4者協議 東京五輪の経費 最大1兆8000億円と説明
東京オリンピック・パラリンピックの経費削減を目指す東京都、政府、組織委員会、IOC=国際オリンピック委員会の4者協議のトップ級会議が開かれ、組織委員会が大会全体の経費について、最大1兆8000億円になると説明しました。
会議は、午後5時から都内で始まり、東京都の小池知事、組織委員会の森会長、政府から丸川オリンピック・パラリンピック担当大臣、IOCはテレビ会議のシステムを使ってコーツ副会長が出席しました。
はじめに先月の会議で結論が先送りされたバレーボールの会場について、小池知事から当初の計画どおり「有明アリーナ」の新設を決めたことが報告されました。
このあと組織委員会が大会全体の経費について、1兆6000億円から1兆8000億円となる試算をまとめたことを報告し、組織委員会が5000億円、組織委員会以外が最大1兆3000億円を負担する案を示しました。組織委員会の森会長は「新たな出発点だ。東京都が開催都市でわれわれは準備する立場だが経費を縮減させるということでは同じだ。1日も早く役割分担の議論をしたい。関係する東京都以外の自治体も切望している」と話しました。
また小池知事は、「組織委員会以外の費用をどのように負担していくのか、さらなるコスト縮減、組織委員会の増収の努力などさまざまな観点が考えられるので通過点だ」としたうえで、「どう分担するかなどは、国内での話なので、政府、組織委員会、東京都の3者で年明けには話し合いを始めたい」という考えを示しました。
はじめに先月の会議で結論が先送りされたバレーボールの会場について、小池知事から当初の計画どおり「有明アリーナ」の新設を決めたことが報告されました。
このあと組織委員会が大会全体の経費について、1兆6000億円から1兆8000億円となる試算をまとめたことを報告し、組織委員会が5000億円、組織委員会以外が最大1兆3000億円を負担する案を示しました。組織委員会の森会長は「新たな出発点だ。東京都が開催都市でわれわれは準備する立場だが経費を縮減させるということでは同じだ。1日も早く役割分担の議論をしたい。関係する東京都以外の自治体も切望している」と話しました。
また小池知事は、「組織委員会以外の費用をどのように負担していくのか、さらなるコスト縮減、組織委員会の増収の努力などさまざまな観点が考えられるので通過点だ」としたうえで、「どう分担するかなどは、国内での話なので、政府、組織委員会、東京都の3者で年明けには話し合いを始めたい」という考えを示しました。
小池知事 各県の負担は早期に検討
4者協議のあと、東京都の小池知事は、バレーボールの会場が「有明アリーナ」に決まったことについて、「東京都の会場選びについて、最終的にお認めいただいた。コストの縮減ができたことへの感謝を述べる機会があってよかった」と述べました。その上で、大会の開催経費を関係する各県も含めてどのように負担していくのかについては、「最初、コンパクトと言っていた大会が各県にまたがってきている。東京都がリーダーシップをとって、各地域でどのような形で分担ができるのか、早期に検討を行っていきたい」と述べ、年明けにも都と組織委員会、国の3者による協議を開き、検討を進める考えを示しました。
1兆8000億円の内訳は
組織委員会が最大で1兆8000億円と示した大会全体の経費の内訳です。会場関係の費用は6800億円で、恒久施設が3500億円、仮設施設が2800億円などとなっています。このうち、仮設施設については、招致段階では、組織委員会の全額負担となっていましたが、みずからの財源だけでは賄えないため、組織委員会が800億円を負担し、組織委員会以外の都などが2000億円の負担となっています。また、大会運営の費用は8200億円で、セキュリティに1600億円、輸送に1400億円、テクノロジーに1000億円、オペレーションに1000億円などとなっています。そのうえで、組織委員会と組織委員会以外が、半分の4100億円ずつを負担するとしています。さらに、資材費や人件費の高騰、既存施設の利用に伴う補償などに備えるための予備費として、1000億円から3000億円を見込んでいます。
「何をどう積算したのか公開を」
過去のオリンピックの競技会場のレガシー=遺産など、スポーツの政策を研究している笹川スポーツ財団の吉田智彦副主任研究員は、東京大会の競技会場の見直しの議論についてコスト削減の効果を評価する一方で、「施設をつくって欲しいという要求はしたものの、その施設をスポーツ界がどのように使うかという具体的な案について、踏み込んだ議論がもう1つ、必要だったと感じている」と競技団体を含めたスポーツ界の発信の弱さを指摘しました。
また、大会全体の経費についての議論については「ロンドン大会で一番、重要視されていたのは、使う経費が納税者にとって適切かどうか説明できているかだった。預かった税金の使い方をどのように納得してもらうかを一番デリケートに扱っていて、そこが納得されるかどうかによってお金を使う妥当性が決まってくることをロンドン大会から学ぶことができると思う」と話しました。
そのうえで吉田副主任研究員は「1兆、2兆と言われてもなかなか想像がつく金額ではない。何をどう積算していったら2兆になるのかといったところも含めて納税者に示し、より多くの人が関心を持って議論をすることが重要で、詳細な情報をオープンにすることが大切だと思う」と指摘しました。
また、大会全体の経費についての議論については「ロンドン大会で一番、重要視されていたのは、使う経費が納税者にとって適切かどうか説明できているかだった。預かった税金の使い方をどのように納得してもらうかを一番デリケートに扱っていて、そこが納得されるかどうかによってお金を使う妥当性が決まってくることをロンドン大会から学ぶことができると思う」と話しました。
そのうえで吉田副主任研究員は「1兆、2兆と言われてもなかなか想像がつく金額ではない。何をどう積算していったら2兆になるのかといったところも含めて納税者に示し、より多くの人が関心を持って議論をすることが重要で、詳細な情報をオープンにすることが大切だと思う」と指摘しました。
ロンドン大会では
4年後の東京大会の経費を見ていくうえで、参考となるのが2012年のロンドン大会です。同じ先進国での大会であることなど共通点が多いためです。東京大会の組織委員会によりますとロンドン大会の全体経費はおよそ2兆1000億円で、組織委員会が収入の範囲内で費用を負担し、政府やロンドン市などの公的機関が残りを負担する構図でした。このうち、ロンドン大会の組織委員会が負担したのは、およそ6000億円で、全体の29%でした。財源は、スポンサー収入やチケットの売り上げなどでした。一方、政府やロンドン市などの公的機関の負担は、およそ1兆5000億円で全体の71%にあたり、招致段階で会場の整備費などとして示されていた額の3倍となります。21日示された東京大会の経費では、組織委員会の負担が28%から31%、組織委員会以外の負担が69%から72%となり、割合は、ロンドン大会とほぼ同じような数字になっています。