スパイウェアを仕込んだスマホを盗ませて犯人の行動を追跡・撮影した結末が。。。
盗まれたスマートフォンの行方、どんな人物が盗んだのか、そしてその窃盗犯がその後どんな行動をしたのか?
そんな一部始終を収めた短編ドキュメンタリーがyoutube上でちょっとした話題になっているようです。
このドキュメンタリー、映像を学ぶオランダ人の学生が撮影したもので、あらかじめスパイウェアを仕込んだスマートフォンを意図的に盗ませて、その後の犯人の行動を監視するというもの。
まず、意図的に盗ませるためのAndroidスマートフォンを購入。
Cerberusというスマホ盗難防止アプリの開発会社に協力を依頼し、監視アプリの名称を変えてプリインストール。
この「スパイアプリ」は端末がインターネットにさえ繋がっていれば位置情報はもちろん、動画や写真の撮影、端末の遠隔操作まで行えるとのこと。
また、このアプリは通常のシステムアプリに見えるように偽装し、アップデートや削除はできない仕様に。
そしてまずはこのスマホを「盗ませる」ために人混みへ。
持ち主がちゃんと分かるようにしながらも盗みやすくリュックのポケットから出した状態で置いています。
何度か怪しい人物が近づいてくるものの・・・
周りの「好意」で未遂に・・・
結局、4日間試したものの、この場所では盗難に遭うことは叶わず。
しかし、その後カメラを回していない瞬間に無事盗難されることに成功。
盗難直後、端末の電源はまだオンのまま。
遠隔操作で写真を撮影するも真っ暗。おそらく犯人のポケットの中でしょうか。
一方、オーディオの「盗聴」では犯人が地下鉄に乗って移動中であることが判明。
しかし、その後4日間は端末との通信はロスト。
そして4日目の夜・・・
スパイウェアから盗難端末にアラビア諸国の電話番号の新しいSIMカードが挿入されたとのメッセージを受信。
早速自分の端末のシステムに侵入して遠隔操作で写真撮影。
どこかに置かれた状態のようで残念ながら写っているのは天井だけ。
しかし、アプリのリストをみると、盗まれる前の状態のまま。
つまり犯人はファクトリーリセットはおろか、新しいSIMと入れ替えただけでなんの「カスタマイズ」もせずに使用をしているということです。
盗まれた直後からの位置情報もご覧の通り。
そして犯人が頻繁に滞在している場所から自宅と思われる場所も特定。
そして犯人がその「自宅」にいる瞬間に再度カメラを遠隔操作。
とうとう犯人の顔写真の撮影に成功。
その後も定期的にカメラでの写真撮影や動画撮影などを継続。位置情報のログも毎日収集。
そしてこの犯人が頻繁に電話している電話番号に電話してみると・・・
いかがわしい会話を楽しむための電話サービスであることが判明。
数日後、犯人はこの端末を自分のもののように扱い始め、自らの連絡先などの追加を開始。
友達などとテキスト(SMS)で連絡をとり始めます
そのうちの1人、「ミス・ロシア」は犯人のお気に入りの女性の模様。
そして後日会う約束をしています。
そしてそのデートの際の会話も録音。
ただ、このロシア人女性はなんかの損害賠償要求のような怪しい会話を初めます。
その後、何時間か会話をして二人はそのまま別れた模様。
しかし、犯人は友人と思われる人物との会話で「彼女はジャンキー」「彼女は俺に気がある」などとずいぶんな上から発言。
その後もデータ収集は続行。
しかし、監視を続けていくうちに、撮影者は徐々に犯人に同情すらするようになっていったとのこと。
そして犯人についてもっと知りたいと思うようになったそうです。
そして通話記録や行動パターンなどから分析したところ、犯人は:
・エジプト人(移民?)
・窃盗などの犯罪の常習犯ではない
・昼間は町中やコーヒーショップなどをフラフラ
・夜はホームレス用のシェルターや友達の家などを転々
・敬虔な(おそらくイスラム教)信者
撮影者は犯人について「孤独で悲しい人物」で可哀想にすらなった、と述べています。
また、基本的には非常に貧しく、友人に「バスに乗るお金もなく、歩いた。」なととメッセージ
また、犯人は頻繁にプリペイドのクレジットを買い足していることも判明。
そのパケ消費の原因の一つが自分が仕込んだスパイウェアでの通信であることが分かり、撮影者は罪悪感すら感じるようになったとのこと。
そして撮影者は、ある日の夜、犯人が寝ている間に遠隔操作でプリペイドのクレジットを足してあげたそうです。
その後、突然端末との通信が途絶えたため、撮影者は直接犯人に電話をかけることを決断。
本人はちゃんと電話に出て、SIMカード自体は機能していることが判明。(おそらく盗まれた端末以外の端末に挿入状態だったのかも)
どうしても犯人を直接見たいと思った撮影者は過去の位置情報から犯人が最も出没しやすいと思われる場所を特定。
そしてカメラの設置をしているその瞬間・・・
いきなり建物から犯人の男性が出現し、目が合ってしまいます。
実際に見た犯人は、撮影者がいつの間にか膨らませていた犯人に対するイメージとは全く異なったとのこと。
非常に攻撃的な態度で、イメージしていた孤独で悲しく、でも優しところもある犯人像とはかけ離れていたようです。
その後、撮影者は急いでカメラをそむけてその場を立ち去ったとのこと。
なお、このスマホとの通信はあるモバイルショップの近くで通信が途絶えていることが判明。
よって、このショップでSIMカードが取り替えられ、その後どうなったとのかはわからないようです。
うーん、これ一見するとスマホの盗人を好奇心で追っただけの動画です。
が、なんとなく、移民や貧困、孤独など、色んな要素が垣間見える切ないドキュメンタリーですね。
また、最後に犯人を懲らしめるという落ちがあるわけでもなく、実に「リアル」。
しかも撮影者がいつの間にか犯人に対するイメージを勝手に膨らませ、同情し、親近感を覚えたところで、最後に「やっぱり違う」と自分自身の作り上げたイメージに裏切られるという結末。
ぜひこちらで元の動画をご覧になることをオススメします。