ゲスト
(ka0000)
路地裏工房コンフォートとハンドベル
マスター:佐倉眸
- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- やや易しい
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在6人 / 4~6人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 寸志
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2016/12/08 07:30
- リプレイ完成予定
- 2016/12/17 07:30
オープニング
●
祖父、とモニカが呼ぶ老人、エーレンフリートは路地裏の小さな宝飾工房の小さな寝室で病床に伏せている。
エーレンフリートの妻の父がこの工房の職人だったが、妻も義父も亡くなった後、エーレンフリートは自身の営んでいた店を孫に任せて工房の片付けに取りかかった。
その最中に居着いた少女がモニカだった。
モニカは店を手伝っていたが、前の冬に風邪を拗らせたエーレンフリートの看病のために、工房に戻っていた。
宝石やそれを用いた装身具の扱いに覚えのあるモニカはエーレンフリートの看病の傍ら、細々と工房を開くようになり、幾ばくかの収入になっているようだった。
モニカによって届けられた孫の芳しくない近況と、それを追ってもたらされた訃報に老いた身体はどうやら耐えきれなかったらしい。
このところ高熱にうなされる日が続いている。
朝方に気温の下がった日は昼を過ぎても目を覚まさない。
調子の良い日も、ベッドから起き出せるのは稀で、半身を起こして野菜とチキンを煮崩した温いスープを啜るのがやっとだ。
その日も朝から凍て付くような雨が降っていた。
モニカは窓を濡らす雫を眺めて重いカーテンを下ろす。
呼び鈴の音を聞いた。気のせいだろう、閉めているはずだとタオルを絞って額に乗せる。
呼び鈴の音は続いた。風に煽られているのだろうか、とモニカは工房に続く狭い店のカウンターから覗いた。
「あ」
モニカを呼んでいたのは近所の薬屋の娘だった。
油紙の袋に薬を包んで抱え、軒で雨を凌いでいた。
「……お祖父さんの。そろそろ、いるんじゃ無いかと思って」
「ありがとう、離れられなかったから、すごく助かる」
「あと、もし、ちょっとでも時間が取れそうだったら、……えっと、これ」
「……ハンドベルの演奏会?」
フライヤーを差し出した娘は微笑んで頷いた。
ここからリゼリオはそう簡単には行けないから、近くで集まるらしい。
お祭りではないけれど、ささやかなイベントをするという。その目玉がハンドベルの演奏会とのことだ。
「残念だけ、……あ」
「ふふ、貰うだけ、貰ってくれる?」
「うん。応援する。頑張ってね」
残念だけど、看病で行けそうに無い。そう言いかけて見付けた娘の名前。
彼女もその演奏会に出るそうだ。
●
受け取ったフライヤーは暫く眺めてから窓に貼った。
きっと綺麗な音だろうなと、スープを漉しながら目を閉じて考える。
ハンドベルの音色は幼い頃に聞いたきり。その記憶を振り払うように首を揺らし、スープを寝室へ運んでいく。
客が来たのはその日の夕方のことだった。
閉店の看板を掛けているから、余程急ぎの事情だろう。
パーティーの多いこの季節、仕舞い込んでいたアクセサリーの修繕を請われることは少なくない。
簡単なものなら良いのだけれど。呟きながら表を覗う。
しかし、客はまだ幼ささえ覗える少女と彼女の母親らしい女性だった。
用件を尋ねる前に少女が泣きながら差し出したのは小さなベルだった。
要領を得ない少女に変わって母親が言うには、練習中にベルを壊してしまったらしく、直せる店を探していたとのことだった。
丁度窓に貼られたフライヤーを見て、もしかしてと思って声を掛けたと。
専門外だと断ってからベルを見る。
装飾が外れ、柄が折れていたが、ベル本体は無事らしい。
二人を待たせて接着剤で柄を繋ぎ、音階を表した装飾はハンダで貼り付ける。
接着剤の跡を軽く磨いていると泣き付かれたようにうとうとと首を揺らしていた少女がはっと顔を上げた。
直った、と嬉しそうな声。
直ってないよ、くっつけただけ。すぐ取れちゃうから気を付けてね。
そう言ったモニカの声に少女はこくりと頷いて、括った髪を跳ねさせる。
「おねーちゃん、絶対見に来てね」
少女の言葉に笑顔で手を振って、二人を見送ると店のカーテンも閉めて、寝室に戻った。
