2日続けての徹夜、1カ月連続勤務、残業代なし……。IT業界で横行する長時間労働や低賃金などの不安定な働き方を変えようと、大阪のIT技術者らでつくる団体が業界全体の“ホワイト化”に向けて活動している。「社畜SE(システムエンジニア)」とまで呼ばれ、若者たちが使いつぶされる実態が社会問題化し、最近では業界を避けようとする求職者が増えているともいわれる。危機感を覚えたIT企業の中にはユニークな「二日酔い休暇制度」を導入するなど、脱ブラックに向けて動き始めた。
「まさにデスマーチ(死の行進)だった」
以前勤めていたIT企業の職場環境について、横山信行さん(34)はこう振り返った。
デスマーチとは、軍隊での過酷な訓練のこと。近年はIT業界で蔓延(まんえん)するブラックな働き方を指す言葉としても用いられるようになった。
横山さんが当時開発していたのは個人データを登録・管理するパッケージソフト。スタッフの人数や技術力を考えると1年半は欲しい納期が、わずか半年後に設定されていた。
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