森に現れし悪魔

マスター:なちゅい

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
4~6人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2016/12/12 07:30
完成日
2016/12/16 21:15

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング

●疾走してくるヤギの一団
 ヤギといえば。
 古くから人類によって家畜として飼育され、その肉、毛、乳などは広く使用されている。
 普通、乾燥地域に住み、あるいは飼われている動物。それが、なぜか今雑魔と成り果て、リンダールの森に現れているという。
「狼の数が減ったというのに、これでは……」
 森の集落の中、年老いたエルフの集落の長が呟く。
 単なる雑魔だと思いたいが。そんなことを考えるエルフ達は、集落に向けて突進してくるヤギ雑魔の対処に頭を悩ませている。
 この森含め、グラズヘイム王国東の地域には、何かいるのだろうか。動物を雑魔とさせる何かが……。
 そう考えれば、狼は前触れにしかすぎないのかもしれない。実際、こうして雑魔となったヤギがエルフの集落へと侵攻してきているのだから。
 ヤギはリアルブルーの西洋地域において、悪魔の象徴とされていたこともあるという。これは、異教神のイメージからきたものとされるが、それらの印象がこのファナティックブラッドにおいても、どこからか知れ渡っている可能性もある。……例えば、歪虚などによって。
「杞憂ならいいのですけれどね……」
 別のエルフがそう告げるが、ともあれ今は雑魔の対処が先。……しかし、今、集落の男性の多くは出稼ぎに出ており、戦える者はわずかしかいない。男性達を呼び戻したくとも各地に散っていて、ヤギの接近にはとても間に合わない。
「致し方ない。ハンターの力を借りよう」
 長はそのまま、集落にあるハンターズソサエティへと向かって行ったのだった。

 程なく、ハンターズソサエティに出された依頼。
 リンダールの森に現れたヤギ雑魔の討伐というのがその内容だ。
 冬となり葉を落とした木々が立ち並ぶ森を、敵は木々を避けながら前方へとものすごい速さで疾走してくる。木々が邪魔だと感じた場合は木を破壊して、直進することもあるらしい。
 ヤギ雑魔の攻撃は雄雄しく生えた角だ。また、体当たりを行うこともあるのと、時に禍々しい呪いを発してくることもあるから注意したい。
 面倒な相手ではあるが、熟練のハンターであれば十分対処できる相手だと思われる。
 どうか、力を貸してほしい。その張り紙には、1人のエルフの名前と共に、達筆な文字でそう書かれてあったのだった。

プレイング

クオン・サガラ(ka0018
人間(蒼)|25才|男性|機導師
猛進する山羊を止める

山から下りてきた「獣」が人里で大暴れ…
まあ…そんな季節ですかね
従魔までそんな事を模倣しなくてもいい気がしますけど、来てしまったモノは確実に対峙します

(準備)
行動を阻害する罠として現地の地図とワイアー・トラバサミを申請しておきます

セットする時間を稼ぐ為にバイクで急行し、下車してから村の前に陣取って罠のセットに入ります
ワイアーは木同士を結んで木が突進で折られても絡みついて行動を妨げ、間を抜けようとすれば切りつける効果を狙います
ただ、終わったら回収する上に、これに味方が引っ掛かるとまずいし、敵の行動をコントロールするには多少目立ってもいいので目印は付けておきます
あと…要所要所にトラバサミを置く程度ですね…手に入らなくても後方待機は変わりませんが…


(戦闘)
まずは…デルタレイと魔導拳銃を状況に合わせて使い分けて迎撃し、近距離まで来たらアイシクルコフィンを狙っていきます
そして、罠を突破して抜けられそうになったらエレクトリックショック で止め、側面から仕掛けます

…正直、直撃をもらうと厳しいので…私がどの位立ち回れるかにょって大分違う気もします
ただ、4体は…火力的にしんどいです
霧島 キララ(ka2263
人間(蒼)|26才|女性|猟撃士
「さて、狩りを始めようか…」
ヤギの雑魔か…獣が相手ならやりやすい、私好みの相手だな。
さてと、今回は所謂防衛戦と考えるべきか…。

私がやるべき事は皆の援護とトドメといった所か…。
前衛後衛の皆よりエルフの集落に近い位置(皆より対象に対して少し後方)に陣取り防衛線と迎撃の役割をやらせてもらおう。
狙撃場所は木の上が良いな、そこならある程度全体を見渡しながら援護と対応が出来そうだ。
狙うべき場所は第一に広い面積の胴体、狙えるならば足を狙い機動力を削ぐのも良いだろう。
しかし、久しぶりの依頼参加で勘が鈍っているかもしれないな…この依頼で取り戻せるといいのだが。

