【カイロ秋山信一】内戦下のシリア北部アレッポで、今年9月からアサド政権側の包囲下にある反体制派支配地域の窮状をインターネット上で伝えてきた7歳の少女と家族が、別の反体制派支配地域に退避したことが19日確認された。地元記者の取材に「とても、とても悲しい。彼らが私たちの地を奪い、私たちは去らなければいけなくなった。いつかアレッポに帰りたい」と話した。
少女はバナ・アルアベドさん。今年9月に短文投稿サイト「ツイッター」のアカウントを開設し、英語教師だった母親と共に、政権側の空爆や自宅での生活の様子をつづった。投稿が英語だったこともあり世界中で反響を呼び、バナさんの投稿のフォロワー(読者)は33万件を超えた。ファンタジー小説「ハリー・ポッター」シリーズのファンだと知った作者のJ・K・ローリングさんが、バナさんに電子書籍版をプレゼントしたこともある。だが今月に入って政権側の地上部隊がバナさんの居住地域を制圧し、投稿の間隔が開くたびに安否が気遣われていた。バナさんは政権側と反体制派の合意に基づき、アレッポ市外への退避が認められたとみられる。19日の反体制派系メディアの取材に「私の家は爆撃されたけれど、がれきの下から逃げられた。どうして子供たちが死ななくてはいけないの。私の学校も家もアレッポにある。いつか帰りたい」と話した。
アレッポ東部では2012年から政権側が断続的に空爆を続け、多数の民間人が死亡した。20日までに約2万5000人が避難した。