アジア > アジアニュース
アジア最新ニュースの掲載を始めました

崔被告初公判、朴大統領との共謀「ない」

2016/12/19 21:16
保存
印刷
その他

 【ソウル=加藤宏一】韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領の友人で、国政介入疑惑に絡み、職権乱用などの罪で起訴された崔順実(チェ・スンシル)被告の事実上の初公判が19日、ソウル中央地裁で開かれた。崔被告は起訴事実を全面的に否認した。朴大統領と共謀関係にあるとした検察側の主張についても「その事実はない」と主張し、裁判で争う考えを示した。

19日、ソウル中央地裁に出廷した崔順実被告(中央)=聯合・共同

19日、ソウル中央地裁に出廷した崔順実被告(中央)=聯合・共同

 「徹底的に客観的な証拠によって事実を究明してほしい」。崔被告の弁護士は法廷でこう訴えた。同日開かれた公判準備手続きは争点を整理するためのもので、事実上の初公判に当たる。

 崔被告は黒縁メガネをかけ、拘置所で着用する薄緑色の作業服姿で警備員に伴われて出廷し、終始うつむき加減で開廷を待った。傍聴席は満席で、傍聴券を巡って抽選が実施された。11月20日の起訴後に崔被告が公に姿をみせるのは初めて。

 崔被告は自身が実質支配する文化・スポーツ振興の財団を巡り、大統領府・前首席秘書官の安鍾範(アン・ジョンボム)被告と共謀し、大企業に資金拠出を求めるなど強要、職権乱用の罪に問われている。自身が経営する企業が能力もないのに財団から7億ウォン(約7千万円)の研究費を受け取ろうとした詐欺未遂の罪も起訴内容に含まれる。

 検察が「大統領府の関係者や大企業経営者らの聴取に加え、関係先の家宅捜索を通じて手帳や録音ファイルなど証拠資料を確保した。国民の怒りを招いた重大な事件だ」と断じたのに対し、崔被告は検察が主張する起訴事実をすべて否認した。

 崔被告は閉廷直前に判事から発言を促され「お騒がせして申し訳ない。裁判には誠実に臨みたい」と述べた。法廷では崔被告の弁護士が「検察は(崔被告に対し)人権侵害に当たる捜査をした。人権に関する規定がほとんど守られなかった」と批判。検察側が「そのような事実は全くない」と否定する場面もあった。

 これに関連し、朴大統領は自身の弾劾訴追の是非を審理する憲法裁判所に答弁書を提出。「崔被告の私益追求は知らなかった」などとして、弾劾の棄却を求めている。

 19日は崔被告に加え、職権乱用などの罪で起訴された安被告、公務上秘密漏洩の罪で起訴された大統領府・前付属秘書官のチョン・ホソン被告の公判準備手続きも実施した。両被告は欠席したが、安被告の弁護士は起訴事実や大統領との共謀関係を全面否認した。

 崔、安両被告の主張は朴氏の答弁書に沿った内容となっている。もっとも、これで朴大統領に有利な流れができるかどうかは不透明だ。チョン被告の弁護士は大部分の起訴事実を認め「(被告が)朴大統領の意向に従ったと述べた」と明らかにした。これは「(機密文書は朴大統領の)指示で崔被告に渡ったものではない」とする朴大統領側の主張と食い違う。

 公判準備手続きは29日にも引き続き実施される。弾劾案の審理とは別に、政府から独立して一連の疑惑を捜査する「特別検事」は近く朴大統領の本格的な捜査を始める。聯合ニュースによると、特別検事の関係者は19日、「今後の公判を注視する」と語ったという。

保存
印刷
その他

電子版トップアジアトップ

関連キーワード

韓国政府崔順実朴槿恵被告韓国千晧宣

【PR】

NIKKEI ASIAN REVIEW

COMPANIES TO WATCH

[PR]