱いだ二人には舟形のベッドに横になって頂いて刺し身を盛る器になって頂きますね。

刺し身は凍った状態の巨大な魚介類を殺菌消毒済みの魔具ゴルドレーヴェで豪快に華麗に裁いていきます。
凍った状態の刺し身をそのまま器に綺麗に盛って、器の持つお酒に酔った体温でゆっくりと解凍します。

三条親子への報酬は料理対決終了後に今度は私の肉体を提供。
はい、どんな無茶な要望にも応えて見せますよ。

親子丼で女体盛りなんて正直AVでも見たことがないですよ!
もしもこのネタが通ってしまったら羨まし過ぎるので、AVの企画募集にイチかバチかこのネタを送ってみ
ますね。

遥かな高みを目指す者・彩咲・陽花(jb1871)
大学部5年8組 女 
・バハムートテイマーなので召喚術を使い調理をしようと。
食材は海産物。でかい海産物。タコとかカニとかウナギとか。
戦いつつ捌いたら派手かなって。
二重召喚し薙刀やらフェンリルの爪やらアイアンスラッシャーやらで解体。
絡まれたり服を切られたりしつつ撃退…もとい調理していく。
服の心配より調理優先。
「普通の食材だと派手にならなさそうだしこれなら派手な調理になるよね?…私が無事かどうかが一番の問題な気もするけど、ここで今までのマイナスをプラスに持ち直さないとっ(無理」
「フェンリル、ヒリュウ、頑張って解体しちゃうんだよ!」
「ああ、もう、どこに絡みついてるの!?食材なんだから暴れないで素直に解体されるんだよー!」

料理:蒲焼きやら塩焼きやら色々作ってみた。
見た目は普通。匂いも美味しそう。
が、味まで考えてなかったので何時も通り殺人料理。
「はい、完成なんだよ♪なんとか無事に調理が出来てよかったんだよー♪」

惚気死すべし、慈悲は無い・何 静花(jb4794)
大学部1年1組 女 
唐突に参加した新星、本気である。
辣子鶏を作る。
この上なく普通に作る。うまい。大会の趣旨を理解しているのだろうか。うまい。
うまい。

辣子鶏がわからない?ウィキペディアに乗ってる。うまい。
青野菜を食感を重視して選び、鶏肉は軟骨と胸肉を用いる。うまい。
味付けには麻辣を使う。雲南出身なんで。うまい。


「アウルが生体に与える影響は月乃宮を見れば慰めるくらいだけど食材にアウルを用いても食材は活性化しないから意味がない。活性化できたなら天魔に向かって学園長の写真をたたきつける奴しか残らないはずだ、よくわからないけどそういう扱いらしいからな。大体活性化した食材を使って料理をして、出来上がった料理も活性化するのか?万物に影響を与えそうに見えるアウルだけどその効果を維持することは全くできていない。仮に活性化したとして、活性化させている奴に腹を握られていることになるんじゃないのか、いいから(出来上がった料理を)おとなしく食え」うまい。


せっかくだから自家製の麻辣醤単品も添えておく
あわせて救済用のマヨネーズ

眼鏡二号の業が深い時、しまう。
どんどんしまっちゃおうねー
もちろんやるときはいつも本気!(全部本気)



リプレイ本文



「……ここは化け物水族館か?」
 眼前の光景に、ウェンディスは呆然と呟いた。
 そこにいるのは、巨大蟹、巨大鮪、巨大蛸、巨大鰻、巨大ダツ……etc
「うぅん……考えることは、みなさん同じでしたねぇ……」
 苦笑いするのは月乃宮恋音(jb1221)
 彼女が用意したのは10mの黒鮪だ。しかも生きている。
「期せずして海産物祭り開催ですが、優勝めざして頑張りますよ!」
 袋井雅人(jb1469)が持ち込んだのは、巨大なタイやヒラメ。
 ここは化け物竜宮城か。
「本当なら生きた牛を拘束して、死なないようにヒールしながら切り分けるという牛の活け造りをしたかったのですが……牛肉の生食は色々と制約がうるさいので変更しました」
 なにか怖いことを言い放つ雫(ja1894)だが、用意したのは無難に(?)巨大タラバガニ。
 これまた生きてるので、もはや怪獣映画の様相である。
「なんか食材がかぶっちゃったけど……普通の食材だと派手にならないし、これなら派手な調理になるよね? ……私が無事かどうかが一番の問題な気もするけど、ここで今までのマイナスをプラスに持ち直すよっ!
 無謀なことを言うのは、彩咲・陽花(jb1871)
 彼女は過去2回のKCBに参加して、どちらも最下位という成績をおさめている。合計点は脅威のマイナス6! 優勝どころかプラスにするのも難しい!