「楽に逝かせてやりたいところだが…まぁ、恨んでくれても構わないさ」(スキル・エイミング)
「悪いな、喰いつかせてもらった」(スキル・制圧射撃)
「少し…凍えていろ」(スキル・蛇氷)
「確実に仕留めさせてもらう…被害を出すわけにいかないんでな」

●皆より後方に備え、見晴らしの良い木の上から全体を確認しながらのスナイプ行動。
●攻撃方法は遠距離射程から狙撃、近距離に近づかれた場合(抜かれそうな場合)は木の上から飛び降りながら、デリンジャーで攻撃。
●罠を仕掛ける行動をするメンバーがいるなら、道具の申請含めてそちらの手伝いも行います(時間的に難しそうならば、スナイプ場所への位置取りを優先させて頂きます。)
●連絡手段にトランシーバー持参。
●アドリブ・絡み大歓迎。
セツナ・ウリヤノヴァ(ka5645
人間(紅)|24才|女性|舞刀士
山羊型ですが……山羊は断崖絶壁も僅かな凹凸を利用して上り下りすると聞きます
その山羊の習性と同じくならば、足場が不安定な場所も障害物が多い場所も私達よりは有利でしょう
倒される木々には注意が必要ですが、無闇に動かずに迎撃することが有効そうですね

■作戦
迎撃に向かう前衛と、討ち漏らしを駆逐する後衛に分かれます
私達が突破されてしまった場合は集落側のエルフの皆様が対応するとのことですが、それで万事安全とは言い切れません
万が一に備え、私達の後方に罠を仕掛ける時間を稼ぎます
罠の設置は後衛の皆様が担当します

罠の場所は前衛と集落の間の地点、種類はそれ程時間を要するものは設置できなさそうですので、浅くても落とし穴があれば使えそうです
落とし穴は設置後に木の葉を被せ、大木などを直前に横倒しておけば、飛び越えた後に着地で嵌る可能性ありと見ます
その場に誘導する必要は場合によりありそうですが…
ここは事前に後衛の皆様にお伝えできれば

■移動と戦闘
馬を飼って急行し敵との距離を縮め、戦闘時は下馬
前衛に位置し、【円舞】を駆使して迎撃に努めます
回避を行えば時間稼ぎに支障が出るので、攻撃は【受け流し】を狙いましょう

敵の部位を狙うのならば角を優先し、次に前足を狙うことです
一つは攻撃手段を封じ、一つは動きを阻害する

4体のうち半数が突破してしまいそうなら、トランシーバーで後衛に連絡

全て駆逐が完了したら、集落へ報告を
ユウキ(ka5861
ドワーフ|14才|女性|闘狩人
【心情】
エルフの集落…エルフだけが住んでるトコロ。
綺麗なエルフがいっぱいなんだろうなぁ…。
って、惚けてる場合じゃないよね。
集落も、エルフの皆も、絶対護りきるよ!勿論、仲間もだよ!
「絶対に、護り切ってみせるよ!」

【目的】
集落死守。

【準備】
罠の設置をするのならばいち早く戦闘態勢に移れる様に敵接近の警戒をするね。

【行動】
ボクは後衛になるかな?
「これより後ろには絶対に行かせないよ」

弓での支援メインに援護射撃と、抜けてきた敵の対処。
弓射程から外れたら剣で応戦だよ。
「これ以上集落には近寄せねぇよ」

弓で貫徹の矢使用。眉間を狙って即効撃退を心掛けるね。
「痛てぇだろ。エルフの集落狙うからこうなるんだよっ!」

敵接近で剣で応戦。先ずはソウルトーチ使って注意をボクに向けるよ。
上手く注意を惹けたら仲間の攻撃の好機作り。
ボクはカウンターアタックでのヒット&アウェイを。
「痛てぇんだよこの野郎がっ!」

