政府 もんじゅ廃炉方針を正式決定
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政府は原子力関係閣僚会議を開き、安全管理上の問題が相次いだ高速増殖炉もんじゅについて、時間的、経済的コストが増大しているとして、原子炉として運転を再開せず、およそ30年かけて、廃炉にする方針を正式に決めました。
政府は総理大臣官邸で、菅官房長官、松野文部科学大臣、世耕経済産業大臣ら関係閣僚が出席して原子力関係閣僚会議を開き、福井県の高速増殖炉もんじゅの取り扱いに関する方針を正式に決めました。
それによりますと、もんじゅの運転を再開するまでには最低8年の準備期間が必要で、運転を続けると5400億円以上の費用がかかる見通しであると指摘しています。
そのうえで、もんじゅは時間的、経済的コストが増大しているとして、原子炉として運転を再開せず、およそ30年かけて施設の解体などを行い、廃炉にするとしています。
そして、廃炉作業については、政府が一体となって指導・監督するなど設置者である日本原子力研究開発機構が安全性を確保し着実に進められる新たな体制を構築するとしています。
一方で、将来的には、もんじゅの敷地内に新たな試験研究炉を設置するなどもんじゅを含む周辺地域を高速炉の研究開発の中核拠点の1つと位置づけるとしています。
また会議では、今後の高速炉の開発方針について、フランスと協力して設計する実証炉や、高速実験炉「常陽」など国内外の施設などを通じて、研究開発を進めることも確認しました。
それによりますと、もんじゅの運転を再開するまでには最低8年の準備期間が必要で、運転を続けると5400億円以上の費用がかかる見通しであると指摘しています。
そのうえで、もんじゅは時間的、経済的コストが増大しているとして、原子炉として運転を再開せず、およそ30年かけて施設の解体などを行い、廃炉にするとしています。
そして、廃炉作業については、政府が一体となって指導・監督するなど設置者である日本原子力研究開発機構が安全性を確保し着実に進められる新たな体制を構築するとしています。
一方で、将来的には、もんじゅの敷地内に新たな試験研究炉を設置するなどもんじゅを含む周辺地域を高速炉の研究開発の中核拠点の1つと位置づけるとしています。
また会議では、今後の高速炉の開発方針について、フランスと協力して設計する実証炉や、高速実験炉「常陽」など国内外の施設などを通じて、研究開発を進めることも確認しました。
これまでの経緯
もんじゅを廃炉にする一方、高速炉開発は継続するという今回の決定のきっかけになったのが、去年11月、原子力規制委員会が文部科学大臣に出した異例の勧告でした。
高速増殖炉もんじゅは、使った以上の燃料を生み出す夢の原子炉として平成6年に試験運転が始まりました。しかし、その翌年、ナトリウム漏れ事故が発生し、その後もトラブルが相次いで、長期間、停止した状態が続き、これまでにおよそ1兆円が投じられましたが、この22年間の運転実績は250日にとどまっています。
平成24年からの国の検査ではおよそ1万件にのぼる機器の点検漏れが明らかになり、その後も機器の安全上の重要度を決める分類の誤りも多数見つかるなど安全管理上の問題が相次いだため、去年11月、原子力規制委員会は、いまの日本原子力研究開発機構はもんじゅの運転を安全に行う資質がないなどとして、新たな運営主体を示すか、それが出来ない場合は、廃炉も含め事業を抜本的に見直すよう求める異例の勧告を文部科学大臣に出しました。
勧告を受けて文部科学省は、外部の専門家で作る検討会で問題点の検証や新たな運営主体に必要な要件を議論し、原子力機構からもんじゅの運転部門を切り離して電力会社やメーカーの協力を得て新たな法人を設立する案を軸に経済産業省など関係省庁と協議しました。しかし、もんじゅを存続させた場合、5400億円以上の追加の費用が必要になることや原発の再稼働に向けた審査などの対応で余裕がない電力会社やメーカーから協力が得られない可能性が高いことなどから政府内ではもんじゅの存続は難しいという声が強まりました。
そしてことし9月の原子力関係閣僚会議では、もんじゅを廃炉も含め抜本的に見直すとともに、核燃料サイクル政策は維持したうえで、今後の高速炉開発の方針を策定すると表明していました。その後、政府は、もんじゅの次の段階にあたる「実証炉」の開発方針を検討する高速炉開発会議を発足させ、フランスが計画している実証炉の「ASTRID」への開発協力や国内の高速実験炉「常陽」などを活用し平成30年をめどに開発の具体的な工程表を策定することを決めました。来年から策定が始まる工程表の議論では実証炉の規模や構造などを検討することにしていますが、具体的な実施主体や建設場所をどうするのかといった難しい問題が残されています。
高速増殖炉もんじゅは、使った以上の燃料を生み出す夢の原子炉として平成6年に試験運転が始まりました。しかし、その翌年、ナトリウム漏れ事故が発生し、その後もトラブルが相次いで、長期間、停止した状態が続き、これまでにおよそ1兆円が投じられましたが、この22年間の運転実績は250日にとどまっています。
平成24年からの国の検査ではおよそ1万件にのぼる機器の点検漏れが明らかになり、その後も機器の安全上の重要度を決める分類の誤りも多数見つかるなど安全管理上の問題が相次いだため、去年11月、原子力規制委員会は、いまの日本原子力研究開発機構はもんじゅの運転を安全に行う資質がないなどとして、新たな運営主体を示すか、それが出来ない場合は、廃炉も含め事業を抜本的に見直すよう求める異例の勧告を文部科学大臣に出しました。
勧告を受けて文部科学省は、外部の専門家で作る検討会で問題点の検証や新たな運営主体に必要な要件を議論し、原子力機構からもんじゅの運転部門を切り離して電力会社やメーカーの協力を得て新たな法人を設立する案を軸に経済産業省など関係省庁と協議しました。しかし、もんじゅを存続させた場合、5400億円以上の追加の費用が必要になることや原発の再稼働に向けた審査などの対応で余裕がない電力会社やメーカーから協力が得られない可能性が高いことなどから政府内ではもんじゅの存続は難しいという声が強まりました。
そしてことし9月の原子力関係閣僚会議では、もんじゅを廃炉も含め抜本的に見直すとともに、核燃料サイクル政策は維持したうえで、今後の高速炉開発の方針を策定すると表明していました。その後、政府は、もんじゅの次の段階にあたる「実証炉」の開発方針を検討する高速炉開発会議を発足させ、フランスが計画している実証炉の「ASTRID」への開発協力や国内の高速実験炉「常陽」などを活用し平成30年をめどに開発の具体的な工程表を策定することを決めました。来年から策定が始まる工程表の議論では実証炉の規模や構造などを検討することにしていますが、具体的な実施主体や建設場所をどうするのかといった難しい問題が残されています。