「でもまぁ料理まで同じ人はいないだろうし……とりあえず調理開始♪」
 ノヴェラが銅鑼を鳴らし、勝負が始まった。
 海の幸が目立つ会場だが、無論ほかの食材を選んだ者もいる。
 唐突に参加した期待の新星・何静花(jb4794)が用意したのは普通の鶏だ。
 巨大鶏ではない。アウルによる品種改良などもしてない、いたって通常の鶏である。
 料理は『辣子鶏』
 出身地である雲南省あたりでよく食べられている、四川料理だ。
 味付けは麻辣。特別な演出もなく、淡々と作っている。完全に普通の辣子鶏だが、なにかサプライズがあるのか。

 同様に鶏をさばいているのは、水無月沙羅(ja0670)
 静花と同じく、普通の鶏を普通に処理する。
 その鶏を丸のまま使い、腹に香草と米を詰めたら蓮の葉で包み、粘土で密封。
 オーブンに入れたら、アウルの力で限界突破グリル!
 プラズマめいた何かがバチバチいってるが、気にせず次の料理へ。
 2品目はブイヤベースだ。
 通常サイズの魚介類と野菜を並べたら、大太刀で鬼神一閃!
 バラバラになったところへ時雨をブチこみ、細胞レベルまで粉砕!
 ミキサーにかけたかのようなドロドロの液状になるので、これをポタージュに。
 具材に使う魚介は通常どおりカットして、アクを取りながら澄んだスープに仕上げる。
 撃退士としての演出は今ひとつだが、料理の腕前はさすがだ。

 このままでは鶏肉と海鮮だけになってしまうのでは……という懸念の中、染井桜花(ja4386)はデザートを作っていた。
 用意したのは、アウルの力で栽培した各種フルーツ。
 さらにアウルを籠めた砂糖と水を使って、まずは水飴を作る。ただし普通には作らない。
「……さあ、踊ろうか」
 ダンスとスピンブレイドを併用しつつ、高速回転で水飴に空気を含ませるように練り上げる。
 これをゴブレット状に形成し、ある程度固まったところで模様を彫り込んで行く。
 続いて、冷凍フルーツをスマッシュ!
 ペースト状にして水飴と練りあわせ、宝石や薔薇の装飾に加工する。
 飴のゴブレットに飾りつけたら、器の完成。
 それからようやく本命に取りかかる。
 作るのは、ドラゴンフルーツのババロアだ。
 レシピは通常どおり。撃退士らしく(?)V冷蔵庫を使うが、味に変化はない。
 なんにせよ、ただ一人デザートを選んだという点では有利か?

 一方、海鮮料理組は巨大生物相手に壮絶な闘いを繰り広げていた。
 巨大タラバと格闘しているのは雫。
 ダークハンドで拘束してからの闘気解放韋駄天斬りで、鋏や脚を滅多斬りにする。
 さらに切断した脚にヒールをかけて再生させ、ふたたび切り落とすという残忍な調理風景だ。
 蟹だから良いが、同じことを牛でやったらグロ映像すぎる。
 最終的には素手で甲羅をひっぺがし、大量の蟹味噌と撃退酒を混ぜ合わせて『アート爆発』!
 酒を熱燗にする狙いだが、はたして上手くできるのか?

