【取材日記】北朝鮮、危機を感じたのか、意図的な沈黙か

【取材日記】北朝鮮、危機を感じたのか、意図的な沈黙か

2016年12月19日17時27分
[ⓒ 中央日報/中央日報日本語版]
comment
0
share
このエントリーをはてなブックマークに追加
mixi
写真拡大
イラスト=キム・フェリョン記者
  18日、北朝鮮メディアは韓国に対して静かだった。この日は、ソウル光化門(クァンファムン)で朴槿恵(パク・クネ)大統領の下野を要求する第8回ろうそく集会が開かれた翌日だった。大々的にろうそく集会と弾劾要求を報道していた以前とは明らかに違う。北朝鮮の労働新聞が代表的だった。金正日(キム・ジョンイル)総書記5周忌行事の記事一色だった。北朝鮮が偶像化している「首領」の5周忌を迎えたため、この日はそうだったとしよう。

  9日に朴大統領弾劾案が可決された直後から北朝鮮メディアではろうそく集会や弾劾の便りは減った。「崔順実(チェ・スンシル)ゲート」がふくらんだ後から相当な部分を占めていた弾劾やろうそく集会の関連記事がほとんど消えた。一部の人は「北は金日成(キム・イルソン)主席、金正日総書記に関連する行事は一日だけするのではなく1週間以上にわたり雰囲気を作る」(政府当局者)と分析している。金正日総書記5周忌行事、特に住民に金正日総書記・金正恩委員長の業績宣伝に没頭するためにこのような状況になったということだ。

  もちろんもう少し眺める必要がある。口にできないような表現で非難してきた朴大統領の弾劾案が可決されたため、北朝鮮は所期の成果をあげたとみられる。このため憲法裁判所の決定を見守ろうという考えかもしれない。一方で、金正恩委員長が危機感を感じたとも考えられる。韓国ろうそく集会の力を北朝鮮住民も真似るのではという懸念のためだ。幼い頃から「首領の指示を無条件履行するのは命と同じだ」という絶対忠誠を強要されてきた北朝鮮住民だ。こうした北朝鮮住民にとって光化門のろうそく集会は学習道具になりかねない。北朝鮮は2010年末にチュニジアで始まり、アラブ、中東、北アフリカに広まった民主化の流れを徹底的に遮断したことがある。

  先月からの金正恩委員長の動きを見ると、このような時であるほど注意しなければいけないという懸念もある。金正恩委員長は西海(ソヘ、黄海)と東海(トンヘ、日本名・日本海)を行き来し、砲射撃、延坪島(ヨンピョンド)攻撃計画、飛行術大会など戦闘態勢の強化を促した。弾劾表決の翌日には青瓦台打撃訓練を参観したりもした。

  韓米両国は対北朝鮮監視と警戒態勢を強化し、北朝鮮の動きを注視している。しかし韓米連合訓練中だった2010年3月26日、韓国哨戒艦「天安」爆沈事件が発生した点を考慮すれば、北朝鮮の挑発は時と場所を問わない。北朝鮮はすでにどこかで挑発の準備を終えているのかもしれない。「吠える犬はかまない」ということわざがある。北朝鮮は静かな時、他の人々が眠っている時に奇襲するパルチザン戦術の駆使する。弾劾が進行されても安保にはスキがあってはいけない理由だ。

  チョン・ヨンス政治部記者
【今日の感想】この記事を読んで・・・
興味深い
悲しい
すっきり
腹立つ
役に立つ

今日のイチオシ記事