それでは何を守るべきか。国の基本だ。統合進歩党の解散は、国の体制を否定する集団に対する憲法に基づく決定だった。そんなことはないだろうが、この基本が揺らいではならない。韓国の秩序を脅かす勢力に対しては、一段と目を光らせる必要がある。
外交と安全保障の軸が揺らぐことがあってはならない。野党は、米国と合意した米最新鋭地上配備型迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD、サード)」の韓国配備について延期を求めている。日本と結んだ軍事情報包括保護協定(GSOMIA)、旧日本軍の慰安婦問題をめぐる韓日合意も見直す構えだ。だが、外国との取り決めを好き勝手にひっくり返すべきではない。大統領が変わったからと国家間の合意を破るのは、後進国であることを自ら認めるようなものだ。
経済の成長エンジンを育てる政策も、守られるべきものだ。規制緩和と良い企業環境づくりが停滞してはならない。いくら朴大統領が憎くても、労働、公共、教育改革は継続していくべきだ。
チャンスが到来したにもかかわらず改革を実現できなければ、韓国の未来はない。だが、改革の旗印の下で下手な巫女の見世物が行われるなら、これもやはり大変なことだ。今、そんな兆しが見える。
同じ野党側から見ても心配になるのだろうか。もう一人の大統領選有力候補である安熙正(アン・ヒジョン)忠清南道知事は「大衆の怒りで押切(刃物の一種)に乗ってはいけない(押切に乗る=巫女の儀式で行われる行為)」と述べ、過激な発言を競い合うかのような現状を批判した。この発言に全面的に同意する。ポピュリズム(大衆迎合主義)に走れば国が亡びかねない。