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子どもの「陰湿いじめ」生む大人社会のパワハラ

はびこる日本型「非暴力いじめ」の源流

2016年12月20日(火)

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 「日本では「仲間外れ」「無視」「陰口」といった暴力を伴わないいじめの割合が高い」

 子どものいじめ問題に関する報道が後を絶たない中、先日、朝日新聞でこんな内容の記事が報じられた。

 おおまかには以下のとおりだ(抜粋し要約)。

日本では「仲間外れ」「無視」「陰口」といった暴力を伴わないいじめの割合が高い――。国立教育政策研究所(東京)などが、暴力犯罪が少ないスウェーデンと比較した調査から、こんな傾向がわかった。同研究所は、日本では仲間外れなどを大人が容認する空気があり、子どもに伝わっている可能性があるとみている。

「軽くぶつかる・たたく・蹴る」の暴力を伴ういじめの被害について、小6、中2の男女いずれもスウェーデンが日本を上回った。特に小6男子ではスウェーデン65.6%に対し、日本は32.8%だった(「今の学期で1、2回」から「週に数回」までの4段階を合わせた経験率)。

ところが、暴力を伴わない「仲間外れ・無視・陰口」の被害経験率は小6、中2の男女いずれも日本がスウェーデンより高かった。小6女子では4段階を合わせた割合が、スウェーデンで21.4%だったのに対し、日本では倍以上の43.4%。小6男子も同じ傾向だった。

 例のごとく、報じられるや否やネットでは「子ども言動はいつの時代も大人社会の縮図」という意見が出る一方で、

・なんでもかんでも海外と比較するな
・本当にやったのか、こんな調査?
・大人もしてるから……と、するのはおかしい
・暴力より無視のほうがいいじゃないか
……etc. etc

などの批判が相次いだ。

 これらの声は、この記事の中で紹介されている国立教育政策研究所の研究官のコメント、

「仲間外れや陰口などは大人もしているから大丈夫と子どもが感じているのではないか。原発事故に遭った子を『賠償金をもらっているだろう』といじめるのが一例だ」

という一文に噛み付いたのだ。

 この発言の真意についてはのちほど詳しく書くが、「仲間外れや陰口」は大人社会に実際に存在する。少なくとも私は根も葉もないウワサを立てられたり、陰口を言われたりした経験がある。自分だけ忘年会などに声をかけてもらえなかったこともあった。

 被害妄想? ふむ。私の場合はその可能性もある。

 ただ、これまでインタビュー調査に協力してくれた「パワハラ被害者」の方たちのほとんどは、ソレの被害者だった。陰湿であるがゆえに、肉体的な暴力以上に本人たちを苦しめていた。どれもこれもかなり“幼稚ないじめ”だった。

 「いじめ」を「パワハラ」という言葉に置き換えてみて欲しい。

 いじめで学校に行けなくなる子ども、パワハラで会社に行けなくなる大人。

 どちらも、誰もが被害者になるリスクもあれば、加害者になる可能性もある、深刻な社会問題である。

 そこで今回は、件の調査結果を基に「いじめとパワハラ」についてアレコレ考えます。

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「子どもの「陰湿いじめ」生む大人社会のパワハラ」の著者

河合 薫

河合 薫(かわい・かおる)

健康社会学者(Ph.D.)

東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。産業ストレスやポジティブ心理学など、健康生成論の視点から調査研究を進めている。働く人々のインタビューをフィールドワークとし、その数は600人に迫る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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