このエントリーは、はてなスタッフアドベントカレンダーの21日目として投稿しています。昨日はid:chira_rhythm55 さんのピンク - chirashiでした。私もピンクは好きです。#e198b4 ぐらいが好みです。
今回のお題は「好きなもの」*1ということですので、路線バス好きにとっては有名な日本最長路線、奈良交通の八木新宮線*2で奥大和にいってきましたという話をします。
実は、八木新宮線は一度完乗しています。その時は、ほぼバスに乗るだけのために新宮まで行って帰ってきたのですが、沿線にはいくつか温泉があり「次は泊まりで温泉に入ろう」と思っていたのでした。
そして、先日、このような企画を発見しました。
近畿日本鉄道|近鉄電車・路線バスでいく 奈良奥大和旅
近鉄と奈良県のコラボ企画で、天川村や十津川村の宿に泊まり、そこまでのバス代は奈良県が負担してくれるというのです。これは願ってもない話なので、娘と2人で十津川温泉に行くことにしました。
ちなみに、奈良県では、八木新宮線だけではなくいわゆる奥大和地域全体で、指定の宿に泊まるとバス代キャッシュバックしてもらえるキャンペーンを来年3月末まで展開しています。みんなバスに乗ろう!「咲-Saki- 阿知賀編」の松実館のモデル「さこや」も加盟してるのでバスで聖地にいける!*3
奈良県奥大和地域宿泊者限定! 路線バスキャッシュバックキャンペーン/奈良県公式ホームページ
さて、ここで、ちょっと前に話題になった奈良県の画像で行き先を説明してみましょう。
この画像でいうと私達は赤い部分をだいたい「奈良」と認知しています。実際には、広大な青い部分があり、その最南端にある最大面積*4の自治体が十津川村です。
最南端なので八木新宮線の中でも新宮よりに位置しています。バス停でいえば何個目になるのかとNAVITIMEで路線図を見てみると…
特急(八木新宮線)[奈良交通] 路線図 - NAVITIME
まったく意味がわかりません!!!
NAVITIME、表示の上限が100らしく、そこを超えているので十津川温泉は表示されません。八木新宮線には停留所が167個あるから、少なくとも全線の半分以上は乗れるということです!ちなみに時間にすると4時間半ぐらいです。
ひとことで言って最高です。
京都から八木まで
みんなだいすき近鉄特急に乗ります。
近鉄特急は、東京で言えば小田急のロマンスカーみたいな立ち位置になる全席指定の有料特急です。客層もほぼ一緒です。正直、京都から奈良方面なら急行でもストレスなく到達できますが、特急に乗ると完全に旅行気分になれるというメリットがあります。
八木からバスに乗車
ここで再度路線図です。
やっぱり意味がわからないですね!
これだけ長い路線なので新宮まで途中3箇所でトイレ休憩があります。五條のバスターミナル、上野地、十津川温泉のバスターミナルです。
乗車券で乗る場合は、途中下車して次のバスに乗り換えることもできる*5ので、今回は、往路の十津川村役場で降りて道の駅で休憩しようという計画です。
尚、書き忘れてましたが、この路線は1日上下各3本だけです。
十津川村(八木新宮線) 時刻表|奈良交通
五條
ターミナルの横にイオンがあります。地方都市らしい良いイオンですね。昔はサティだったっぽいイオンだなと思ったら本当にそうでした。
上野地
十津川村に入ってすぐ、2回めの休憩スポット「上野地」です。ここには有名な谷瀬の吊橋があります。
ちなみに、ここまでなら日帰りが出来ますので、ちょっとバスに乗ってみたい人にはおすすめです。
八木 | 9:15発 |
上野地 | 12:05着 |
上野地 | 13:38発 |
八木 | 16:34着 |
【十津川村観光協会】 谷瀬の吊り橋
吊橋は長さ297メートル、高さ54メートル、板張りで結構ミシミシ鳴るし、わりと揺れます。正直かなり怖いです。
だいたい20分ぐらいの休憩なので、普通に渡って帰ってくるだけだったら休憩中にできるのですが、団体客などで橋が混雑する時は一方通行になり、向こう岸からは臨時無料バスで戻ることになるケースがあるらしいので、ちょっとリスキーです。
前回怖くて渡りませんでしたが、今回は帰路で途中下車して渡ってきました。渡った向こう岸にある集落の散策道には水車小屋とか展望台があります。
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地元の若者のものと思われる落書き*6も素朴で心が和みます。苔がむしたコンクリート壁に指で書いてあるのですが、けっこう苔の再生が早いみたいで、夏頃の日付の相合傘はもう苔で覆われてました。
お土産は、橋のたもとにある「たにせ」さんで調達するのがいいと思います。私は吉野葛とかきゃらぶきを買いました。橋を眺めながら食事もできます。ここの「めはりずし」が好きです。高菜の漬物で包んだおにぎりなんですけど、しょっぱくなくて柔らかい味なのが良いのです。
道の駅十津川郷
当初の予定通り、十津川村役場で降りてみたのですが、予想以上に閑散としていて、日曜なのに人っ子一人いない!!
