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もんじゅ廃炉 サイクル断念が本筋だ

 「高速炉ありき」「核燃料サイクルありき」の結論だった。政府は高速増殖原型炉「もんじゅ」の廃炉を正式決定する一方で、使用済み核燃料を再処理し取り出したプルトニウムを再び燃やす核燃料サイクルの継続も改めて打ち出した。

     「もんじゅ」は1兆円を超える国費を投入しながら、相次ぐトラブルや不祥事により22年間で250日の運転実績しかない。運営主体である日本原子力研究開発機構は原子力規制委員会から「運営能力がないので交代を」とまで指摘された。

     廃炉自体は当然のことだが、問題はさまざまな課題に目をつぶったままの決定であることだ。なぜ、もっと早く無駄な税金投入をやめて廃炉にできなかったのか。その検証をなおざりにしたまま、非公開の会議で方針を決めた。これでは国民の納得は得られない。

     さらに根本的な問題は、「もんじゅ」を廃炉にする一方で、一段上の高速実証炉の開発を進める決定を下したことだ。

     高速炉はサイクルの要である。「もんじゅ」廃炉で本来のサイクルの輪は切れる。とすれば、何より見直さなくてはならないのはサイクル政策そのもののはずだ。

     ところが、政府は2014年に閣議決定した「エネルギー基本計画」にサイクル維持が盛り込まれていることを盾に、高速炉開発を前に進めようとしている。

     そのための方策として、フランスの高速実証炉「アストリッド」計画への参加を持ち出したが、実現性もはっきりしない計画で、その場しのぎとしか思えない。

     政府がサイクル維持にこだわるのは、サイクルの旗を降ろしたとたん「資源」だった使用済み核燃料が「ごみ」となり、これまで「資源」として貯蔵してきた青森県が発生元に持ち帰りを要求するからだろう。使用済み核燃料で貯蔵プールがいっぱいになれば原発は動かせない。

     しかし、この問題は政治が腰を据えて対策に取り組むことで解決すべきであり、サイクル維持を方便として使うべきではない。

     潜在的核抑止力の立場から再処理を維持したい思惑があるとの見方もあるが、これも説得力がない。

     福島第1原発の事故から5年9カ月を経て、いまなお仮設住宅や避難先で年を越そうとしている人たちがいる。政府は膨れあがる事故処理や廃炉の費用、賠償費用の負担を広く国民に転嫁しようとしている。

     そうした現実を思えば、政治が取り組むべき優先課題が高速炉開発でないことは明らかだ。サイクルは断念し、その費用を福島対策に振り向けてほしい。

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