コックピット内に乗り込み、メインスイッチをオンにすると、目がチカチカと点滅を始め、やがて周囲を威圧するかのような足取りでのっしのっしと歩き出す。
体長4m、重量300kgの“ガンダム型ロボット”が大阪・浪速の町工場でついに完成した。その名も「はじめ43号」だっ!
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ひときわ、異彩を放つこの巨大ロボットを開発したのは大阪市西淀川(にしよどがわ)区にあるロボット製作会社「はじめ研究所」の坂本元(はじめ)社長。
区内の町工場とタッグを組み、腕や胴体など、手作りの部品をこつこつと作り続けること6年。この秋にやっと内蔵コックピットに人が乗り込み、二足歩行する世界最大級のロボットの完成にこぎ着けたという。坂本氏が言う。
「中学生の頃にガンダムに夢中になって、大きくなったらあんなロボットを作ってみたいと思っていたんです。でも、現在の人型ロボットの開発・研究は『人間の代わりをすること』『人間とコミュニケーションを取ること』を主眼に進められているため、ロボットは人間よりも小さなものばかり。私が憧れていた、人が乗り込むような巨大ロボットはニーズがない(苦笑)。だったら、自分で作るしかないと、勤めていた重工業メーカーを辞め、2002年に『はじめ研究所』を設立し、ロボット作りに乗り出しました」
その後、坂本社長は05年に大阪市西淀川区の製造業の経営者らでつくるグループ(=「NKK(西淀川経営改善研究会)」)と出会い、意気投合。すぐに「二足歩行、搭乗可能な巨大ヒューマノイドロボット開発プロジェクト」をスタートさせ、試行錯誤の末に完成したのが「はじめ43号」なのだ。
開発にあたっては基本設計図やロボット制御のプログラムを坂本社長が作り、ロボットパーツの製作は「NKK」に参加する10の町工場が担当した。
「そもそもこんな大きなロボットなんて誰も作ったことがないから部品がない(笑)。まずは部品を設計することから始まりました。動作テストにしても、体長50cmほどの小さなロボットならば1日でできることが、この大きさだと10倍の時間がかかるんです」
特に苦労したのは、二足歩行させることだったとか。
「人間の足は地面を蹴り上げるときにものすごいパワーを発揮するんですが、直後、着地のときには脱力した状態で地面に足を下ろしている。この脱力がロボットには難しいんです。試行錯誤を繰り返すなかで、人間の足の素晴らしさを改めて実感しました(笑)」