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「尿でない」覆せず 不起訴、警視庁に衝撃

不起訴となり、釈放された歌手のASKAさん=東京都江東区の警視庁東京湾岸署で2016年12月19日午後7時9分、丸山博撮影

覚せい剤使用容疑 東京地検が容疑不十分で

 覚せい剤取締法違反(使用)の疑いで逮捕されていた歌手のASKA(本名・宮崎重明)さん(58)が19日、東京地検から容疑不十分で不起訴処分とされた。ASKAさんの尿だと立証できずに不起訴処分となったことは警視庁に衝撃を広げた。「捜査に問題があったのでは」との指摘が内部からも出ている。

 覚醒剤など薬物事件では、尿から薬物の成分が検出されると大きな証拠になる。一方で「自分の尿ではない」と主張する容疑者もいるため、尿検査の際には捜査員が様子を確認している。一般的には警察署に任意同行を求めたうえで採尿することが多いが、同庁によると、ASKAさんは110番で駆けつけた署員に対して「自宅でなら」と応じた。

 捜査関係者によると、採尿時は通常、捜査員が人権に配慮したうえで様子を斜め後方など複数の角度から写真撮影し、最後に本人の署名を求めるという。同庁は「ASKAさんの場合は自宅トイレで狭かったため後ろからしか見られなかった」としている。鑑定結果は陽性だったが、自分の尿であることを否定するASKAさんの主張を覆すことができなかった。

 同庁幹部は「残念な結果だが任意捜査の限界という面もあった」と話す。だがある捜査関係者は「尿鑑定の結果が覆されるなんて通常はあり得ない。採尿時の態勢に不備があったとしか言いようがない」と指摘した。

 識者の見解は一様に厳しい。元東京地検検事の落合洋司弁護士は「本人の尿であるかどうかは捜査の根幹に関わる部分で、捜査員は採尿中に不審な行動がないか注視する。検察が本人の尿と立証できないと判断したということは警察の対応が相当雑だったのではないか」と話した。また門野博・元東京高裁部総括判事(弁護士)も「採尿の経緯を立証できなかったのは捜査に不手際があったといえる。やむをえず自宅で採尿する場合にもトイレなどに不審物が持ち込まれていないかを確認し、経緯を撮影するなどの作業が必要で、不起訴は妥当な判断だ」と語った。【斎川瞳】

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