検問なしで青瓦台に出入りした人がいたとも騒がれている。人との付き合いが朴大統領よりもはるかに多かった歴代大統領の政権では、そんな人はもっといただろう。検問が必要なのは警護のためだ。警護上の危険のないことが明らかな、個人的な客がいたとしてもおかしくはない。大統領も人間だ。
崔被告の事件の本質はどこかへいってしまい、注射や美容施術をあげつらった侮辱がそこに取って代わった。朴大統領に対する弾劾訴追案が国会で可決されたにもかかわらず、こうした低俗な攻撃が相変わらず報じられている。無理やり前後関係をつないだ、でたらめな報道を毎日のように目にする。
朴大統領が2014年4月、旅客船「セウォル号」沈没の一報を受けたとき、すでに船は90度ほど傾いていた。内部が複雑な旅客船が30度以上傾けば、脱出は難しいという。だとすれば、犠牲者の数は朴大統領の対処とは関係のないことだ。それでも大統領が自身の役割を果たしたかについては確認する必要があり、特別検察官がこれを捜査する。だが、そうではなく「朴大統領のせいで乗客が犠牲になった」と責め立てている。崔被告の事件と何の関係もないこの話が再び俎上(そじょう)に載せられ、無用な聴聞会まで行われた。沈没事故の際に朴大統領がシャーマニズムの儀式をしていた、美容施術を受けていたなど、憶測は絶えない。
朴大統領の問題は注射や美容施術ではなく「無能」だ。この4年間、内閣と秘書陣が存在感を発揮したことはなかった。おかしな人、資格のない人たちと一緒になり、ままごとのような国政運営をしてきた。その裏で崔被告のような人が絶大な権力を振りかざし、利益を得ていた事実までもが明らかになった。
そのため、韓国が今問うべきなのは、国政がどうなっていたのか、憲法や法律の違反はなかったのかという点だ。この深刻な問題を差し置いて、人の個人的な隠し事を暴き、罵倒したりそしったりして面白がるのは、国を前に進めることに少しもつながらない。
このさなかに、ある人からこんなメッセージを送られた。「朴大統領はお姫様病にかかった低能な人で、韓国をどん底に突き落とし、すぐにも前大統領になるだろうが、私たちはこの先も韓国国民として生きていかねばならないのに、大統領をけなすほど国の品格は落ちてしまう。全世界が見ています。大統領の下着までもはぎとろうとする低俗な韓国を」