【シリコンバレー=兼松雄一郎】欧州委員会が8月に米アップルに対しアイルランド拠点を使って課税を逃れたとして最大130億ユーロ(約1兆5800億円)の追徴課税を命じたことに対し、アップルが近く提訴する見通しとなった。19日に欧州委が調査の詳細な内容を公表したことを受けたもの。トランプ次期米大統領は米企業の海外留保利益を米国に還流させる仕組みを導入する方針。節税をめぐり米大企業と欧州との駆け引きがさらに激しさを増しそうだ。
欧州委は2003年~14年にアップルが米・アイルランド間の税法上の違いなどを利用し、アイルランド政府の支援のもと子会社経由の取引で違法に税負担を免れたとしている。滞納税や利息分を追徴課税する手続きを進めている。アップルはこれを「アップルを狙い撃ちした制度の恣意的な運用」として激しく反発していた。
アイルランドは優遇税率によって節税を側面支援し、アップルだけでなく様々な多国籍企業を積極的に誘致してきた。アイルランド政府は欧州委の判断を不服として既に提訴している。優遇税率がEU法が禁じる補助金に当たるかどうかが争点となる見通し。