中国共産党がクリスマスを祝うことはない。だが、クリスマスが悪い出来事を葬り去るのに適した時期だとは考えている。最も評判が悪かったのは、中国の裁判所が2009年のクリスマス当日、後に中国で唯一ノーベル平和賞を受賞した民主活動家の劉暁波氏に対して、国家政権転覆扇動罪で懲役11年の実刑判決を言い渡した出来事だ。
今年は経済関連の厄介な出来事が起きるかもしれない。今年のクリスマスは日曜に当たるが、その直前直後の取引日は中国の通貨、人民元が対ドルで重要な節目となる7元を割り込むのに都合のいい時期になり得る。7という数字は、北京の中国共産党と政府高官がこのところずっと取りつかれている重要な2つの数字のうちの1つだ。もうひとつは3で、11月末時点で中国が保有する外貨準備高は3兆ドルあまりだった。そして、この2つの数字は密接に関連している。
中央銀行である中国人民銀行(人民銀)が市場に人民元の価値を決定する大きな役割を与えた15年8月以降、人民元は対ドルで値を下げ続けている。人民元はその間に、対ドルで6.2元から21日に付けた8年来の安値、6.95元近辺まで下落した。
もし人民銀が元安を食い止めようと、外貨準備から進んでドルを売らなかったら、人民元はもっと急速に一段と下落していただろう。これが、14年には4兆ドルもあった中国の外貨準備が減少の一途をたどる原因となった。
人民元が対ドルで7元近辺をふらついていることから、中国の外貨準備高は3兆ドルを割り込みそうな様相で、その事実が、既に意見が割れている国内政策の議論に火をつけている。議論の争点は、人民元を支えるために外貨準備を「無駄遣い」し続けるのかという点だ。
■必要な外貨準備は1兆~2兆ドル
経済的学識のある政府高官らは、中国の外貨準備は有り余るほどの財産であると同時に、管理は頭痛の種だと主張する。実際、国際通貨基金(IMF)の計算によると、各国に必要な外貨準備は、輸入の支払いの3カ月分と、対外短期債務を履行する額を保有するだけで十分だとしている。
そうした高官らは今年初め、中国企業がいずれにしても返済すべきリスクの高い対外借り入れは、中国の外貨準備の少なくとも1兆ドルに相当し、対元でドル高が続くのであればなおさら返済すべきだと非公開の会議で話し合った。高官らは、中国に必要な外貨準備は2兆ドル、もしくはたったの1兆ドルでも問題ないだろうと言う。