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ハッカソン

サイバー犯罪被害防止ハッカソンに参加してきました

私の行った活動について

12/17,18両日に立命館大学コンピュータクラブや京都府警、京都すばる高校等の主催のハッカソン、「サイバー犯罪被害防止ハッカソン」にチーム「イモリさんチーム」のリーダー、実装要員として参加してきました。

サイバー犯罪被害防止ハッカソンのおしらせ | 立命館コンピュータクラブ

我々イモリさんチームは「機械学習を利用したサーバやネットワークのリアルタイム異常検知システム」を制作、発表しました。結果的には入賞には至りませんでしたが、大会の趣旨に沿った活動を行えたと考えています。

大会概要について

本大会は、大学生・大学院生3~5名、及び京都すばる高校の生徒2名程からなる混成チームを組み、サイバー犯罪の防止に役立つものを開発する、というものでした。

すばる高校の生徒さん達は情報科学科という情報工学系のクラスに属しており、部活の一環として参加している形でした。
高校生ながら情報工学系の実装系知識は豊富で、京都工芸繊維大学 情報工学課程の学生で例えるならば一回生終了時程度のプログラミング、情報系知識(用語などに限りますが)を保有していました。

大会の趣旨について

本大会の趣旨について、私は2点あったと認識しています。

まず一つ目は、「サイバー犯罪を防止するために、世間にインパクトを与えられるものを作ること」です。
これは例えば若年層の情報リテラシーを増強し、ワンクリック詐欺のような犯罪への耐性をつけ、結果的に犯罪を減らす方向へと導く教育ツールといった形で、どちらかと言えば犯罪を技術力で押さえ込む方向ではなく、広報することで抑止力としようというものだったと考えます。

二つ目は、「京都すばる高校の学生さん(以下高校生)を制作に参加させること」です。ここが本ハッカソンの重要な点であったと私は考えており、例えば実装に参加してもらってプログラミングがサイバー犯罪の防止にどう使えるのかであったり、サイバー犯罪の実態について詳しくなって帰ってもらう、といった事が挙げられます。

ハッカソン終了時感想

我々イモリさんチームは前述した趣旨に照らした審査基準では入賞基準に達しなかったという結果となりました。

入賞基準に達したチームは主にゲームを作成し、それを以て広報を行うというアイディアのチームばかりであり、そのことが後に述べる"炎上"騒ぎを起こすことになります。
私個人はゲームの作成は本ハッカソンの趣旨に完璧に合致しており、高校生の参加も十二分に行われたチームのように見受けられたため、基準に対する不満はありません。

そもそも、我々は印象的な制作物を生み出すアイディアやフロントエンド実装力が共に欠けているチームであり、入賞に至らないのは予見していたことでした。

入賞に至らなかった点について、自分たちの無力について悔しかったものの、趣旨の二つ目である教育目的については十分に達成できたチームであったと自負しており、自分たちにとっても、恐らく高校生たちにとっても有意義な時間を作る事ができたと考えています。

12/19 "炎上"に対する見解

ハッカソン出場は二度目であり、あまり詳しくないのですが、本ハッカソンは一般に言われるハッカソンとチーム構成や趣旨の点でだいぶ異なる点がありました。
そのあたりについて、ハッカソン参加他チーム一部の不満の漏れやそれに対する外部一部からの誤解を元にすると思われる発言等、目に余るものがありました。
その件について、イモリのリーダーとしての見解をまとめます。
長いです。めんどいの嫌な方は飛ばしてください。

"炎上"自体に対する見解

まず最初に、サイバー犯罪被害防止ハッカソンを"炎上"と評した以下のブログについてです。
サイバー犯罪被害防止ハッカソンのようすと大炎上まとめ

リンクさせていただいたブログの著者は、ざっくりと言ってしまえば我々と同じく技術的に高度なことを行い、セキュリティを高めることでサイバー犯罪を防止しようとしたチームでした。
該当ベクトルの開発を行ったチームはイモリを含め3チームあり、一部参加チームからは「彼らが受賞しなかったのは大会基準に疑問を抱く」とまで言って頂けたため、技術的には十分高度なことを行った3チームだと(一部自分のことながら)思っています。

