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東山、鳥インフル休園1週間 「イケメンゴリラ」にも思わぬ影響

動物園エリアが休園し1週間。閑散とした東山動植物園=17日、名古屋市千種区で(池田まみ撮影)

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人気者の「シャバーニ」

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 東山動植物園(名古屋市千種区)のコクチョウなどが高病原性鳥インフルエンザに感染した問題は、園内で飼育しているほかの動物にも思わぬ影響を及ぼしている。感染防止で隔離した鳥類にストレス兆候が見え始めたり、「イケメンゴリラ」の餌の確保に支障が出たり。動物園エリアの休園から十八日で一週間。拡散防止と飼育環境の確保の両立に、飼育員たちが苦心している。

 本来なら、家族連れらでにぎわう週末。しかし、門が固く閉ざされ、客の姿がない園内に時折、動物の鳴き声が響く。大半はこれまで通りの鳥獣舎で暮らすが、野鳥と接する場所にいた七種四十六羽の鳥は、隔離・屋内飼育を続けている。

 人気の鳥の一つ、ベニイロフラミンゴ二十八羽は、広々とした五百平方メートルの古代池を離れ、バックヤードにある仮獣舎で過ごす。

 居住スペースが十分の一程度に狭まったことに加え、必要な水辺がない。フラミンゴは水に浮いた固形の餌をくちばしですくい取るように食べるため、部屋の床に置いても口を付けない。飼育員は苦肉の策として、水を張ったプラスチック製のトレーを置き、餌を浮かべるが、ついばむ量は減った。「部屋が狭く、常に集団から離れられないのが大きなストレス。感染収束まで池に戻すのも難しい」と、獣医師の今西鉄也指導衛生係長は悩む。

 「シャバーニ」で知られるニシローランドゴリラの餌も懸念材料だ。主食の一つはカシの木の葉。餌用に園外の平和公園(千種区)で四百本を植栽するが、飼育員が行き来すると感染拡大の恐れがあるため、収穫を自粛。しかし、園内にある葉は不足しつつあり、動物と接することがない職員が、消毒を徹底して収穫にあたる検討を始めた。

 動物園は一月上旬再開を目指し、鳥類の飼育施設周辺を中心に消毒を継続。園内の工事を一部中止して人の出入りを抑え、感染が拡大しないよう努めている。

 厳戒態勢が続くことに、黒辺雅実動物園長は「一日も早い収束は動物のためでもあるが、野鳥と接触しない対策をしないと鳥は屋外に出せない」。営業再開の判断は、家畜伝染病予防法の指針に準拠し、完全に感染がないと判断してから二十一日後とする方針だが、現段階では見通せていない。

 (河北彬光)

◆シジュウカラガン4羽すべてが死ぬ

 東山動植物園は十七日、シジュウカラガン一羽が死んだと発表した。簡易検査結果は陰性。環境省の絶滅危惧種で、同園で飼育していた四羽はすべて死んだ。

 同園ではコクチョウやシジュウカラガンなど計七羽で感染が判明。いずれも胡蝶池と古代池で飼育され、屋内の検疫室などに移された。屋外で野鳥から感染、隔離後に屋内施設で広がった可能性もあるという。

 一方、環境省の野鳥緊急調査チームが同日、園内の飼育環境や防疫措置を確認。飼育環境について助言するとともに、二つの池の水などを試料として採取した。今後、感染ルートの解明などにつなげたい考えだ。

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