ハヤブサ死骸から鳥インフル陽性確認-苫小牧市内
(2016年 11/30)道は29日、苫小牧市内で見つかったハヤブサ1羽の死骸から、遺伝子検査で鳥インフルエンザウイルスの陽性反応が出たと発表した。環境省は今後、北海道大学で毒性の強い高病原性かどうか調べる確定検査を行い、判明に1週間程度かかる見通し。道内で今年、野鳥からウイルスが検出されたのは、根室管内中標津町に続いて2例目。同省や道など関係機関は警戒を強めている。
道などによると、24日に苫小牧東部地域の事業所敷地内で従業員がハヤブサの死骸を発見し、市職員が回収。簡易検査では「陰性」だったものの、同省が25日から国立環境研究所(茨城県つくば市)で遺伝子検査を行ったところ、29日に「陽性」と判明した。同日現在、死骸が見つかった場所の周辺では他に衰弱や死亡した野鳥は確認されておらず、道内の家禽(かきん)飼養農場からも、ニワトリなど家禽への感染が疑われる報告はないという。
道は、確定検査中の対応として、回収地点から半径10キロ圏内で衰弱や死亡している野鳥がいないか毎日確認する方針。胆振総合振興局農務課は「確定検査で高病原性と分かった場合、警戒本部会議を開き、対応を判断する」としている。
環境省北海道地方環境事務所(札幌市)は、ハヤブサの回収場所から半径10キロ圏内に国指定のウトナイ湖鳥獣保護区があるため、30日から巡視活動を強化する。確定検査の結果が出ていないため、今のところウトナイ湖への立ち入り規制は行わないが、野鳥との接触を避けるよう注意を呼び掛けている。同事務所野生生物課の田口和哉課長は「ウトナイ湖野生鳥獣保護センターと連携を取りながら、情報収集を進めたい」と話す。
道の胆振家畜保健衛生所(登別市)は、ハヤブサから陽性反応が出たことを受けて29日、胆振管内で100羽以上のニワトリなどを飼養する農場や関係機関など53カ所に感染防止など対策を呼び掛ける文書をファクスと電子メールで送信した。
胆振管内で飼養されているニワトリなど家禽類は約542万羽(7月現在)と、全道の4割以上を占める。国内で高病原性鳥インフルエンザの発生が相次ぎ、新潟県や青森県の家禽農場で被害も出ている中、同衛生所の手代木一孝所長は「今のところ異常の報告はないが、警戒していきたい」と話した。
今月中旬、中標津町で見つかったオオハクチョウの死骸からウイルスの陽性反応が出たものの、高病原性ではなかった。