仲間護りも確りやるよ。いざと言う時は体を張ってでも護るから。
手が届く範囲で怪我人なんて絶対出させないよっ。


敵撃退後付き合ってくれる仲間が居たら一応周囲に敵が居ないか一緒に巡回を。
独りなら余り集落からはなれ過ぎない様に注意して巡回するね。

全て終了後は、ここの所の異常…雑魔の出現情報なんかを聞いておいて、
今後の対策を練れると良いんだけど…。

あと、その、エルフの友達とか出来たら嬉しい、な。

連携重視
アドリブ、絡み歓迎
称号希望
ダグマス(ka6527
ドワーフ|25才|男性|闘狩人
【目的】
突撃してくるヤギ雑魔に対し、1体でも多く必殺の一撃を叩き込む。

【心情】
突撃する敵を食い止めるとは、また面白い戦場じゃのぅ。
しかも背後に村があっては、後退もままならぬ。

しかし、わしらは勇敢こそを誉れとする。ここで引けるはずもない。

ならば、一撃でもって、奴らに痛打をあたえるとしようかの!

【行動】
「さて、狩りじゃ。奴らの角よりも、わしらの腕っぷしのほうが強いことを、思い知らせてやるわい」
罠を張る者たちよりもできるだけ前に陣取り、
突撃してくるヤギ雑魔と一騎打ちを行う。

やることは単純明快、<攻めの構え>からの<踏込><強打>で、敵の勢いを削ぐ。
欲を出せばそのまま一刀両断と行きたいところじゃが、できずとも、背後の味方の射撃でなんとでもなろう。

わしはただ、一瞬に近い交差の中で、できるだけ大きい手傷を与えることに注力するのみじゃ。

怪我?打ち負けるのが悪いんじゃ。怪我は甘んじて受けよう。
しかし、退きはせぬぞ。
南護 炎(ka6651
人間(蒼)|18才|男性|舞刀士
【心情】
 「ここで俺がしくじったら村のみんなが大変なことになっちまう。絶対に失敗できない!!」

【目的】
 ヤギ雑魔を村に到達させないために、ヤギ雑魔の撃破を目的として参加する。
 
【準備】
 サバイバル技能を駆使してヤギ雑魔の進路を予測し待ち伏せる。前衛に立つ。
 罠を仕掛ける作戦を成功させるため、村で虎ばさみを調達して、ヤギ雑魔の予測進路に仕掛ける。
 時間があれば、ワイヤーを使って足を引掛ける罠も仕掛ける。(罠を仕掛ける時もサバイバル技能を使用)
 後衛との連絡を密にするためにトランシーバーを用意する。
 (突破されてしまったときや、状況の変化があったとき等に使用する)

【行動】
 近づいてくるヤギ雑魔に攻撃を仕掛ける。自分の持つ技能を総動員して最大限の攻撃を仕掛ける。
 技能の出し惜しみはしない。
 「絶対にここを突破させない!!」「ここを抜かれたら村のみんなが大変なことになってしまう!!」
  戦闘終了後には他にヤギ雑魔がいないかを確認して、撃ち漏らしがいないことが確認できたら笑顔で村の住民に報告する。
  「もう大丈夫だぜ!!」

リプレイ本文

●エルフの集落を護る為に
 リンダールの森。
 ユウキ(ka5861)はエルフばかりが住むその集落に興味津々できょろきょろと見回す。
「エルフの集落……、さすが、綺麗なエルフがいっぱいだなぁ……」
 幻想的な光景にうっとりしてしまった彼女はさておき。
 とある集落までやってきたハンター達は、さほど雑魔の襲撃まで余裕のない状況に危機感を募らせる。
「山から下りてきた『獣』が人里で大暴れ……。まあ……、そんな季節ですかね」
 従魔までそんな事を模倣しなくてもいいのにと、クオン・サガラ(ka0018)は悪態づく。彼は霧島 キララ(ka2263)、南護 炎(ka6651)と共に、罠に使えそうなものをエルフから買い取っていた。
「ヤギの雑魔か……。獣が相手ならやりやすい、私好みの相手だな」
「山羊型ですが……、山羊は断崖絶壁も僅かな凹凸を利用して上り下りすると聞きます」
 銃の手入れを行いつつ霧島 キララ(ka2263)が呟くと、セツナ・ウリヤノヴァ(ka5645)が言葉を返す。
 山羊の習性と同じくしているのならば、ぬかるみなど地盤が不安定な場所も、根が地面に出ていて障害となっている場所なども、相手の方が自分達よりも有利だろうとセツナは語る。
「倒される木々には注意が必要ですが、無闇に動かずに迎撃することが有効そうですね」
 セツナはそう戦況分析を行うが、山羊雑魔は疾走し続け、エルフの集落を狙うという。
「突撃する敵を食い止めるとは、また面白い戦場じゃのぅ」
 ダグマス(ka6527)はこの状況に興味を抱いて参加している。ドワーフの戦士である彼はアックスブレードに視線を向けながら、声高らかに告げた。
「この一撃でもって、奴らに痛打を与えるとしようかの!」
「猛進する山羊を止める、来てしまったモノは確実に対峙します」
 笑うダグマスにクオンは力強く頷き、討伐に意欲を見せる。
「ここで俺がしくじったら、村のみんなが大変なことになっちまう。絶対に失敗できない!!」
 大切なものを護る為。炎は鍛えた体を張って集落を護ろうと誓う。
「……そうだね、絶対に、護り切ってみせるよ!」
 惚けていたユウキも我を取り戻し、仲間達に合わせて声を上げる。
「さて、狩りを始めようか……」
 意気揚々と作戦に臨むメンバー達にキララが声をかけると、ハンター達はひとまず集落を後にし、こちらに向かい来る雑魔の対処に乗り出したのだった。

