宮城県内ほぼ全ての生産地で生食用カキからノロウイルスが検出され、県全域で25日まで出荷停止となった。宮城県漁協は26日の検査結果を踏まえて出荷を再開するか判断するが、カキの出荷がピークを迎えており、生産者に落胆の声が広がっている。
県漁協によると、ノロウイルスによる県全域での出荷見合わせは、データを取って検査を始めた1996年以降初めて。19日の検査で雄勝湾(石巻市)を除く10海域でノロウイルスの陽性反応が出た。加熱用も21日を除き25日まで出荷を見合わせる。現在流通しているカキは検査済みで安全という。
国立感染症研究所によると、ノロウイルスなどが原因の感染性胃腸炎が流行しており、1医療機関当たりの患者数(5~11日)は、宮城県を含む計13都県で流行警報の基準となる20人を超えた。人体からノロウイルスが海に流出して、カキが取り込んだ可能性もあるという。
農林水産省によると、宮城県のカキ収穫量(2014年)は全国2位の約2万トン。同県石巻市で夫とカキ養殖業を営む鈴木てい子さん(69)は「本当に残念。祈るように出荷再開を待っている」と話した。【鈴木一也、百武信幸】