 かたや召喚獣で巨大蛸と戦ってるのは、陽花。
 多重召喚で二体の獣を使役し、自分も薙刀を振るってタコをさばく。
「フェンリル、ヒリュウ、がんばって解体しちゃうんだよ!」
 キリッと命令する陽花だが、召喚獣の動きが芳しくない。
 まぁタコをさばくために生まれてきたわけじゃないからね、召喚獣って。
 などと言ってるそばから、タコの触手が陽花に絡みつく。
「もう、どこに絡みついてるの!? 食材なんだから暴れないで素直に解体されるんだよー!」
 この破廉恥パフォーマンスに、ノヴェラは無言で点数をつけるのであった。

 そんな騒ぎの中、恋音は淡々と巨大鮪を処理していた。
 手にしているのは包丁ではなく、エネルギーセイバーΣ。
 実体のない魔法剣を使うことで、刃物の金属臭を食材に移さないのが狙いだ。
 部位ごとに切り分けたら、審査員ふたりに訊ねる。
「えとぉ……これから各部位ごとに、調理しますけれどぉ……ご希望の厚さなどは、ありますかぁ……?」
「それは月乃宮君のセンスにまかせるよ」
「同じく。おまえの考えた最高の調理をすればいい」
 ノヴェラもウェンディスも人任せだ。
「そうですかぁ……わかりましたぁ……全力をつくしますぅ……」
 恋音は秘伝のノートを開いた。
 そこにはアウルを用いたオリジナルの調理技法が記されており、うまく再現できれば至高の美味が生み出せるのだ。

 各人それぞれ調理パフォーマンスを披露する中、エイルズレトラ マステリオ(ja2224)はパフォーマンスを放棄して独自の演出に走っていた。
 用意したのはパソコンとモニター。その画面に青い海が映し出される。
 海原を疾るのは小さな漁船。船首にはシルクハットにタキシードのエイルズが立ち、鋭い目で前方を見据えている。
 やがて、おもむろにダイヤを召喚。海中へ潜らせた。
 しばしの沈黙。
 数分後、ダイヤが海面から飛び出した。
 それを追いかけて現れたのは、巨大なダツ。海産物天魔シリーズの中でも凶悪な部類だ。
 エイルズに襲いかかるダツ型ディアボロ。
 間一髪でこれをかわし、エイルズは漁船から飛び降りて水上歩行で海面を走る。
 めざすは砂浜だ。
 が、敵は一匹だけではなかった。
 サメのごとく尾ビレで海面を切り裂きつつ、数匹のダツがエイルズを追う。
 次々跳びかかってくるダツを、エイルズは持ち前の回避力でヒラヒラかわす。
 しかし敵の数は増える一方だ。
 じきにエイルズの足が鈍り、よろけてバランスを崩した。
 その隙をついて、ダツが背後から跳びかかる。
 絶体絶命!
 と思われた瞬間、ダイヤがエイルズの脇からタックルで突き飛ばした。
 空を切ったダツは鼻先から砂浜に落下。地面に刺さって抜けなくなる。
 そう、最初からこれがエイルズの狙いだったのだ。まさに体を張った、撃退士ならではの漁法!
 さらに彼は獲物に串を打ってまっすぐ整え、鼻先を地面にブッ刺して火吹きパフォーマンスで炙る。
 焼きあがったら粗塩を刷り込んで完成!
「ちょっと待って!? まさか天魔料理!?」
 さすがにノヴェラがツッこんだ。
「ごらんのとおりですが、なにか?」
「それは食べちゃ駄目!」
「案外まともなことを言うんですね」
「これでも教師だから!」
 というわけで、まさかの天魔料理を出したエイルズ。無念の失格!

 ボムッ!!
 すごい爆発音が轟いて、一同は反射的に振り向いた。
 見れば、沙羅の使っていたオーブンが爆発炎上している。
「アウルの火力強化に耐えられませんでしたか……しかしピンチに陥ってからが撃退士の本領発揮。このまま調理を続けます」
 燃えさかるオーブンを利用して、鶏肉をローストする沙羅。
 火災報知器が鳴りだすが、だれも慌てやしない。この程度の爆発で動じる者など久遠ヶ原にはいないのだ!