 2班に分かれたハンター達は作戦の為、下準備を行う。
「今回は、所謂防衛戦と考えるべきか……」
 討伐依頼ではあるものの、キララは集落の防衛に重点を置いて動く。
 クオンがメインとなって罠を張っていたが、キララはその手伝いを行っていた。凝った仕掛けを行うには時間がないと判断し、比較的簡単でかつ、相手の足を止める罠を仕掛けていく。
 一足早くバイクで集落にやってきていたクオンは、仲間との合流前、すでに集落手前側に幾つか罠を仕掛けていた。
 さらに、2本の木にワイヤーを結んだり、所々にトラバサミを設置したりと、クオンは仲間達と共に罠張りを再開し、雑魔の来襲に備える。
「誰かが引っかかるとまずいからな……」
 敵の行動をコントロールするには多少目立ってもよいと、クオンは仲間が見分けられるようにと目印をつけていた。また、終了後の回収作業を楽にする狙いもある。
 ここが最終防衛線。山羊雑魔をここから先に進めてはならないからこそ、ユウキはいち早く戦闘態勢に移ることができるように、敵の接近を警戒していた。
 その3人よりも少し前方では、率先して敵を迎撃すべく、炎、ダグマス、セツナが布陣する。
「さすがに、落とし穴を掘る時間はなさそうですか……」
 乗馬したままのセツナは、トランシーバーで後方メンバーの状況を確認しつつ呟く。
 森の中では、木々が密集しており、大地に木々の根が張り巡らされている。穴を掘るのも容易な事ではない。
 さらに前方から、何かが木々を突き倒してこちらに迫ってきている。これ以上準備を行う時間はなさそうだ。
 炎も短い待ち時間を活かして、木々の間に調達したワイヤーを張っていたが、敵の接近に気づいて手を止めて、後方メンバーへとトランシーバーで山羊雑魔の接近を伝える。
「来たぜ、戦闘に備えてくれ!」
 炎は自らも覚醒し、紅く染めた片方の瞳で鋭く前方を見据えた。
「さて、狩りじゃ。奴らの角よりも、わしらの腕っぷしのほうが強いことを、思い知らせてやるわい」
 覚醒したダグマスは兜を光らせ……いや、その中、頭部の髪がなくなった部分が光らせる。
 そうしているうち、メンバーの視界の向こうに、山羊雑魔が駆けてくるのが見えた。
「後方の皆様が罠を仕掛ける時間を稼ぎませんと……」
 同じく、覚醒したセツナ。下馬した彼女は降魔刀に手をかけて敵へと迫っていくのだった。

