■東北大学 阿部俊明教授らは、失明の可能性もある目の難病の網膜色素変性症の患部に治療薬を届ける薬剤送達システム(DDS)を開発し、ウサギの実験で効果を確かめた。治療薬を詰めた長さ1センチメートル、幅3.6ミリメートル、厚さ0.7ミリメートルのシート状のカプセルを眼球の奥に埋め込むと、しみ出た薬が病気の進行を抑える。医師主導の臨床試験(治験)を2017年度にも始める。
網膜色素変性症は遺伝子の異常で起こり、網膜で光を感じる細胞が死滅し、視力の低下や視野が狭くなるなどの症状が表れる。国内に約2万5000人の患者がいるとみられる。
網膜色素変性症のウサギに開発したカプセルを埋め込んだところ、治療効果は32週間続いた。手術は10分ほどで済み、患者の負担は小さいという。予定している医師主導治験では、薬を1年間しみ出し続けるカプセルを患者に埋め込み、安全性などを調べる。