●
その日もエーレンフリートは眠っていた。
尋ねてきた医者が緩やかに首を横に揺らした。
目覚めなければ、それまでだという。思わず揺り起こそうとしたモニカの手を留まらせ、肩へ静かに導いた。
モニカも食事を取るように言い聞かせ、夜にまた来ると言って医者は帰っていく。
見送りに向かうと、開けたドアから吹き込んだ風に剥がされたフライヤーが飛ばされていく。
フライヤーを捕まえた手を取って、モニカは首を傾がせた。
「代わりに行ってくれるかしら? この子と、この子、友達なの」
祖父、とモニカが呼ぶ老人、エーレンフリートは路地裏の小さな宝飾工房の小さな寝室で病床に伏せている。
エーレンフリートの妻の父がこの工房の職人だったが、妻も義父も亡くなった後、エーレンフリートは自身の営んでいた店を孫に任せて工房の片付けに取りかかった。
その最中に居着いた少女がモニカだった。
モニカは店を手伝っていたが、前の冬に風邪を拗らせたエーレンフリートの看病のために、工房に戻っていた。
宝石やそれを用いた装身具の扱いに覚えのあるモニカはエーレンフリートの看病の傍ら、細々と工房を開くようになり、幾ばくかの収入になっているようだった。
モニカによって届けられた孫の芳しくない近況と、それを追ってもたらされた訃報に老いた身体はどうやら耐えきれなかったらしい。
このところ高熱にうなされる日が続いている。
朝方に気温の下がった日は昼を過ぎても目を覚まさない。
調子の良い日も、ベッドから起き出せるのは稀で、半身を起こして野菜とチキンを煮崩した温いスープを啜るのがやっとだ。
その日も朝から凍て付くような雨が降っていた。
モニカは窓を濡らす雫を眺めて重いカーテンを下ろす。
呼び鈴の音を聞いた。気のせいだろう、閉めているはずだとタオルを絞って額に乗せる。
呼び鈴の音は続いた。風に煽られているのだろうか、とモニカは工房に続く狭い店のカウンターから覗いた。
「あ」
モニカを呼んでいたのは近所の薬屋の娘だった。
油紙の袋に薬を包んで抱え、軒で雨を凌いでいた。
「……お祖父さんの。そろそろ、いるんじゃ無いかと思って」
「ありがとう、離れられなかったから、すごく助かる」
「あと、もし、ちょっとでも時間が取れそうだったら、……えっと、これ」
「……ハンドベルの演奏会?」
フライヤーを差し出した娘は微笑んで頷いた。
ここからリゼリオはそう簡単には行けないから、近くで集まるらしい。
お祭りではないけれど、ささやかなイベントをするという。その目玉がハンドベルの演奏会とのことだ。
「残念だけ、……あ」
「ふふ、貰うだけ、貰ってくれる?」
「うん。応援する。頑張ってね」
残念だけど、看病で行けそうに無い。そう言いかけて見付けた娘の名前。
彼女もその演奏会に出るそうだ。
●
受け取ったフライヤーは暫く眺めてから窓に貼った。
きっと綺麗な音だろうなと、スープを漉しながら目を閉じて考える。
ハンドベルの音色は幼い頃に聞いたきり。その記憶を振り払うように首を揺らし、スープを寝室へ運んでいく。
客が来たのはその日の夕方のことだった。
閉店の看板を掛けているから、余程急ぎの事情だろう。
パーティーの多いこの季節、仕舞い込んでいたアクセサリーの修繕を請われることは少なくない。
簡単なものなら良いのだけれど。呟きながら表を覗う。
しかし、客はまだ幼ささえ覗える少女と彼女の母親らしい女性だった。
用件を尋ねる前に少女が泣きながら差し出したのは小さなベルだった。
要領を得ない少女に変わって母親が言うには、練習中にベルを壊してしまったらしく、直せる店を探していたとのことだった。
丁度窓に貼られたフライヤーを見て、もしかしてと思って声を掛けたと。
専門外だと断ってからベルを見る。
装飾が外れ、柄が折れていたが、ベル本体は無事らしい。
二人を待たせて接着剤で柄を繋ぎ、音階を表した装飾はハンダで貼り付ける。
接着剤の跡を軽く磨いていると泣き付かれたようにうとうとと首を揺らしていた少女がはっと顔を上げた。
直った、と嬉しそうな声。
直ってないよ、くっつけただけ。すぐ取れちゃうから気を付けてね。
そう言ったモニカの声に少女はこくりと頷いて、括った髪を跳ねさせる。
「おねーちゃん、絶対見に来てね」
少女の言葉に笑顔で手を振って、二人を見送ると店のカーテンも閉めて、寝室に戻った。
●
その日もエーレンフリートは眠っていた。
尋ねてきた医者が緩やかに首を横に揺らした。
目覚めなければ、それまでだという。思わず揺り起こそうとしたモニカの手を留まらせ、肩へ静かに導いた。
