ぼったくりキャバクラ?の一件の後
何も無かったかのように3人でバーで飲んでいると
マサさんは自分の事を少し話してくれました。
ここでは、そんなマサさんの事を中心にお話したいと思います。
🔻この記事は、一応コチラの記事の続きになっています。
注意:この話を読む前に
まず、頭に入れて頂きたい事があります。
マサさんは「悪人」だと言う事です。
彼は人間的魅力に溢れる男性ではありますが・・・・
多くの犯罪に携わり、
法を犯し、
彼が「人生を終わらせた人間」は一人や二人ではないでしょう。
ただ、本人にも迷惑がかかる事ですし、
あまり詳しい内容が書け無いことを先に謝らせて下さい。
彼がまだ生きているのであればの話ですが・・・・。
マサさんという男
マサさんについて私が一番驚いた事は
彼が「大学」を卒業していた事です。
そこだけは(さすがに冗談でしょ?)と思ってしまいました。
元犯罪者だらけの私達のブラック会社は「中卒」いや
冗談ではなく「小卒」すらしていない者も少なくありませんでした。
※この会社で出来た私の「彼女」も小学校すら行っていませんでした。
これはまたいつかお話します。
そしてなぜか大学を卒業後
この私達がいる「夜の街」でボーイ?と言うのでしょうか?
下積み修行を数年間していたそうなのです。
修行は相当厳しいものだったそうで
マサさんも
「よく灰皿で頭殴られたもんだよ」と頭の傷をなでていました。
頭だけでなくマサさんは顔中傷だらけですが・・・・。
真面目?なマサさんは「夜の世界」でドンドン出世して
いつの間にか自分の店を任されるようになり、
そして流れるように「独立」したそうです。
そしていつしか・・・
「沢山の夜のお店」を経営するようになっていたそうです。
同僚が言うには
「この一帯の「夜の街」でマサさんを知らないヤツは居なかった」
だ、そうで・・・・。
まぁそれだけ店を沢山経営していれば、そうでしょう・・・。
マサさんは夜の店で働く魅力を楽しそうに話しました。
夜のお店の華やかさ
仕事の面白さ
熱く燃えた日々
ですが、お酒も飲まないような私には、
チョット理解が出来ない話ばかりでした。
しかし、そんな幸せな日々も長くは続かなかったそうです。
転落人生
欲を出しすぎたマサさんは
お金の関係で大きなトラブル(犯罪)を起こしてしまいます。
そして
沢山の夜の店も
家族も
家もお金も
マサさんはこれまで築き上げた
「全て」を失ってしまったそうです・・・。
そんなマサさんの行き着いた場所は「ホームレス」でした。
莫大な借金を抱えてホームレスにまで墜ちたマサさんは
さすがに「もう死んでしまおうか・・」とも考えたそうです。
その話を聞いた時に私はビックリしてしまい
「ホームレスになってどうやって生活してたんですか?」
とついつい口を挟んでしまいました。
今のマサさんがお金に困っているようには見えません。
するとマサさんはニヤリと笑って
「根性だ!」と言いました。
マサさんは「根性」という言葉が大好きだった。
ははぁ・・・・でも根性でゴハンは食べれません。
ホームレスからの人生逆転劇
ホームレスになったマサさんは
(絶対にもう1度成功者になってやる!)と心に誓ったそうです。
そこで莫大な借金を返すために
「甘いお菓子」を心の荒んだ人達に売りはじめたそうです。
しかし「甘いお菓子」を勝手に売ると
「お菓子屋」を経営している人達はカンカンに怒ってしまいます。
でも、お菓屋さんを通すと
「仲介手数料?」みたいなモノをとられてしまうそうなのです。
これでは儲からない!
と思ったマサさんは個人で勝手に売買をしていたそうなのです。
そして数年で見事「莫大な借金」を返済したそうなのです・・。
そういう「モノ」は儲かる商売なのですね・・・。
しかし、勝手に売っている所をたまに見つかると
数人で袋叩きにあったそうです。
(顔にある沢山の傷はそのせいだろうか?)
「でも殺されることは無かったよ!」
とマサさんは笑って言います。
私はそのワケを知っていました。
そう、マサさんは「死んだフリ」がとっても得意だったからです。
マサさんの死んだフリ
彼はどこでもケンカをはじめてしまいます。
(※仕事中にはしません)
マサさんは強い男ですが「人間」です。(たぶん)
時には相手が多すぎて負けてしまう事もありました。
そんな時にはリンチにされるのですが、
マサさんはいつも上手に死んだふりをして切り抜けていました。
相手がどこかへ行ってしまうと
起き上がって、得意そうにマサさんはこう言います。
「上手なもんだろ?これが生きる知恵ってもんだ!」
うん・・・・・
マサさんカッコ悪いよ。
なんて事は口が裂けても言えませんでした。
マサさんがこのブラック企業にいたワケ
マサさんはその後も
「朝早く色んなモノを運ぶ仕事」で沢山の収入を得ていました。
うちのブラック会社に入ってからも、続けていました。
これは早朝だけの仕事です。
うちのブラック企業に入ったのは「気まぐれ」だったそうです。
本当は、真っ当な道に戻りたかったのかもしれません・・。
でもこの会社は「楽しい地獄」です。真っ当な会社ではありません。
すぐ辞めるつもりだったマサさんですが、
私の挑発により(社長の指示で無理やりやらされました)
男のプライドが傷ついたマサさんは
私との営業勝負をする事になり、結果会社に残留する事に決めたのです。
🔻その話はコチラの記事に詳しく書いてあります。
のちのちマサさんからも
「オマエが居なかったこんな会社残ってなかったぞ」と
笑ってない目で言われました。
そして社長の策略にハマったマサさんは
昇進させられ、
無理やり沢山のヤンチャな部下をつけられ、
面倒見の良いマサさんは会社に残らざる負えなくなってしまったのです。
乱闘、乱闘、乱闘
マサさんはその日もアミューズメント施設で乱闘を起こしました。
一緒にいた彼女さんをナンパしてきた3人組とケンカになったのです。
しかし、この時ばかりは私も
(マズイ)と思いました。※いつもマズイと思ってますが
マサさんは3人が相手でも、殆ど一方的に殴り続けています。
強い・・・・。
しかし何がマズイのか?
