独トラック突入 IS系通信社関与認める

独トラック突入 IS系通信社関与認める
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ドイツの首都ベルリンで、屋外の市場に大型のトラックが突っ込んで12人が死亡した事件で、捜査当局は拘束していた男性を釈放し、実行犯がいまだに逃走を続けているとして、行方を追っていることを明らかにしました。一方、過激派組織IS=イスラミックステートとつながりのある通信社が「作戦を実行したのは、ISの戦士だ」と伝え、事件への関与を認めました。
ベルリンの中心部にあるクリスマスの飾りなどを売っている屋外の市場に、19日夜、日本時間の20日朝、大型トラックが突っ込み、これまでに12人が死亡、45人がけがをしました。

警察は当初、トラックを運転していて現場から逃走したとみられていた男性を拘束したと発表し、デメジエール内相もドイツに難民として入国したパキスタン出身と見られる人物だと説明していました。

しかし、検察は20日午後、この男性が一貫して容疑を否認していたうえ、目撃証言もあいまいで事件への関与を裏付ける十分な証拠が得られなかったとして、男性を釈放したと発表しました。
そして、実行犯がいまだに逃走を続けているとして、行方を捜査していることを明らかにするとともに、市民に対して警戒を怠らず、不審な情報があれば直ちに警察に通報するよう、呼びかけました。

一方、過激派組織ISとつながりのある「アマーク通信」は20日、「作戦を実行したのはISの戦士だ。われわれと敵対する有志連合の国々の国民を狙えという呼びかけに応じたものだ」と伝え、事件への関与を認めました。

ベルリンの市民の間では、クリスマスを控えた時期に凶悪な事件が起きた衝撃に加え、実行犯がいまなお逃走を続けていることに不安が広がっています。

ベルリンに暮らしている女性は、「毎日ほぼ満員の地下鉄を利用していますが、爆発物を持ちこむこともとても容易で、また事件が起きるかも知れません」と、強い不安を訴えていました。
また、ドイツ西部から出張で訪れているという男性も、「とても複雑な気分ですが、身を守るために周囲に気を配るくらいしか、できません」と無力感を訴えていました。

メルケル首相 現場で犠牲者追悼

現場には20日、ドイツのメルケル首相がシュタインマイヤー外相やデメジエール内相らとともに訪れ、花を手向けて犠牲者を追悼しました。メルケル首相はさらに、市場が設けられた広場にある「カイザー・ウィルヘルム記念教会」も訪れ、弔問を受け付ける記帳所でみずから記帳していました。
メルケル首相は、これに先立ち発表した声明の中で「現時点ではテロと考えざるをえない」と述べ、クリスマスを控えた首都ベルリンの中心部でテロ事件が起きた可能性が高いとの見方を示していて、現場でも終始、厳しい表情を崩しませんでした。

オバマ大統領 メルケル首相と電話会談

事件を受けて、アメリカのオバマ大統領はドイツのメルケル首相と電話で会談しました。ホワイトハウスによりますと、この中でオバマ大統領は「テロと見られる恐ろしい攻撃だ」として事件を非難しました。そのうえで「いかなる攻撃もテロの根絶を目指すわれわれの決意を揺るがすことはできない」としてテロに屈しない姿勢を強調し、捜査への協力を申し出ました。