トップ > 首都圏 > 記事一覧 > 12月の記事一覧 > 記事
【首都圏】沖縄の西端 防衛力増強に危機感 先島から「いのちのうた」を
けえらんねえら 唄いじょうら(みなさん歌いましょう)−。沖縄の先島諸島の一つ、石垣島の方言を冠した音楽イベント「先島から、この世のすべての島へ、声を結んで、歌え、いのちのうた!」が十七日、東京都中野区のポレポレ坐で開かれる。中国を意識した自衛隊配備に反対する先島の人々の声を、風土に根差した歌や芸能に乗せて届けようという試みだ。 (編集委員・佐藤直子) 「大切な島々が、安全保障とか、基地とか、軍備とか、戦略的発想で結ばれていくことに黙ってられない」。イベントを企画した作家の姜信子(きょうのぶこ)さん=八王子市在住=はこう語る。 中国を意識した南西地域防衛のため、日本政府は陸上自衛隊の空白地だった先島で配備を進める。与那国に今年、百六十人規模の沿岸監視隊を発足させ、今後は宮古に七百人、石垣に六百人、ミサイル部隊と警備部隊を配置する予定だ。 加速する配備に、沖縄戦を経験した地元では「有事に自衛隊が標的にされ、住民も巻き込まれる」と反対の声が上がる。だが、沖縄の反基地運動は今、辺野古の米軍新基地や東、国頭両村のヘリパッド問題に集中している。 在日コリアンとして少数者の痛みは分かると思っていた姜さんも、孤立した人々から「どんなに声を上げても沖縄本島には届かない、まして日本本土には…」と諦めと絶望を聞き、不意をつかれる思いだった。 「米軍基地や自衛隊駐屯地が造られ、訓練が行われることで何が起きるか。それは武器弾薬による水の汚染。生活の根底が壊されること」。その光景は、水銀が海に垂れ流された「水俣」や、原発の放射能が拡散した「福島」にも重なる。 基地問題を人や風土、命にかかわることとして分かち合いたいと、沖縄問題にかかわる辛淑玉(シンスゴ)さんらと「先島の声を東京に放つ実行委員会」を立ち上げた。 島々の要塞(ようさい)化は米国との軍事同盟に従い、日本本土から奄美、琉球弧、台湾、韓国・済州島へと連なる。イベントはそれを意識した。八重山芸能の名手で戦史研究家の大田静男さん、古謡「ゆんた」を歌う山里節子さんら、先島のメンバーが登場後、その声を受けるようにして奄美や水俣、韓国・済州島にかかわり深い歌い手が呼応する構成だ。 開演は午後一時、参加費は三千円(1ドリンク付き)、問い合わせはポレポレタイムス社=電03(3227)1405=へ。 PR情報
|