田中喜代重弁護士「初動捜査ミスでは」ASKA釈放、尿検査に不備か
2016年12月20日4時50分 スポーツ報知
東京地検は19日、覚醒剤を使用したとして、覚醒剤取締法違反(使用)容疑で逮捕された歌手のASKA(58)を不起訴処分にした。警視庁は、逮捕前にASKAから自身の尿として任意提出を受け、覚醒剤成分が検出された液体について、本人の尿と立証できなかったと明らかにした。このため使用容疑について嫌疑不十分となり、午後7時9分に警視庁湾岸警察署から釈放された。
覚醒剤取締法違反(使用)容疑で逮捕されたにもかかわらず、なぜASKAは不起訴となり、釈放されたのか。元検事の田中喜代重弁護士は「初動捜査のミスではないか。尿検査の際、必要な手続きが取られていない」と指摘する。
通常、捜査当局は違法薬物の使用が疑われる人物の尿検査を行う場合、排尿の場面を捜査員が確認し、採取する。容器を封印した上で、記名させるなどして本人ものと確定させて検査機関で鑑定する。検査を拒否した場合でも令状を取り、カテーテルなどを使って尿を入手する。
だが、ASKAは任意で尿を提出している。そのため、警視庁は採取した尿を証拠とするための必要な手続きを取らなかった可能性がある。田中弁護士は「逮捕後にも尿検査をしていなかったかもしれない。また、検査をしても時間が経過すれば陰性になる可能性もあるので初動捜査が重要になる」と話した。
逮捕後、ASKAは一貫して覚醒剤使用を否認しており、家宅捜索でも覚醒剤は発見されていない。供述も物証もない中、任意提出の尿を証拠としても、裁判になった場合、被告側の「本人の尿と同一かどうかは分からない」とする主張が成り立つことにもなる。