不発弾、新幹線止めた!浜松―豊橋間38分見合わせ
浜松市中区のJR東海浜松工場敷地内で8月に見つかった不発弾が18日、敷地内から約4キロ離れた遠州灘海岸で爆破処理された。これに伴い、JR東海は午前8時半から東海道新幹線の浜松―豊橋間の運転を一時見合わせ、約1万3000人に影響が出た。また、不発弾の移動経路となる同市の住民約4000世帯、約1万2000人にも避難勧告が出された。不発弾は午後、無事爆破処理を終えた。
太平洋戦争時の“負の遺産”が、2万人以上に影響を与えながらも無事、処理された。
JR東海によると、不発弾が見つかったのは今年8月。新幹線の線路から約500メートル離れた改装工事中の浜松工場内の敷地で、雨水をためる設備を造るために地中を磁気探査した結果、深さ約4メートルの場所に不発弾が見つかった。
不発弾は長さ約153センチ、直径約41センチ、重さ約860キロ。太平洋戦争時に米軍艦が撃ち込んだ16インチ艦砲弾とみられる。信管はあるが、直ちに爆発する危険がないと陸上自衛隊が判断したことから衝撃を与えないように発見後から18日まで周囲に土のうを積み、立ち入り禁止としていた。
軍事評論家の岡部いさく氏によると、16センチ艦砲弾は当時の米軍では最大級のもので、威力も強大。浜松には軍事工場が多数存在したため空襲や艦砲射撃が激しく、同工場では3年前にも艦砲弾の不発弾が見つかっていた。
この日は、午前8時半に工場からの撤去・移送を開始。不発弾はトラックに載せられ、約4キロ離れた遠州灘の海岸に運ばれた。その後、地中に不発弾を埋め、さらに砂をかぶせ、爆破処理が行われた。午後4時47分に全ての確認が取れたことから、浜松市は安全宣言を出した。鈴木康友市長は「無事に終わってほっとしている」と話した。
東海道新幹線は午前8時半から同9時8分までの38分間、浜松―豊橋間の運転が見合わされた。運休などはせず、一時車両を止めることで対応。これにより上下線計28本が最大で41分遅れ、約1万3000人に影響が出た。見合わせ前の時間には、上下線で臨時列車計2本を増発した。
また、浜松市は移送ルート周辺の約4000世帯、約1万2000人に対し、避難勧告を出した。1週間ほど前から当該地域で広報車などを使って避難を呼び掛け。この日は午前8時から市内6か所に避難所を設けた。同市によると、不発弾の発見から処理まで約4か月かかったが「その間、特に市民から不安の声はなかった」という。
◆過去の主な不発弾処理
▼2012年10月 東京都港区内で米軍の焼夷(しょうい)弾とみられる不発弾が見つかり、青山通り(国道246号線)が約2時間にわたって交通規制される。
▼同月 今回と同じJR東海浜松工場で米軍の艦砲弾が見つかる。13年2月に爆破処理される際には、新幹線が一時運転を見合わせる。13年6月にも同所で艦砲弾が見つかる。
▼13年3月 東京都北区で旧日本軍の高射砲の不発弾が見つかる。自衛隊が付近に土のうを積み上げて爆破処理。新幹線などが運転を見合わせ、約9万人に影響。
▼15年5月 大阪市中心部の繁華街・ミナミの近くで米国製の1トン爆弾が見つかる。その場で信管除去作業が行われ、現場の半径300メートルが約2時間にわたり立ち入り禁止に。