【箱根への道・国学院大】5区候補・市川、一般入試で寮に入れない練習生からメンバー入り

2016年12月22日10時0分  スポーツ報知
  • 箱根駅伝のコースを見つめる国学院大・市川創史

 2年ぶりの出場となる国学院大は21日、都内の渋谷キャンパスで壮行会を行った。5年ぶりのシード獲得を目指すチームの“秘密兵器”は市川創史(4年)だ。一般入試で寮に入れない練習生から初のエントリーメンバー入り。8月の黒姫・妙高山麓駅伝で高低差のある1区を好走し、5区候補に名乗りを上げた。一般商社に内定し、今回の箱根路が最初で最後となる。

 夢だった舞台に手が届く位置に来た。最後に手にしたエントリーメンバー。市川の胸は躍った。8月の黒姫・妙高山麓駅伝で172メートルを上る1区(8・8キロ)で区間4位。健闘を買われて一躍、山上り候補となった。「箱根駅伝に走りたいと思って頑張ってきた。それに近づけてうれしい」と目を輝かせた。

 ほかのメンバーと違い、寮から徒歩10分のアパートで暮らす。愛知・豊田南高時代の5000メートルの自己ベストは15分38秒。同高1年の時に、早大の学生駅伝3冠に貢献した猪俣英希が5区で“山の神”柏原竜二(東洋大)に食らいつく走りを見て箱根路に憧れた。3000メートル障害で県大会に出場したが、陸上での推薦はもらえず、一般入試で国学院大に合格した。結果を受けて、前田康弘監督(38)に入部を直談判。「3か月、様子を見させてほしい」と練習生でチームに入った。

 朝5時に起きて練習に参加し、「自己ベストより速いペースで回る」トラックでの走りについていくのは、簡単ではなかった。「絶対に諦めない」と食らいついた。すると、1年目で5000メートル14分43秒を記録。前田監督からも「ストイックに練習をする」と認められた。

 練習しすぎて右すねを故障するなど、伸び悩んだ時期はあったが、今季はけがもなく8月には1000キロを超える距離を走破。妙高での結果を受け「秘密兵器」として、競技会には出ずに上りの練習を中心に対策を進めている。

 卒業後は一般商社に内定。指揮官は、苦労人の4年生に「1時間13分台が狙える」と期待。今回から5区は2・4キロ短くなるが、同距離で行われていた05年大会以前を見ても、区間8番手以内に入る好記録だ。全エントリー選手の中で1万メートルの記録は313位。「実績は劣っても、最後に勝ちたい」と市川。競技人生最後の夢舞台で“下克上”を果たし、新興チームに新たな歴史を作る。(遠藤 洋之)

 ◆市川 創史(いちかわ・そうし)1994年6月16日、愛知・蒲郡市生まれ。22歳。法学部4年。中学までサッカー部。豊田南高1年から陸上を始め、3000メートル障害で県大会出場。高校時代の5000メートル自己ベストは15分38秒。箱根駅伝出場はなし。今夏の黒姫・妙高山麓駅伝1区4位。趣味はスポーツ観戦。167センチ、47キロ。家族は両親と双子の兄。

箱根駅伝
  • 楽天SocialNewsに投稿!
その他
今日のスポーツ報知(東京版)