いつからか、韓国は自発的な改革能力を失った。どれだけ弊害が深刻でも、自ら正すことのできない解決不能な国だ。国会に足を引っ張られている労働改革だけを見てもそうだ。古い労働制度が問題だと国内だけでなく海外からも盛んに警告されているにもかかわらず、国会はぴくりともせず、労働改革に関する法案をいまだに通そうとしない。
危機が目前に迫ってようやく腰を上げる体質であることを、私たちは認めざるを得ない。1997年のアジア通貨危機がそうだった。大企業の借金まみれの経営が危険だという警報が騒々しく鳴り響いていたが、企業も、政府も何もしようとしなかった。そうして時間ばかりが過ぎ、デフォルト(債務不履行)寸前にまで追い込まれてようやく手術に乗り出した。改革が遅れたせいで、数多くのサラリーマンが職を失い、罪のない自営業者が破産した。
悲観論が広がるなか、日本の野村証券が興味深い報告書を出した。朴槿恵(パク・クネ)大統領の友人、崔順実(チェ・スンシル)被告の国政介入事件がもたらす肯定的な面に注目すべきというものだ。報告書を書いたクォン・ヨンソン専務は「外国の投資家たちは(韓国に投資する)チャンスをうかがっている」と伝えた。今回の事態を機に改革に乗り出せば、国のアップグレードという好材料となり、一気に「中進国の罠」を抜け出せるというのだ。
私たちは今、国のシステムを変える絶好のチャンスを迎えている。国がこのままではいけないということに、誰もが同意している。変化を求めているのは、保守も革新も、若者も年配者も同じだ。これほど国中に改革への共感が生まれるのは珍しい。
朴大統領の退陣を求める抗議集会(ろうそく集会)に集まった延べ数百万人の群衆を見て、ある外国人投資家は18年前に韓国で起きた「金(きん)集め運動」を思い出したという。海外メディアは、韓国国民が危機状況で見せる底力を確認したと伝えている。変革を求める国民のエネルギーは、通貨危機の当時に劣らない。このチャンスを逃さず、古い制度とシステムをあらためていくべきだ。