●山羊雑魔の暴走を止めろ!
 突進してくる山羊の雑魔。黒いオーラのようなものを纏ったそいつらは目を血走らせて走ってくる。
 セツナは円を意識した体捌きを行い、手前の山羊の迎撃に当たった。
 回避に集中すれば、敵はそのままこの場を突破してしまうかもしれない。セツナはそう考え、突きつけてくる角を最小限の動きで避ける。そして、降魔刀を振るってその角を切り落とそうと切りかかったが、思った以上に角は硬く、すぐには折れそうにない。
(背後に村があっては、後退もままならぬ)
 ダグマスもまた、向かい来る敵へと一騎打ちを仕掛けた。
「だが、勇敢こそを誉れとするわしらがここで引けるはずもない」
 突撃してきた山羊の体を、ダグマスはまず受け止める。
 そのまま、彼は攻めに転じた。戦法は至極単純。攻撃を重視した構えから、強く踏み込んで アックスブレード「ツヴァイシュトースツァーン」を力の限り叩きつける。
 見事にダグマスは敵の体を斬りつけ、そいつを転倒させた。彼はにやりと笑い、さらに手傷を負わせようと斬りかかっていく。
「絶対に、ここを突破させない!!」
 全身から雑魔が発する負のオーラ。それを受けて全身に痛みを覚える炎だが、いちいち痛みを気にしてもいられない。
 精神を統一させた炎は素早く踏み出し、敵の退路を断ちつつ「ユナイテッド・ドライブ・ソード」の刃を浴びせかけた。
 そばでは、1体が炎の張ったワイヤーに引っかかって転倒する。しかし、もう1体は障害を上手く避けて3人を突破してしまった。
 そして、セツナが角を狙いつつ山羊と交戦していたものの、敵は体当たりに見せかけて彼女を抜き去ってしまう。
「……っ」
 セツナはそれに悔しそうな表情を見せつつ、トランシーバーで他の3人へと告げる。
「すまない。2体そちらに向かった……!」
 戦闘時ということもあり、端的に用件のみ伝えた彼女は、この場の2体を逃さぬようにと切りかかっていくのだった。

 連絡を受けた、後方メンバー達。
「私がやるべき事は皆の援護とトドメといった所か……」
 見晴らしの良い木の枝の上で、敵を待ち構えるキララ。覚醒したその瞳は蛇のように縦長瞳孔に変化し、赤く淡い光を放っていた。
 そして、スナイパーライフル「レスティヒクーゲル」を構える右腕には、蛇を思わせる痣が浮かび上がる。
(久しぶりの依頼参加で、勘が鈍っているかもしれないな……)
 この戦いで取り戻すことが出来ればよいのだが。そう考えていると、蹄が地面を蹴る音が近づいてきた。
「集落も、エルフも、絶対護りきるよ! 勿論、ハンターの皆も!」
 叫ぶユウキは、ロングボウ「イチイバル」を携えて構える。
 疾走してくる2体の山羊。だが、敵は突然動きを止めた。1体はワイヤーに引っかかって大きく転倒して地面を転がった。もう1体はトラバサミにかかったようで、身動きが取れなくなっている。これも、クオンが仕掛けた罠が機能した結果と言えよう。
「楽に逝かせてやりたいところだが……。まぁ、恨んでくれても構わないさ」
 蛇の瞳にマテリアルを込め、キララは暴れる敵に狙いをつける。狙うは面積の広い山羊の胴体。あわよくば、足を狙って機動力を奪おうと考える。
 狙うは、ワイヤーで転んだ山羊。立ち上がればまた疾走するのが目に見えたからだ。
 キララの狙撃は見事に敵の前足を射抜く。それにより、山羊は鳴き声を上げながら、キララへと呪いを発してきていた。
 一方で、トラバサミにかかって暴れる敵へ、魔杖「スキールニル」を振るうクオンが光の三角形を正面に出現させ、その3つの頂点から伸びる光で雑魔を貫いていく。
「これより後ろには、絶対に行かせないよ」
 トラバサミから抜け出た敵へ、ユウキは渾身の力で矢を飛ばす。その矢は敵の眉間を貫いたものの。山羊雑魔はしぶとくハンター達の方へと走り出したのだった。

●ここは通さない……!
 前方に再び視点を戻すと、その場の3人が全力で山羊雑魔を留めていた。
「打ち負けるのが悪いんじゃ。怪我は甘んじて受けよう」
 雑魔による角に突撃。ダグマスは体に傷を負いながらも、アックスブレードの刃を受け続ける。セツナが援護してくれているので、一騎打ちではなくなったが……。
「しかし、退きはせぬぞ」
 一歩たりとも、ダグマスは退かない。彼が抑えているうちに、セツナが山羊の角の片方をへし折ってしまう。
 その大きな隙に、ダグマスはありったけの力を込めて刃を振り下ろす。真っ二つに裂かれる山羊の頭。そいつは崩れ落ちる前に無に帰してしまった。
 炎も、体勢を立て直した山羊を相手にしていた。そいつは爛々と眼を輝かせ、この場の突破を図っている。
「ここを抜かれたら、村のみんなが大変なことになってしまう!!」
 持ちうる全ての力を使い、炎は斬撃を浴びせ続ける。
 ダグマスもセツナも、この場の雑魔がこの1体になったことで、攻撃を集中させていた。セツナが敵の後ろ足に斬りかかって動きを阻害したところで、炎が敵の前足を切り落とす。
 そのダメージに耐えることができず、山羊雑魔は奇妙な鳴き声を上げながら消え去ったのだった。