とりあえず、道の駅でお蕎麦食べて、民俗資料館を見学して、コーヒー飲んだりしましたが、結構時間を持て余してしまいました。足湯もあったのですが、季節的に足湯って感じじゃなかったし。
一旦降りると2時間ぐらい次のバスはこないので、途中下車する時には事前に周囲の様子を調べておくほうが良いです。
後で考えたら、道の駅近辺の湯泉地温泉にちょっと入るぐらいの時間はあったのでした。村役場から5分ぐらいで公衆浴場「泉湯」があります。十津川村の温泉施設は全部源泉かけ流しなので、ここも普通の銭湯料金400円なのに立派な露天風呂があり、源泉かけ流しとのことです。行けばよかったな。
十津川温泉
ターミナルを降りるとダム湖があって湖沿いに何軒か温泉旅館があり、小規模な温泉街が形成されています。ターミナルには有料で温泉水を持ち帰れるポンプがあったりします。
今回のお宿はここです。歴史ある宿ですが綺麗に改装されてて快適でした。
tabanakan.jp
泉質はナトリウム炭酸水素塩泉。ちょっとぬるっとしてる、いわゆる「美肌の湯」です。ナチュラルでやわらかくてずっと入ってられる系。源泉温度70度のかけ流しでちょっと熱いめだけど、露天だとちょうどよかった。塩素消毒してなくて、飲用、料理用にもいいらしいです*7。帰りにペットボトルに一本いただいて来ました。
ちなみに、今回は他にお客さんがいなかったので、貸し切り露天風呂も男湯も女湯も好きなとこに入って下さいって状態でした。
お料理はボタン鍋がメイン。鹿*8のカルパッチョなどの地元の山の幸がいろいろです。この写真の他にも、ご主人が釣った鮎の塩焼き、アマゴの唐揚げ、あとは、猪ハンバーグとか盛りだくさんでした。全体的に身体にやさしくて、けっこうな量がするする入っていきます。
とにかく、地元の新鮮な食材を丁寧に調理されてるのですね。ボタン鍋は猪の骨のだしがしっかり出てたし、鹿も特有の歯ごたえの奥から旨味が殴りかかってくるし、鮎はフワフワの食感と特有の香りで「こんなの初めて食べた!」って思いました。正直、鮎はあんまり好きじゃなかったけど、こんなに美味しいものだったんだと思った。
お酒は「神代杉」の冷酒をいただきました。こういうお料理に地元の普通酒というのもいいものです。最後にでてきた柿も地元の特産だけあって異常に美味しかったし。
果無集落
夕食の時に「明日ご予定がないようでしたら“はてなしゅうらく” に行かれませんか?」って聞かれました。「はてなししゅうらく」を地元の人が発音すると、しが縮まって「はてな集落」みたいになるようです。願ってもない話なので連れて行ってもらうことにしました。
はてな村は実在したよ!
村には電流が流れている柵が…(田畑を害獣から守るためですよ!)
この集落には、世界遺産認定されてる熊野古道のうちの一つ「小辺路(こへじ)」の古い石畳がそのまま残っています。小辺路は高野山から熊野本宮への道で、険しい山を越えるけれども近道なので地元の人の生活道路として古くから使われていた道だそうです。今も、3日ぐらいかけてトレッキングするコースが人気らしい。
小辺路の石畳は、民家の母屋と離れの間を通っています。このお家の縁側は果無の観光ポスターにもなってますが、旅人に開放されています。十津川は、そうやって古くから人の行き来がある場所だからなのか、確かに秘境ではあるけど閉鎖的ではなくフレンドリーなんですよね。観光客として訪れても自然に迎えてくれる雰囲気があります。日本一親切な村を自称するだけのことはあります。
この細い道を伝って昔からたくさんの人が旅をしてきたのですね。ずっと山のほうまで続いています。
今回は、宿のご主人が車をだしてくれましたが、月曜日*9だけ、十津川バスターミナルから奥果無に向かう村営バスが出ています。8時30分ターミナル発のバスが、8時40分に世界遺産の石碑前に着きます。その後、59分に帰りのバスが来るので、あたりを散策してそれに乗れば9時14分にターミナルに戻ってこれます。帰りの新宮線は10時1分発なので、接続も悪くないですね。(2016年12月現在のダイヤです)
感想
日曜から月曜という日程で行ったのですが、とにかくこの行程、どこに行っても人が少なかったです。帰りのバスの五條あたりからはすごく混雑したのですが、他はだいたい貸し切りかそれに近い状態。私は、人が多いところが苦手なので、旅行はそういうところのほうが気持ちが休まります。
とはいえ、喜んでる場合でもないのです!途中、バスのアナウンスで「皆様の積極的なご利用が路線の確保につながります」って言われていたけど、廃止の議論も出てきがちな路線なので、積極的に乗らないとちょっとまずい。
奥大和、夏はキャンプとか山歩きで人気の地域ですが、冬もさほど積雪しないし、雨も少なめなのでおすすめですよ。なんといっても地元の食べ物も温泉もとにかく最高!
往復はちょっと大変だけど、バスにたくさん乗るのが楽しい人はもちろん、ダムとか橋梁とか大規模工事現場とかが好きな人にも刺さると思います。とにかくみんなで乗って路線を確保していきましょう!!
明日はid:yulily100さんの担当です!
*1:私の好きなものは路線バスと温泉と料理と野生の食材とパワースポットと二次元アイドルなどです
*2:奈良県橿原市の大和八木駅と和歌山県新宮市の新宮駅を結ぶ路線バス。全長166.9㎞、所要時間は約6時間半
*3:たぶん吉野は電車のほうが便利です
*4:琵琶湖と同じぐらいの大きさらしい
*5:この企画きっぷではできるかどうかわからないので念のため運転手さんに聞いたら、本社に確認していて、結局「わからないので適当に降りて」とのことでした。もしかしたらダメかもしれませんので、乗られる方は事前に確認してください
*6:この他にも「アニメ命」とか書いてあった。このあたりのアニメ放送状況が気になりますが最近はネット配信でなんでも見れるから良い時代だ
*7:ただし、緩下作用があるのでバス乗車前はあまり飲まないほうがいいかも
*8:奈良の鹿は奈良市内では神様のお使いですが、南部の山中では駆除対象の害獣でありグルメ食材です。ちょっと不条理
*9:祝日は運休なのでハッピーマンデー使って訪れる方は気をつけてください