しかし前述したとおり、本大会の趣旨、評価基準には "高校生の参画" "世間へのインパクトの大きさ" が明確に記述されておりました。
事前(10/16)にあったプレアイディアソンでの説明は明らかにそれらの評価基準を重視するといったニュアンスのものであり、他の評価基準である "先進性" "有用性" よりも前者二つが強調されていたため、本大会では先述した趣旨が大前提となっていたと判断します。

その為、技術的に高度なことを行ったが世間へのインパクトには欠ける(一般ウケしにくい)成果物を発表した我々は負けるべくして負けたと、私は考えています。

そのため、悔しいのは当たり前ですし基準に対して愚痴を言ってしまうのも仕方がないと思いますが、あまり大会趣旨を肌身で感じていない外野を巻き込んで"炎上"を煽るような行為はよくないと考えます。

外部からの趣旨への言及について

本ハッカソン後の"炎上"記事などを元に、外部から本大会への趣旨について言及する方々をTwitterで見たため、それに対する見解を述べておきます。

主に該当ツイートは以下の様なものです。

本大会の趣旨は先述したとおり、広報と高校生参画だったと私は考えます。
"炎上"の件に反応した外部のこういった"趣旨を履き違えた"という意見について、意見をいただけるのはかまわないのですが、外部の方々が何処まで本大会の趣旨を把握しているのかについて、疑問が残ります。

先程リンクさせていただいたブログでは高校生参画という趣旨については確かに言及されていませんでしたが、大会概要を見てある程度察していただくことは可能だと思います。

本大会は少々ハッカソンとしては異質で、高校生が強制的にチームに参加する形となり、更に彼らを交えた開発等は本番2日間しか出来ませんでした。必然的に、高度なチームマネジメント、教育能力は勿論、それらを行いながらセキュリティに関する広報可能性、及び先進性を持ったものを提案、実装しないといけないという、正直どの道のプロでも不可能ではないかというミッションが与えられていたと考えます。

その中で、"趣旨を違えてしまった"と評されたチームの方々も精一杯慣れない土俵での大会参加を行った結果だと考えます。

他のチームのことは詳しくわからないため、我々イモリの話をします。
本チームは私以外にまともに何らかの言語を実装できる要員がおらず、更にネットワークやセキュリティについても素人しかいませんでした。その中で趣旨の両方を立てた成果物の制作は不可能だと考え、"高校生参画"の側を優先し、私の最も得意とする機械学習分野、及びネットワーク分野でのアイディアを提案、実装することにしました。
大会当日は高校生さんに特徴抽出器、及びデモンストレーション用ウェブアプリケーションのフロントエンドを書いて頂き、僕はそのサポートをしつつバックエンド全域を担当しました。
この結果、インパクトをあまり与えれない成果物となり、趣旨の一つ目について基準に至らなかったため、入賞しなかったと考えています。

こういった風に、技術力のみでない、様々な力が至らなかったために "趣旨(の一つ目)に反した" チームというのはイモリだけに限った話ではなかったと思われます。
僕が"趣旨"について言及する外野について言いたいのは、趣旨について言及するのであれば、本大会については少なくともかなりの特殊性を持っているため、二つ目の趣旨を踏まえた上でよく言葉を吟味し、それから批判してください。

愚痴を言っているチームも趣旨について理解していない訳がないと思っています。余裕のない中で必死で実装したものが評価されなかったら不満は出ても仕方がないものだと僕は考えます。

最後に

本大会で、我々イモリさんチーム大学院生側は結果についての異論は一切ありません。

技術分野でで情報系技術者が後進を育成するのに加担できる場というのはそう滅多にあるものではなく、まだ若く未来ある高校生に少しでも将来の道を明るくする何かを提供できたのだとすれば、大会主催側の立命館大学コンピュータクラブ、京都府警、京都すばる高校には感謝こそすれ、炎上させようなどという意志は一切残りません。

強いて心残りを挙げるとすれば、我々を始めとする裏側実装によりサイバー犯罪を防止しようというアプローチを行ったチームの落選を見た高校生方が、裏面技術は犯罪の防止に使えないのだと落胆し、こちらの道を忌避するといった結果にならないか心配です。その点について裏面技術で一チームも入賞できなかったのは個人的には残念です。

またチームリーダーとしての心残りは、方針に賛成し信頼して実装を手伝って頂き、楽しんでいただいた高校生方に入賞という名誉を与えれなかった自身の不甲斐なさのみについてだけです。

以上、私の言いたいことです。乱文、最後まで読んでいただきありがとうございました。

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