宇宙航空研究開発機構(JAXA)は20日、小型ロケット「イプシロン」2号機を内之浦宇宙空間観測所(鹿児島県)から打ち上げた。地球を取り巻く宇宙空間を調べる探査衛星「ERG(エルグ)」を搭載。2013年9月の1号機以来、3年3カ月ぶりに宇宙へ飛び立った。
イプシロンは同日午後8時に予定通り打ち上がり、その後エルグを分離した。2号機はエンジンを1号機よりも大きくし、載せる衛星の重さが1.3倍の590キログラムになった。
世界で需要が増す小型衛星を低コストで打ち上げるため、点検作業に人工知能(AI)を取り入れた。2号機の打ち上げ費用は主力ロケット「H2A」の約半分となる約50億円だ。
エルグは、地球の周りにある放射線帯で電子や電磁場をとらえる。高エネルギーの電子が生まれる仕組みなどを突きとめる。放射線帯は衛星の誤作動にもつながるといい、対策にも役立てる。
政府は宇宙基本計画にもとづく工程表で、イプシロンを25年度までに10回打ち上げる計画を掲げる。ロケットを持たない新興国などから打ち上げの受注を狙っている。