 ともあれ、波乱の果てに全員の料理が出そろった。
 一番手に立つのは陽花だ。
「はい、完成なんだよ♪ なんとか無事に調理できてよかったんだよー♪」
 笑顔で海鮮料理を運んでくる陽花だが、せっかくの衣装(巫女服)がズタズタのデロデロだ。
 カニの鋏に切られたり、タコやウナギに絡まれたりしたせいである。
「すごい格好だけど大丈夫?」と、ノヴェラ。
「平気平気。だいじな所は隠れてるよ♪ はいどうぞ、全部食べてね♪ ……ぇ? きゃっ!?」
 料理を出したとたん、かろうじて残っていた衣装がズリ落ちた。
 あわてて両腕で隠す陽花。
「その演出、プラス1点!」
 相変わらず適当な採点をするノヴェラ。
 肝腎の料理はといえば、鰻の蒲焼き、蟹の塩焼き、蛸の唐揚げ。
「見た目はおいしそうだけど……ぅぐっ!?」
 蒲焼きを口にしたとたん、ノヴェラは青くなった。
 ウェンディスも死にそうな顔になっている。
「これは殺人兵器か? 余裕のマイナス5点だ」
「味はひどいけど、パフォーマンスは3点ね。はい、次の人!」

「私の料理は……巨大黒鮪の『鮪づくし』ですぅ……」
 恋音が持ってきたのは、各部位ごとに調理された鮪料理だった。
 頬肉のフライ、目玉の煮つけ、カマの照り焼き、テールのステーキ、赤身とトロの刺身、アラの味噌汁……etc
「どれも普通にうまいぞ。4点やろう」
 ウェンディスには好評だ。
 かたやノヴェラは首をひねる。
「味は良いけどパフォーマンスが想定内だったね。僕からは2点」
「うぅん……撃退士らしく、工夫してみたのですけれどねぇ……」
 残念そうに言う恋音。
 演出が地味すぎたのだ!

「私の番だな。食通気取りに本気の料理を見せてやろう」
 静花の料理は辣子鶏。
 普通に作った普通の料理だ。コンテストの趣旨を理解してるのか怪しい。
「そもそもだ、アウルが生体に与える影響は月乃宮を見れば慰めるくらいだが食材にアウルを用いても食材は活性化しないから意味などない。もし活性化できるなら天魔に向かって学園長の写真をたたきつける奴しか残らないはずだ。よくわからないけど、そういう扱いらしいからな。だいたい活性化した食材で料理して、できあがった料理も活性化するのか? 万物に影響を与えそうに見えるアウルだが、その効果を維持することは全くできてない。仮に活性化したとして、活性化させている奴に腹を握られていることになるんじゃないのか。まぁそれは置いといて、いいから私の料理をおとなしく食え」
 一気にまくしたてると、静花は皿をテーブルに置いた。
 鶏の軟骨と胸肉に青野菜を加えて炒め、激辛に仕上げたものだ。
 自家製の麻辣醤と辛さ救済用マヨネーズが添えられている。
「普通にうまいが……3点だな」と、ウェンディス。
「パフォーマンスは0点ね。本当に普通の料理だし」
 激辛料理ゆえかノヴェラの評価は辛口だった。
 静花は趣旨を理解した上でやってるとしか思えない……。

「時期的に考えて、少々早いですがクリスマス料理を作りました」
 沙羅が出してきたのは、真っ黒に炭化した塊だった。
「オーブンを爆発させて作ったヤツだね」と、ノヴェラ。
「そのとおりです。危険を顧みず命を削って料理するのが、私の流儀。いままでの対決で得た経験と絆……その全てを籠めて、発動!」
 沙羅が『絆』を放ち、大太刀を黒い塊に叩きつけた。
 ゴシャッ、と岩の砕けるような音がして、塊が割れる。
 と同時に、密閉されていた芳香が溢れ出した。
「どうぞ、富貴鶏のローストチキンです」
 これがうまくないはずがない。
 二皿目に、食材全てを余すことなく使いきって旨味を濃縮させた『丸ごとブイヤベース』
 さらに淡く輝くクリスマスケーキで、とどめを刺す。
「うまかった。4点だな」
「爆破演出を評価して、僕からは3点ね♪」
 なんだかんだで爆発が好きなノヴェラなのであった。

「見てのとおり、私からは蟹づくしです」
 雫が提供したのは、巨大タラバのフルコース。
 焼き蟹、蒸し蟹、茹で蟹、蟹鍋……そして蟹味噌の甲羅酒。
「料理は通常的な物ですが、調理法を撃退士らしく派手にしてみました」
「うん、いいね。とくに甲羅酒がいいよ♪ 切った脚をヒールで再生させるのも名案だったね。パフォーマンスは3点」
 ノヴェラは蟹味噌と日本酒に満足げだ。
「味は普通に蟹コースだな。俺からも3点だ」
 実際、でかい蟹を使っただけで料理自体は普通だった。