モニカも食事を取るように言い聞かせ、夜にまた来ると言って医者は帰っていく。
見送りに向かうと、開けたドアから吹き込んだ風に剥がされたフライヤーが飛ばされていく。
フライヤーを捕まえた手を取って、モニカは首を傾がせた。
「代わりに行ってくれるかしら? この子と、この子、友達なの」
解説
目的 イベントを楽しむ
●内容
ステージ
ハンドベルの演奏をメインに、参加者の特技披露など。
広場に設けられた屋外ステージは広くは無いが、
伴奏用のピアノが置かれ、バックステージを隠す幕などもあり、
合唱や寸劇などの予定がある。
昼時には飛び入りの参加者にステージが解放されている。
広場
サンタクロースやトナカイの仮装をした住人がウェルカムドリンクを配っている。
温かいものが数種類用意されているので、ご自由に。
屋台が幾つか出ており、軽食が取れるようになっている。
また土産を並べている店も有るが、特に値打ちのある物は無い。
(アイテムデータとして反映される物は扱っていない)
ハンドベル
ステージの演目の最初と中間と最後に少女達が並んで演奏する。
いずれも冬の童謡や流行歌、リアルブルーから伝わったクリスマスソングを、メドレーにアレンジした物。
最初の演奏は広場に人が集まり始める頃に始まり、
中間は飛び入りのステージが終わった後、最後は日没の頃。
●NPC
薬屋の娘と少女
担当するベルの都合で演奏中は両端にいる。
演奏の前は緊張しており片言になるが、話し掛けられれば対応する。
エーレンフリート
日没を待たずに息を引き取る。
モニカ
エーレンフリートの看病をしているが、死亡を知ると医者を呼びに行く。
※目的を達成した状態で、日没以降にコンフォートを尋ねるとモニカと交流が可能。
●内容
ステージ
ハンドベルの演奏をメインに、参加者の特技披露など。
広場に設けられた屋外ステージは広くは無いが、
伴奏用のピアノが置かれ、バックステージを隠す幕などもあり、
合唱や寸劇などの予定がある。
昼時には飛び入りの参加者にステージが解放されている。
広場
サンタクロースやトナカイの仮装をした住人がウェルカムドリンクを配っている。
温かいものが数種類用意されているので、ご自由に。
屋台が幾つか出ており、軽食が取れるようになっている。
また土産を並べている店も有るが、特に値打ちのある物は無い。
(アイテムデータとして反映される物は扱っていない)
ハンドベル
ステージの演目の最初と中間と最後に少女達が並んで演奏する。
いずれも冬の童謡や流行歌、リアルブルーから伝わったクリスマスソングを、メドレーにアレンジした物。
最初の演奏は広場に人が集まり始める頃に始まり、
中間は飛び入りのステージが終わった後、最後は日没の頃。
●NPC
薬屋の娘と少女
担当するベルの都合で演奏中は両端にいる。
演奏の前は緊張しており片言になるが、話し掛けられれば対応する。
エーレンフリート
日没を待たずに息を引き取る。
モニカ
エーレンフリートの看病をしているが、死亡を知ると医者を呼びに行く。
※目的を達成した状態で、日没以降にコンフォートを尋ねるとモニカと交流が可能。
マスターより
よろしくお願いします。
師走ですね。
今年ももう残すところ一ヶ月です。
イベントを楽しむだけでも、ステージに飛び入りしてみるのも、ご自由にどうぞ。
薬屋の娘は以前のシナリオ(路地裏工房コンフォートと薬屋)と同じ人です。
※補足。
日没前のモニカは看病をしているので対応出来ません。
師走ですね。
今年ももう残すところ一ヶ月です。
イベントを楽しむだけでも、ステージに飛び入りしてみるのも、ご自由にどうぞ。
薬屋の娘は以前のシナリオ(路地裏工房コンフォートと薬屋)と同じ人です。
※補足。
日没前のモニカは看病をしているので対応出来ません。
関連NPC
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2016/12/16 01:50
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2016/12/04 19:05:12 |
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相談スレッド 星野 ハナ(ka5852) 人間(リアルブルー)|24才|女性|符術師(カードマスター) |
最終発言 2016/12/08 07:30:37 |