毎年この時期になると、今年読んでよかった漫画とか小説とかSFとか、見てよかった映画とかアニメとかそういう記事がホットエントリに入ってくるけど今年はあまり見ない気がする。
見ないらしいので書いてみる。
今年、読んでよかった本をジャンル問わずに。
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ハリー・オーガスト、15回目の人生
ハリー・オーガスト、15回目の人生 (角川文庫)
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何度死んでも生まれ変わるハリー。
死と生を繰り返し続けるよくある「孤独なタイムループ」ではなく、多くのタイムループ体質の人間らが連なることで鎖のように過去から未来へとつながり、世界や歴史を変革するほどの物語の広がりを見せる。
2016年必読の一冊。
誰が音楽をタダにした? 巨大産業をぶっ潰した男たち
誰が音楽をタダにした? 巨大産業をぶっ潰した男たち (早川書房)
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音楽産業という巨大な利権を巡り、海賊版業者は個人の欲望のために音源を流出させ、MP3というフォーマットは恵まれない誕生をし、その結果ネットの海賊音源と結びつく。
音楽業界の内外から寄ってたかって巨大産業をぶち壊したのがよく分かる一冊。
狼の口 ヴォルフスムント
今年は、遂に「狼の口 ヴォルフスムント」が完結した。
狼の口と呼ばれる関所を越えようとしてしくじり拷問にかけられさらし首にされ殺害される人々。
毎回毎回描かれる残酷な描写が、圧政を強いるハプスブルグ家をストレスとして読者に与え、最後の最後に民衆の歓喜によるカタルシスを与える。
終わったのは嬉しくもあり寂しくもある。
ヨーロッパ―コーリング
ヨーロッパ・コーリング――地べたからのポリティカル・レポート
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今年は、やはりイギリスのEU離脱を決定する投票が行われ欧州に注目が集まった年でもある。
現地にいるからこそ語れる「英国の今」
とても面白かった。
にしてもジェレミー・コービンは「ヨーロッパ―コーリング」の中ではそれなりに期待されているのに、現状は失速。
なかなか未来はわからないもんだわ。
THIS IS JAPAN 英国保育士が見た日本
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「自生の夢」
ネットで公開された「海の指」が話題になった飛浩隆の最新短編集も今読んでるところ。
今週末には読み終わる予定でいる。
飛浩隆の作品は、豊富なイマジネーションの奔流と残酷なリアリティが魅力なんだろう。
どの短編も端正だが、やはり「海の指」の次々溢れ出るイメージの波濤は素晴らしい。
旧作「象られた力」に収められた「デュオ」もそうだが、飛氏のイメージの根底は音楽にあって、だからイメージが視覚的ではなく感覚的なのかもしれない。
こうやってまとめてみると2016年後半にいい本が多かったらしい。
他には「テラモリ」がどーなるのかとか「エンバンメイズ」「落語心中」の完結とか「あげくの果てのカノン」が気になるとか、いろいろあるが割愛。
b.hatena.ne.jp
あとこのコメント欄にあった「贈与の歴史学」をポチって早速読み始めた。
まだ2016年は半月くらいあるので新しい本に出会うかもしれないけれど、一旦こんな感じで。
贈与の歴史学 儀礼と経済のあいだ (中公新書)
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