なにごとも、ブームになって大衆化すると問題が起きたり質が落ちたりします。トレイルランレースもその例外とはなりません。問題のあるレースがあるからといって、トレイルレース全体がだめだということにはなりませんが、今年の問題を振り返ってみることは必要と思います。

<大会が増えて参加者が増えて>

・3月開催の「伊豆トレイルジャーニー」は参加案内一式を郵送できなかったとWebで発表したのが大会の3日前。郵送がまにあわなかったことよりも、正直さが欠けていたことのほうが問題です。(出場しての感想は文末のリンク参照。)

・7月開催の「おんたけウルトラトレイル100K」はUTMFのポイント狙いで参加者が増えました。王滝村に泊まれずに木曽福島駅周辺に宿泊する人もいたとか。主催者側が最適な参加者数を見誤っている印象。レースコースにジェルのゴミを数多く見かけました。参加者の質も全体的に下がっている印象。

・10月開催の「日本山岳耐久レース(ハセツネカップ)」は2800人のエントリーで2500人の出走だった模様。休憩場所となる体育館の容量やトレイルの状態・渋滞を考えるとあきらかに人数が多すぎ。参加料収入がほしくて人数をしぼっていないと言われてもしかたなしと思います。(批判的考察は文末のリンク参照。)

・11月開催の「神流マウンテンラン&ウォーク」では、スーパーペアクラス(50km)の募集が50組100名のところ、エントリー代行のアールビーズ社のミスで100組200名の募集となってしまいました。が、事務局側は倍の人数で受け入れることを決定。結果として、おもてなしの良さで有名な大会なのに、どこぞの体育館の劣悪な環境に前泊になった人たちがいたとか。こういうのはまちがいは謝罪したうえで抽選しなおしとかしたほうが良いと思います。

・12月開催予定だった「鎌倉アルプストレイルラン」は鎌倉市長から中止依頼が出て開催がなくなりました。主催の「NPO法人野外活動推進事業団」はなにかと評判が悪く、新年2月に開催の「三浦半島縦断トレイルラン」も以前から問題視されていました。(ニュースは文末のリンク参照。)

<アメリカのハードロック100のこと>

ハードロック100の資格レース選定で異例のことがおきました。Leadville 100はランナーに求められる技術的には高度なものがあると断りをいれたうえで、Hardrockが重視する理念、つまり環境問題に関する責任、開催地域へのサポート、健康への影響の認識(個々の具体的な内容は不明)をないがしろにしているから資格レースとは認めないとの宣言。(大会主催者の宣言は文末のリンク参照。英語です。)

これは言ってみれば、「ハセツネはレースそのものはすごいが趣旨に問題があるから資格レースとはしない」と日本の他のレースが宣言するようなものです。日本のような村社会ではありえないな。

本来であれば、レースそのものについて健全なレビュー・批判などが成り立つべきですが、日本のトレイルの世界はスポンサー・大会主催者・トップ選手が非常に身近なところで関係しあっているので、発言には異常なほど慎重になっているという印象です。

<まとめ>

第一回大会などが運営がうまくいかないことはトレイルだけでなくロードなどでもままあることです。ま、エイドの食事が品切れ気味だった程度の話であればしかたない面もあるかと思いますが、そこに本質的な問題点がなかったかどうかは真摯に考える必要があると思いますよ。

<リンク集>

伊豆トレイルジャーニーの問題点はこちらを参照(3月13日の日記)

日本山岳耐久レースに対する批判的考察はこちらを参照(10月6日の日記)

山道駆け抜ける「トレイルランニング」 愛好者急増で波紋広がる ハイカーとの接触事故懸念、大会中止も(msn産経ニュース 2013/11/5)

Qualifications for the Hardrock Hundred