インドネシアで観光客カップル公開処罰 窃盗容疑で
- 2016年12月20日
インドネシアの観光地ギリ・トラワンガン島で、窃盗容疑の観光客カップルに対して、辱める目的で人々の前を歩かせる公開処罰が実施されたことが、先週明らかになった。
様子を撮影した写真には、「私は窃盗犯です。私のようなことはしないで……!!!」と書かれた段ボール紙を首から下げた外国人男女が、制服姿の男たちに囲まれて歩く姿が写されている。
同島を含むギリ3島でこのような公開処罰が始まった経緯ははっきりとは分かっていないが、長年にわたって続けられてきた。
フェイスブックのギリ3島の公式ページを含むソーシャルメディアで写真が共有されると、風変りな儀式に関する多くの疑問が寄せられた。
ギリ3島がある西ヌサ・トゥンガラ州観光局のラル・ムハマド・ファウザル局長はBBCに対し、犯罪者を衆人環視の下で歩かせるのは、同州ロンボク本島の住民と警察の間の合意に基づくものだと語った。
ギリ・トラワンガン島は、ロンボク島の沿岸にある3島の中でも最も大きく、開発が進んでいる。島の外周は約7キロ。多くの外国観光客が訪れるバリ島から東に約40キロ離れている。
なぜ行われている?
ギリ・トラワンガン、ギリ・メノ、ギリ・アイルの3島に警察は常駐しておらず、普段は民間警備員が治安に当たっている。写真に写る制服姿の男たちはほぼ全員が警備員とみられるが、少なくとも1人は警官の制服を着ている。
ファウザル局長は、3島では犯罪率は低く、公開処罰には効果があると考えられていると語った。多くの場合、処罰の対象になるのは地元住民だが、中には酔っぱらったり、お金を使い果たして「財布を盗まなくてはならなくなった」外国人観光客が処罰を受けることもあるという。
合法的なのか
公開処罰に法的根拠があるのかは不明。しかし、これを受ければもっと厳しい処罰が避けられるため、しばし気まずい思いをして島から追放される方が、法廷で裁かれて、罰金やそれ以上の刑を受けるよりはましと思う人もいるだろうという意見もある。
今回のカップルに対する公開処罰を目撃したオジ・ヌリア・マングガラさんはBBCに対し、警備員から聞いた話として、自転車を盗む様子が防犯カメラに捉えられていたので2人は否定できなかったようだと説明した。
しかしBBCとしては、カップルの身元確認と事実関係の確認ができていない。申し開きをする機会が与えられたかも分かっていない。
カップルの権利は守られているのか
容疑者のプライバシーが明らかに無視され、明確な法的手続きを省略している様子の、洗練を欠いたように見える処罰方法も。衝撃を受けた人もいる。
BBCが取材した地元住民には、公開処罰に疑問を感じている様子はなかった。しかし、濡れ衣だったとしても、インドネシアの司法制度の下で正式に裁かれるよりは、公衆の前で恥ずかしい思いをする方を選ぶ人もいるかもしれない、と指摘する人もいる。同国の司法制度については、透明性が欠如しており、汚職が行われていると一部で非難されている。
(英語記事 Indonesia justice: Foreign tourists in Gili island 'walk of shame')