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【群馬】

減らぬ福祉現場の労災 過去10年で最多120人

 県内の社会福祉施設で昨年発生した労災の人数が、百二十人と過去十年間で最多となり、このうち過労死が一人いた実態が群馬労働局の調査で分かった。高齢者や障害者らの施設で介助する職員が入所者を持ち上げたり、支えたりする際に転倒したり、腰を痛めたりするケースが多いとみられる。労災に遭うのは年配で、経験の浅い職員が多く、人手不足できついとされる福祉の現場で職員の負担が増大している。 (菅原洋)

 社会福祉施設での労災(休業四日以上)は、今年一〜十一月の速報値も九十九人となり、年間では二年連続で百人を超える見通し。二〇〇六〜〇九年は五十〜八十人台で推移し、一〇〜一四年からは九十人台に増加。昨年は前年より三十人も急増した。

 過労死は特別養護老人ホームの男性職員が勤務中に急性心不全で死亡し、「長時間の過重労働」で労災認定された。社会福祉施設での認定は珍しいという。

 労災全体の内訳では転倒が38%と最多で、次いで腰を痛めるなどが33%と続いた。具体的には、五十代の女性職員が利用者をベッドから車いすに移すために体を抱えた際、腰に強い痛みを感じ、十七日間休業したケースがあった。

 県外では、入浴介助の際に入所者が危険な動きをしたため、事故を避けるために抱えようとした職員が転倒したケースもあった。

 群馬労働局の調査では、休業期間の割合は一カ月以上三カ月未満という重い事例が最多の35%となり、次いで二週間以上一カ月未満の33%となった。

 経験年数別では、一年以内が三十六人と最多で、このうち五十代が十三人と最も多かった。次いで、一年超三年以内の三十三人で、ここでも五十代が十七人と最多だった。

 群馬労働局健康安全課は「建設現場の労災は機械操作の確認などで防止できる面があるが、社会福祉施設は入所者という人が相手なので、対策が難しい。高齢化社会を迎え、今後も増加が懸念される」と指摘している。

 

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