企画記事
大規模アンケート集計から見る日本のゲーマー像(その1):4Gamerは西に弱い?
データ量が多いので,今回から何回かに分けて集計結果をお伝えしたいと思う。今回は基本的な読者特性を明らかにしていく。
集計結果の発表の前にお断りを述べておこう。今回集計したのは,2016年夏特大プレゼントでのデータである。アンケートは応募総数から多重応募などの無効なモノを除外したものを基礎データとしている。
さらに,このアンケート,4Gamer読者の基本データを取ることが目的なのだが,毎回大きなプレゼントを行うので,「4Gamerとか見てないけど応募だけはする」類の人がどうしても混入してくる。まあ,そういう人でもまったくゲームをやらない人はそんなに多くないので,準読者と見なせなくもないのだが,「ゲーマーの実態を探る」という主旨を明確にするために,オンラインゲームもパッケージゲームもスマホゲームもしてない人はバサっと削ったものを,今回の母集団としている。該当したのは全体の1.7%だったので誤差の範囲ではあるが,多少は精度が上がることに期待しよう。
結果として今回扱うデータ総数は,1万2802人分となる。
アンケートの集計項目は自己申告に基づくものであり,明らかにおかしいもの(小学生の既婚者とか)やデータとして意味の薄いもの(30過ぎの高校生とか)以外はそのままにしてある。補足すると,もちろん30歳過ぎの高校生というケースはありうるのだが,「よし,30代高校生にウケる企画をやろう」と考えるようなことはまずない。したがって,データを取る意味は薄く,集計結果にブレを生じさせる原因となる。プレゼントでは排除しないが,集計では削除している。
都道府県別データ
大枠から見ていこう。まず,都道府県別の読者分布だ。まあ人口が多いところほど多くなるのは当然なので,各都道府県人口の割合もグラフの先頭に付記しておいた。
なお,最初はこれまで掲載していない期間のデータも一緒に掲載しようかと思っていたのだが,過去のデータと併記するのはこの都道府県データをはじめ一部のみとなる。ご了承を。
人口に対する比率で見ると,上位は,
- 東京都
- 神奈川県
- 滋賀県
- 高知県
- 京都府
- 埼玉県
- 千葉県
- 北海道
- 福井県
- 大阪府
で,逆に人口に対して少ないのが,
- 長崎県
- 鹿児島県
- 沖縄県
- 佐賀県
- 熊本県
- 宮崎県
- 愛媛県
- 福島県
- 山梨県
- 島根県
の順となる。都市部に強くて九州で弱いという傾向が見えてくる。4Gamerが九州で知られていないのか,九州の人はゲームに興味がないのか。疑問に思って調べたのが,各都道府県別の平均ゲームプレイ時間だ。
データのクレンジングが十分でない可能性をお詫びしつつも,ざっと見ると,西の人はあまりゲームをしない傾向があるように思われる。高知・福岡などは屈指のプレイ時間となっているので東西できれいに分かれているわけではないが,九州・四国勢が少なめなのは事実である。
男女比
男性読者が多い4Gamer。今回も90.6%が男性という結果となった。
しかし,ここ最近の推移を見ると,滑らかなカーブを描いていることが分かる。過去のアンケート集計と比べると,これでも男女比が改善されてきてはいるのだが……。
年齢分布
誕生年別の人数データを表示してみよう。滑らかなカーブになってくれないのだが,これが4Gamer読者の誕生年(≒年齢)分布を示している。(一般的な)中学生,(一般的な)高校生,(一般的な)大学生の年齢部分の色を変えてある。
計算すると平均年齢は30.6歳となる。
2013年夏の集計時に28.7歳であったわけだから,同じ読者が継続していると31.7歳になるはずなので,年齢上昇が進行しているものの,多少は若返えりの要素もあることになる。
では,4Gamerが若い読者を取り込めていないのか,ゲーマー自体が高齢化しているのかだが,CESAが発表している東京ゲームショウ2016の来場者の年齢分布と比較してみよう。
明らかに4Gamerが若い読者を取り込めていないことが分かる(以前からそうではあるが)。ゲーム自体は小学生でもいろいろやっているのだろうが,PCないしスマートフォンがないとアクセスできないWebメディアだとリーチが難しいというのはあるだろう。そもそもの内容自体が,ある程度の年齢を前提としていることは否めない。コアゲーマー層はしっかり押さえているとは思うのだが,平均年齢が30を超えたこともあり,もう少し間口を広げることを,しっかり考えたほうがよいのかもしれない。
さて,若年層以外の分布は,29歳までの山があり,30歳を過ぎると下降線をたどっていく。このあたりはゲームの歴史とコアゲーマー人口に関係がありそうだ。
ファミコンが発売されたのが1983年,ヒットのきっかけとなったスーパーマリオが1985年,スーファミが1990年,プレステが1994年と考えると,主流はスーファミ世代からプレステ世代といってよいだろうか。こういったゲームブームに乗って,その世代はコアゲーマー人口自体が増えていると考えられる。日本のコアなゲームプレイヤーの状況とだいたい合致したグラフだといえそうだ。
ユーザー層を見る限り「ゲームは子供の遊ぶもの」といった感じはまったくない。いい歳の大人たちが支えているのはゲーム業界の実情そのものともいえ,半ば構造的な課題ともなっている。妖怪ウォッチなど,若年者に向けたヒット作品も出てきてはいるので,今後に期待といったところだろうか。
職業分布
次に職業分布である。数値の単位は%だ。
相変わらずだが,最大勢力は会社員(技術系)である。
技術系というと,たいてい理系職だと思われるが,世間では文型と理系の比率は7:3くらいなので,かなり偏りは大きいといえる。4Gamer固有の特性なのか,日本のコアゲーマーの傾向なのかまでは判断できない。
とにかく,技術系会社員が20%ちょっと,学生を全部足して20%くらい,技術職以外の会社員で20%,パート・アルバイトに無職と家事手伝いを足して20%,残り全部をまとめて20%弱といった割合になる。
興味のある分野
続いて,4Gamer読者の嗜好を見ていこう。興味のある分野として複数選択で回答し,集計したものだ。それぞれ全体の何%の人が選んだかを示している。複数回答なので,当然ながら合計値は100%を超える。
多くの人がコンピュータゲームを選ぶのは当然のことなのでこれはよいとして,アニメやガジェット系との親和性が高いことが分かる。
なおグラフを見て,多い順にソートされているわけではなく,デコボコしているのを不思議に思った人もいるかもしれない。ちなみに2013年のTAITAIの記事を見ても同じくデコボコしている。これはなぜかというと,2011年のデータで多い順にしたものをとりあえずのテンプレートとして渡していたからなのだが(基礎集計は私,記事はTAITAIが担当),違いが分かりやすいのでこのまま掲載してみた。
以前と比べると,インターネット,ソフトウェア,車/バイク,スポーツ,政治/経済,資格/習い事,ギャンブルなどが比率を下げている。増えたのは,漫画/アニメ,デジタルガジェット,グルメなどだ。比較的コアな志向が強かった4Gamer読者なのだが,最近は若干緩めになってきている感じだ。
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