実は、マサさんは日頃からケンカのしすぎで
次ケンカをしたら刑務所?に入る予定になっている、と
私はマサさんから聞いていたからです。
(マサさんが刑務所に入れられてしまう!!)
しかし暴走したマサさんを止めることは私には出来ません。
相手の3人組は、すでにもう戦意を失って倒れています。
これが「龍が如く」のようなTVゲームならこれで話は終わりです。
経験値やアイテムを手にれて、何もなかったかのように元に戻ります。
しかし、ここは現実です。
警察がすぐ駆けつけてきます。来るのが異様に早い。
そして、マサさんは無事警察に回収されてしまいました。
しかしマサさんが刑務所に入る事はありませんでした。
ナンパしてきた3人組が「訴えなかった?」とか
「何でもない」というような事を言い続けたそうだからです。
(すいません事情がよくわからないのですが・・・)
たぶん彼らは悪魔のようなマサさんからの報復が怖かったのでしょう。
どう見てもヤ◯ザですし・・・・。
会社に出てきたマサさんは
そんな状況を心配する私にこう言いました。
「男はナメられたら終わりなんだよ!!」
私には・・・・そんな理屈はサッパリわかりませんでした。
こういうのを男の「メンツ」というのでしょうか?
マサさんは私に「男ってのはなぁ・・」と
よくそういう話を始めましたが、
やっぱり私には馴染めない話でした。
マサさんの人望
マサさんは同僚からもお客さんからも
凄まじい人望と信頼を得ていました。
彼は本来
礼儀正しく、
物腰柔らかい男なのです。
そして何より「男らしい男」でしたので、
そんな彼に言葉に出来ない魅力を感じる人も多かったのでしょう。
彼がすぐケンカ等の無法をしてしまうのは
「男らしさ」を追求する過程で
「男のメンツ」を守るため・・・・なのだと思います。
かく言う私もマサさんのファンの一人でした。
マサさんとの思い出
私は当時同じ会社の後輩の女性と付き合っていました。
超ブラック企業に勤める私達の月収は
二人合わせても15万にも満たない額でした。
※個人事業主扱いなのでここからさらに国保や年金、税金が引かれます。
私達は同棲を始めましたが、
極度の貧困状態に陥っていました。
ある日、彼女が「キャバクラの1日体験」に行く
と言い出しました。
話を聞くと
友人から誘われたキャバクラ1日体験をすると
「1万円」が手に入るそうだからです。
電気もガスも止められている私達にとって
1万円というお金は莫大な金額です。
行く理由は「化粧品を買いたいから」と言っていました。
無力な私は「いかないで!」という事も出来ず
彼女はキャバクラ体験に向かってしまいました。
私は真っ暗な家でボーッと彼女の帰りを待っていました。
すると、「ただいまー」と帰ってきた彼女から
ビックリする話を聞きました。
なんと彼女がキャバクラ体験を開始すると
マサさんが現れて
彼女とその友人を指名して
VIPルームのような所で終わるまでずっと話続けてくれたそうなのです。
マサさんの優しさと自分の情けなさに涙が出てきました。
乱暴で元犯罪者のマサさんにナゼ人望が合ったのか?
何となくわかって頂けると思います・・・・。
人から愛される条件とは?
繰り返しますが、マサさんは「悪い人」です。
ですが、私はマサさんが大好きでした。
彼がした事、
してきた事は絶対に許されるべきモノではありません。
しかし、だからと言って嫌いになる事は出来ませんでした。
子供の頃不思議に思っていた事があります。
「なぜルパン3世は泥棒で犯罪者なのに大勢の人に好かれているのか?」
という事です。
ルパンが泥棒に入った美術館の警備の人はクビになったりしないのかな?
その家族はどうなるのだろう?
盗まれた美術品の作者は悲しまないのか?
そう思っても私はルパン三世が大好きでした。
そして、その理由が私にはわかりませんでした。
しかし、マサさんと出会って答えがわかった気がします。
ルパン三世が泥棒で多くの人を困らせている犯罪者なのに
大勢の人から愛され続けているのと同じように
マサさんが「悪い人間」だからという事と
私や私の同僚たちがマサさんを慕っていた事とは
全くの無関係なのです。
人の心は不思議なモノですね。
最後に
まるで犯罪者を肯定するような話にも聞こえてしまうので、
不愉快に思われた方がいたら申し訳ありません。
彼が消息不明になってから、もう随分と時がたちました。
無茶苦茶な生き方をしていましたから、
彼が生きている可能性の方が少ないでしょう。
この話は、全て私の個人的体験からの個人的な感想ですから
お見苦しい点は何卒ご容赦下さい。