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【島根女子大生殺害】
捜査難航からの急転直下の背景 性犯罪“つぶしの捜査”範囲拡大で男浮上…防犯カメラと被害者画像で「心証」強める
平成21年11月に広島県の山中で島根県立大1年、平岡都(みやこ)さん=当時(19)=の遺体が見つかってから7年。延べ30万人以上が投入されながら難航していた捜査は突然、大きく動いた。捜査線上に浮かんだのは、事件発覚直後に死亡していた男=当時30代=だった。膠着(こうちゃく)状態にあった未解決事件はなぜ急展開したのか。
平岡さんの遺体が臥竜(がりゅう)山(広島県北広島町)の山頂付近で見つかったのは、21年11月6日。遺体は切断されており凶器や死因は判明せず、容疑者の特定につながる指紋やDNAも検出されなかった。
物証に乏しい状況で、島根・広島両県警合同捜査本部が頼ったのは、遺体に付着していたポリ袋片。遺体運搬用に使われたとみて詳しく鑑定したところ、NTT電話帳の配布用と特定した。広島県内の配布エリアに捜査員を動員したものの空振りに終わった。
時間だけが経過し捜査員の焦りが募る中、突破口を開いたのは、遺留品捜査と並行して続けられていた“つぶしの捜査”だった。
切断された平岡さんの遺体は、何度も傷を付けられるなどした形跡があった。このため、捜査本部は過去の性犯罪事件に関与した人物や、ホラー映画の愛好者など猟奇的な嗜好(しこう)を持つ者らをピックアップ。事件当時のアリバイなどをしらみつぶしに調べてきた。
捜査関係者らによると、今年に入り、その範囲を拡大。山口県下関市出身で、事件当時は島根県益田市在住だった30代の会社員の男が浮かんだ。