 前方メンバーも、うまく動きを止めた山羊2体へと攻撃を行う。
 再び動き始めようとする雑魔の足を止めるべく、キララはライフルを連射した。
「悪いな、喰いつかせてもらった」
 弾幕によって敵の足を止めたところで、クオンが雷撃を放ってその体に痺れを走らせる。ピクピクと体を小刻みに動かす山羊雑魔。クオンはその正面に躍り出て魔導拳銃の銃口を突きつけ、弾丸を撃ちこんでいく。
 だが、敵はしぶとく、彼の体を呪ってくる。体に走る痛みに、クオンは顔を引きつらせた。
(数こそ少なくなったが、直撃をもらうわけには……)
 現状、敵の特攻を受けずに済んではいる。できるならこのまま。クオンはそう考えながらも術式陣を前方に展開し、無数の氷柱を敵に飛ばしていく。手前の山羊はそれによって頭をかち割られ、ついに息絶えてしまった。
「これ以上、集落には近寄せねぇよ」
 ユウキはやや言葉を荒くし、剣で応戦を行う。炎のオーラを纏って敵の注意を引き付ける彼女は、山羊の体当たりを食うこととなる。
「痛てぇんだよ、この野郎がっ!」
 その突進は決して小さいダメージではない。だが、その痛みを、彼女はしっかりと反撃として、騎兵用剣「ツァグダー」をそいつの脳天に叩きこむ。
「痛てぇだろ。エルフの集落狙うから、こうなるんだよっ!」
 そうして、ユウキがこの場から離脱したタイミングで、キララが瞳を光らせる。
「確実に仕留めさせてもらう……。被害を出すわけにはいかないんでな」
 ライフルの弾丸にマテリアルを込めたキララは、それを発砲することで、冷気を纏った射撃を行う。
 それを浴びた敵は体を凍らせていたが、続く射撃に命の炎すらも凍てついてしまって。山羊は完全に表情を固まらせたまま、粉々に砕けていった。
「思ったよりも、腕は鈍っていなかったようだな」
 愛銃の手入れを行いつつ、キララは笑みを浮かべていたのだった。

●静けさの戻った森で……
 山羊雑魔全てを倒したハンター達。
 一度合流した後、周囲に敵がいないかとユウキ、炎が確認の為に森を巡回する。とりわけ異常は見受けられなかった為、罠を解除した後にエルフの集落へと戻る。
「もう大丈夫だぜ!!」
 炎は笑顔で雑魔の討伐を伝えると、エルフ達は手と手を取り合って喜ぶ。
 セツナが補足するように、長老へと状況説明を行う。その際、ユウキはこの周辺の雑魔の出現情報なども聞こうと、集落の少女と話をしていた。
「今後の対策を練れると良いんだけど……」
 ただ、それ以上にエルフと仲良くしたい彼女は、たわいない雑談をすることで、エルフの少女と楽しく語らっていたようだった。

依頼結果

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MVP一覧


  • クオン・サガラka0018
  • 森のスナイパー
    霧島 キララka2263

重体一覧

参加者一覧


  • クオン・サガラ(ka0018
    人間(蒼)|25才|男性|機導師
  • 森のスナイパー
    霧島 キララ(ka2263
    人間(蒼)|26才|女性|猟撃士
  • 洗斬の閃き
    セツナ・ウリヤノヴァ(ka5645
    人間(紅)|24才|女性|舞刀士

  • ユウキ(ka5861
    ドワーフ|14才|女性|闘狩人

  • ダグマス(ka6527
    ドワーフ|25才|男性|闘狩人
  • 撃退士
    南護 炎(ka6651
    人間(蒼)|18才|男性|舞刀士

サポート一覧

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 『相談卓』
霧島 キララ(ka2263
人間(リアルブルー)|26才|女性|猟撃士(イェーガー)
最終発言
2016/12/11 23:29:05
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2016/12/10 00:12:54