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米国市場に狙いを定め、したたかに甦った世界No.2スポーツブランド 「アディダス」復活までの全内幕

From WELT (GERMANY) ディー・ヴェルト(ドイツ)
Text by Philipp Vetter

PHOTO: COURTESY OF adidas

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3本線のあのマークが、ファッション界に戻ってきた!
スーパーモデルやハリウッドスターは、いまやこぞってアディダスのスニーカーを履き、三つ葉のロゴ入りウェアをまとう。驚くべきカムバックの裏にあるしたたかな戦略を、ドイツメディアが詳細に伝える。

秋に米ニューヨークで開催されるニューヨーク・ファッション・ウィークは世界的に注目されるが、ここで展開されるショーのなかでも「アレキサンダー ワン」は最も重要なショーのひとつである。

会場となっているマンハッタンの「ピア94」にはファッション界のそうそうたる顔ぶれが集まり、ランウェイの周囲に陣取っている。愛娘のローデスを連れたポップスの女王、マドンナの姿も最前列に見える。

マドンナは、まるでフィットネススタジオからそのまま駆けつけたような格好だ。スケスケのコルセット風のトップスに、黒のジャージを合わせているのだ。

「アレキサンダー ワン」のショーに現れたマドンナ。お召しのジャージは2017年春頃に東京でも販売される予定PHOTO: JAMES DEVANEY / GC IMAGES / GETTY IMAGES

ニューヨーク・ファッション・ウィークに現れたマドンナ。お召しのジャージは2017年春頃に東京でも販売予定
PHOTO: JAMES DEVANEY / GC IMAGES / GETTY IMAGES


場違いなスタイルと思いきや、実はこのファッションこそショーの目玉であることがのちに判明する。まもなく観衆がステージで目にする最新のファッションを、マドンナは先取りして着ることが許されているからだ。

ショーの華やかなフィナーレでは、モデルたち全員がジャージ姿で登場。アディダスとのコラボライン「アディダス オリジナルス バイ アレキサンダー ワン」のアイテムである。胸にはアディダスを象徴する三つ葉のマーク「トレフォイル」を上下逆さまにしたロゴが、横にはあの3本線が入っている。

ニューヨークを代表するハイブランド「アレキサンダー ワン」。ニューヨークを代表するハイブランド「アレキサンダー ワン」。そのランウェイに、デザイナーとモデルが3本線のウェアを着用して登場PHOTO: COURTESY OF ADIDAS

ニューヨークを代表するハイブランド「アレキサンダー ワン」。そのランウェイに、デザイナー本人とモデル全員が3本線のウェアで登場!
PHOTO: COURTESY OF ADIDAS


アディダスは、米国で急激にかつての人気を取り戻している。

ファッションショーのステージの上だけではない。3本ラインのアイテムを好んで着用する有名人には、マドンナのほか、トップモデルのジジ・ハディッド、英国出身の歌手リタ・オラ、ハリウッド女優クリステン・スチュワート、人気歌手のジャスティン・ビーバーらがいる。

彼らセレブは、スポーツをするときではなく、オフのときや、パパラッチに追われているようなときにも、決まってアディダスを身に着けている。これを見たファンが、セレブの真似をしてアディダス製品を購入する。

全身白でコーディネートしたジジ・ハディッドの足元は「スーパースター」
JOSIAH KAMAU / GETTY IMAGES


毛皮にサンダル「デュラモ」を合わせる大女優シャロン・ストーン
BG001 / BAUER-GRIFFIN / GETTY IMAGES


カンヌ映画祭に出席した女優クリステン・ハディッドは、記者会見を終えたら「スーパースター」でドレスダウン

カンヌ映画祭に出席した女優クリステン・スチュワート。記者会見を終えたらピンヒールを脱いで「スーパースター」でドレスダウン
ALEX B. HUCKLE / GETTY IMAGES


人気女優クリステン・スチュワート、オフでは3本線の赤ジャージをご愛用
PAUL HUBBLE / GETTY IMAGES


アンダーアーマーにも抜かれて

そんな米国でも、少し前までアディダスは「古臭い」とみなされていた。

1949年、独バイエルン州フランケン地方の小さな町ヘルツォーゲンアウラッハで誕生したアディダス。驚くべきカムバックを成し遂げた同社だが、この成功は安泰ではない。モードの移り変わりは先が読めないからだ。アディダスのシューズやウェアが、来年も人気があるかどうかは予測できない。

創業の地、ドイツのヘルツォーゲンアウラッハにあるアディダスグループの本社PHOTO: COURTESY OF ADIDAS

創業の地、ドイツのヘルツォーゲンアウラッハにあるアディダスグループの本社
PHOTO: COURTESY OF ADIDAS


つい2年前まで、アディダスは深刻な危機に陥っていた。特に米国市場では、長年のライバルであるナイキに大きく水をあけられていた。そればかりか、20年前に米国で設立された新参ブランドのアンダーアーマーに抜かれてしまったのだ。あれこれブランドを試すファッショニスタでさえ、アディダスを選ぶことはなかった。

※続きは明日公開します!

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