B型肝炎の基礎知識の冊子作成
全国B型肝炎訴訟(集団予防接種の注射器使い回しによる感染被害について、国に責任を求める訴訟のこと)の大阪原告団が、B型肝炎への基礎知識などを盛り込んで作成した冊子を制作しました。
そのタイトルは、「この光景を覚えていますか?」(A5判、32ページ)。
冊子には、表紙に、子供が列をなして注射の順番を待つイラストが描かれており、使い回しの注射器でウイルス感染を拡大させた、集団接種のシーンを印象づけています。 同問題を巡っては、使い回しを規制しなかった国と、各地の原告らが2011年6月、救済措置を盛り込んだ基本合意書に調印し、解決に向けた条件が整った。だがしかし、国との和解の前提となる提訴に踏み切った被害者はわずかで、潜在的な患者は多いとみられている。 同原告団は「冊子をきっかけに、一人でも多くの人が救われれば」と話している。
同訴訟は、最高で3600万円の和解金を、原告側と国が症状などに応じて支払うことで基本合意している。 感染被害者は全国に45万人いるとされるが、9月末現在で和解の条件となる提訴を行った患者は全体の2%に当たる9328人で、そのうち大阪原告団(近畿2府4県と徳島県)では1942人にとどまっているという。
そんな状況から、同原告団は、基本合意から2年を機に冊子作成を決定した。 約3万部を印刷し、府内の医療機関などで無料配布しているこの冊子は、注射器の使い回しが1988年頃まで続くなどした被害拡大の経緯や和解対象者の認定条件、日常生活では感染しないなどの知識のほか、患者らの手記も掲載した。
集団接種で自身が感染し、子供2人にもウイルス感染したという代表の小池真紀子さん(61)(富田林市)は「自分自身が患者と知らない人も多い。被害者以外の人もB型肝炎の実態にふれ、一緒にこの問題を考えてほしい」と話している。
2013年10月07日