「いよいよ私の番ですね。藍子さん、絵夢さん、ご登場ください!」
 雅人の案内で登場したのは、三条藍子と絵夢の親子。
 そのまま皆の前で服を脱ぐと、出てきたのは極小ビキニだ。
「おふたりとも素晴らしい。最高に美しいですよ。ではここへ横になってください」
 雅人が指差したのは、舟形のベッド。
 藍子と絵夢は全身を火照らせながら、そこへ仰向けになる。
「では行きますよ! ふおおおおっ!」
 半解凍された魚介の切り身を大剣で切りつけ、刺身にする雅人。
 その一切れ一切れが華麗に宙を舞い、藍子と絵夢の体に盛りつけられてゆく。
 やがて完成したのは、『巨大海鮮の刺身女体盛り!』
「今回は料理は勿論のこと、器にも最大限こだわってみました。どうぞ御試食ください」
 妙に紳士的な口調で二つの『舟』を出す雅人。
 真っ白な女体に、新鮮な魚介の輝きが光る。
 ただの悪趣味な女体盛りではない。器の体温で刺身をゆっくり解凍する寸法だ。
「僕は好きだよ、こういうの。でも3点かな」と、ノヴェラ。
「味はダメだ。どんどん刺身が生ぬるくなってくるぞ。1点だ」
 ストイックなウェンディスに、女体盛りの効果はなかった。

「……最後に……デザートを……用意した」
 桜花が運んできたのは、『アウル製ドラゴンフルーツババロア・宝石の器仕立て』
 飴細工のゴブレットには薔薇の花と茨の蔓が飾りつけられ、宝石のようなフルーツ水飴が散りばめられている。
「これは立派なアートだね。でも撃退士らしいパフォーマンスは少なかったかな。2点!」
「たしかに装飾は綺麗だが、味は普通だな。3点だ」
 審査員の評価はなかなか厳しかった。
 結果──


 恋音  +6/計20点
 沙羅  +7/計19点
 桜花  +5/計14点
 雅人  +4/計4点
 雫   +6/計3点
 静花  +3/計3点
 陽花  −2/計−8点
 エイルズ 審査不能


「じゃあ僕から一言。全体的に演出が地味だったね。巨大食材やアウル食材を使っても、普通の料理にしたんじゃ意味ないよ。既存のレシピどおりじゃなく、もっと独自の料理を作ってほしいな」
 ノヴェラが総括を述べた。
「俺の望む『最高の料理』には出会えなかったが……一品を除いてどれもうまかった。ごちそうさま、だ」
 ウェンディスが行儀良く両手を合わせ、KCB第5回戦は幕を閉じた。
 ほぼ恋音と沙羅の優勝争いになってきたが、最終決戦はもう近い。




依頼結果/参加キャラクター

依頼成功度:成功面白かった!:2人
MVP一覧
 −
重体一覧
 −

御料理姫・
水無月沙羅(ja0670)

大学部3年3組 女 阿修羅
歴戦の戦姫・
雫(ja1894)

中等部2年1組 女 鬼道忍軍
超絶回避・
エイルズレトラ マステリオ(ja2224)

中等部3年1組 男 鬼道忍軍
花々に勝る華やかさ・
染井 桜花(ja4386)

大学部3年3組 女 ルインズブレイド
乳牛魔王・
月乃宮 恋音(jb1221)

大学部1年1組 女 ダアト
AV男優・
袋井 雅人(jb1469)

大学部3年8組 男 ナイトウォーカー
遥かな高みを目指す者・
彩咲・陽花(jb1871)

大学部5年8組 女 バハムートテイマー
惚気死すべし、慈悲は無い・
何 静花(jb4794)

大学部1年1組 女 阿修羅


依頼相談掲示板

挨拶表明テーブル
宝井正博(jz0036)|教師0組|男|一般
最終発言日時:2016年12月02日 19:25
「KCB五回戦」控室
月乃宮 恋音(jb1221)|大学部1年1組|女|ダア
最終発言日時:2016年12月02日 01:55


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