大分県警別府署が今年6月の参院選公示前後に、野党の支援団体の敷地に隠しカメラを設置した事件では、警察庁と大分県警は「刑事官が勝手に判断して、個人でカメラを借り上げた」として、〝刑事官の暴走〟で幕引きを図っている(詳細は「前編」より http://gendai.ismedia.jp/articles/-/50487)。
しかし今回筆者の取材で、電気工事会社に再就職した大分県警OBの元警部が、犯行に使われた特殊なカメラを署に直接売り込み、納入していたことが判明した。さらに同じカメラが前年から別府署や他の警察署で使われていたことも分かった。
今回の事件が、刑事官だけの問題ではすまないことは明らかだ。しかも国会では野党の追及により、全国の警察組織が日常的に「盗撮」を行っている可能性が浮かび上がっている。
ジャーナリスト・田中圭太郎氏渾身のレポート、後編をお届けする。
盗撮カメラのSDカードに残されていた、別府署の内部を映した動画ファイル。
再度よく映像を確認し、音声を聞いてみると、別府署の署員ではない人物が写っているのが分かった。
次の写真は映像から切り出した画像だ。盗撮カメラの使い方について、当時刑事官だった阿南和幸氏(中央に写る男性)が、誰かから説明を受けている様子が写されている。
『赤いランプがさっき点いた。これで録画が始まっていますので』
『角度的には水平に撮るみたいに、ここにちょっと発泡スチロールか何かをかませて』
阿南氏にカメラの使い方や設置のコツを説明しているのは、画面左側に映っている青いシャツを着た人物。
実はこの人物は、別府署の捜査員ではない。2015年3月に大分県警を警部で定年退職し、翌月から大分市内の電気工事会社に再就職している大分県警のOBだ。
この元警部は2016年6月18日、最初に盗撮が行われた当日に、カメラ3台を別府署に持ってきた。つまり、労働団体の事務所の盗撮に使われたカメラは、元警部が勤務する会社から納入されたものだった。
映像に写っている、箱に入ったカメラが2台と、この様子を撮影しているカメラが1台。元警部がカメラの使い方を教えるために試し撮りをしたときの映像が、発見されたカメラのSDカードに残っていたのだった。
筆者の元には、この元警部が今回盗撮に使われたカメラを別府署に売り込んでいた、という情報が寄せられた。筆者はこの元警部に直接会って取材を試みた。
すると元警部は取材に対し、別府署に自らカメラを売り込んで、納入した当日に使い方を阿南氏らに教えたことを認めたのだ。その上で、カメラを納入した時のことを詳細に語り始めた。