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【島根女子大生殺害】
専門家「厳密な捜査か疑問」…発生7年、“異例”の展開
平成21年11月に島根県立大1年の平岡都さん=当時(19)=の切断遺体が見つかった事件は発生から7年後、島根・広島両県警合同捜査本部が、容疑者死亡のまま、殺人容疑などで書類送検する異例の展開となった。刑事手続きに詳しい専門家には、評価とともに「厳密に捜査できたのか疑問」との意見もある。
甲南大法科大学院の渡辺修教授(刑事訴訟法)は「粘り強い捜査の成果」とした上で「書類送検する以上は、検察官が起訴しても有罪立証できる程度の証拠が整うことが法的に求められる」と話した。
容疑者死亡のケースでは通常、不起訴処分となり、捜査は終結してしまうため「検察は警察の判断をうのみにして安易に不起訴とせず、嫌疑の裏付けが十分かどうか、独自捜査などで見極めるべきだ」と主張する。
元東京高裁判事の木谷明弁護士(刑事法)は「容疑者からの反論がなく、反証ができない中で厳密に犯人性を立証できたのか疑問だ」と指摘。一方で「容疑者死亡では徹底的な捜査は難しく、警察としては一応責任を果たしたことになるのでは」との見解を示した。