女子大学生殺害 30代の男 知人に「大変なことした」

女子大学生殺害 30代の男 知人に「大変なことした」
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7年前、島根県浜田市の19歳の女子大学生の行方がわからなくなり、広島県で遺体が見つかった事件で、事件に関わった疑いが持たれている30代の男が知り合いに対し、「大変なことをしてしまった」などと、事件への関与をうかがわせる内容の話をしていたことが警察への取材でわかりました。男は事件の直後に交通事故で死亡しているということで、警察は殺人などの疑いで書類送検する方針です。
平成21年10月、島根県浜田市で、県立大学の1年生だった平岡都さん(当時19)がアルバイトを終えたあと行方がわからなくなり、11日後に、およそ25キロ離れた広島県北広島町の臥龍山の山頂付近で遺体の一部が見つかりました。

警察によりますと、遺体が見つかった2日後に山口県内の高速道路で起きた事故で死亡した30代の会社員の男が事件に関わった疑いがあるとして、ことし、関係先を捜索した結果、デジタルカメラなどから、行方がわからなくなった後の女子大学生の画像のデータが見つかったということです。

これまでの調べによりますと、男は事故を起こす前、知り合いに対して、「大変なことをしてしまった」などと事件への関与をうかがわせる内容の話をしていたということです。

男は女子大学生と面識がなかったと見られていますが、当時、隣接する島根県益田市に住んでいたということです。警察は女子大学生を殺害し、遺体を遺棄したとして、今月20日に殺人などの疑いで書類送検する方針です。

男の本格捜査はことしになって

捜査関係者によりますと、警察が男について事件に関わった疑いがあるとして本格的に調べるようになったのは、ことしになってからだということです。

捜査本部にもたらされた新たな情報を基に男の関係先を捜索したところ、デジタルカメラなどから被害者の画像のデータが見つかり、解析した結果、行方がわからなくなった後に撮影されたのものと確認されたということです。

平岡さんの父「気持ち察してほしい」

父親の平岡旦さんはNHKの取材に対し「何も話せることはありません。私たちの気持ちを察してください」と声を震わせながら話していました。

高校の元教頭「釈然としない思い」

平岡さんが通っていた香川県の高校の元教頭で、3年間数学を教えた横山賢治さんはNHKの取材に対し「なぜあんなに明るく元気で真面目な子が事件に巻き込まれなければならなかったのか。教員生活の中で、いちばんつらい出来事で忘れられません。犯人が罪を認めて反省し、償いをすることで彼女も安らかに眠れると思っていたので、釈然としない思いはあります」と話していました。

当時の署長と県警刑事部長は

今月20日に男が殺人などの疑いで書類送検されることについて、事件が発生した当時の浜田警察署の署長の後藤良美さん(64)はNHKの取材に対し「突然のことで驚いている」と話しました。

同じく、当時の島根県警察本部の刑事部長の雪野博さん(67)は「詳しいことは聞いていないが、書類送検されれば被害者に対して少しは面目が立つのではないかと思う」と話しました。

男の実家近くの女性「関わったと思えず驚き」

男は山口県下関市の出身で、事件の直後に起きた交通事故で母親と一緒に死亡していました。当時市内あった実家の近くに住む75歳の女性は、男について「母親からは『親孝行な息子だ』と聞いていた。とても頭がよく中学校まで地元にいたが、卒業後は福岡県の高校や大学に進学したのであまり姿を見なくなった。事件に関わったとは思えず驚いている」などと話していました。

友人「できるだけ真相明らかに」

平岡都さんと大学時代、同じ寮で過ごした友人の女性はNHKの記者に対し、今の心境をメールで寄せました。

メールの中で、友人の女性は「正直、私としては悔しい気持ちでいっぱいです。犯人を捕まえて公の場で罪を償ってほしかった。なぜあんな非道なことをしたのか、なぜ都の命を奪わなければならなかったのか。聞きたくないけれど、知りたかった」と述べています。

そのうえで、「事件発生から7年間、都のことを忘れた事はありません。いろんなところで彼女を思い出しましたし、勝手ですが、彼女に励まされていました。警察には、ただ、できるだけ真相を明らかにしてほしい」と綴っています。